未来を思い描く：IoT
IoT（Internet of Things＝モノのインターネット）は、Webにとって可能性のあるもう1つの未来の形です。IoTには、スマートフォンから自動化された建物まで、様々なデバイスがインターネットに接続されるだけでなく、互いにコミュニケーションを取り合うことで、人間の操作なしでタスクを完了することができるという世界が想像されています。インターネットに接続できるデバイスが増加しているので、この未来は実現しそうに思われますが、以下の記事も指摘しているように、解決しなければならない重要な課題があるのです。
Internet of Thingsをセキュアにするために By Peter Sondergaard
9月25日に、Gartnerのシニア・バイス・プレジデント (上級副社長) であるPeter Sondergaard氏は、IoTのセキュリティ面に関する懸念を表明しており、なぜIoTは攻撃を受けやすいのかについて解説しています。Sondergaard氏は、自動車や建設機械、家電 (Whirlpoolの「スマート」洗濯機など) といった、以前にはインターネットに接続するデバイスを製造しないと思われていた製造業者が、そのような商品を製造し始めていると述べています。このようなインターネットに接続するデバイスや、私たちの個人情報や企業情報を保存しているデバイスの数が爆発的に増加しているため、昔から存在するインターネットのセキュリティの問題が、想像もつかないほどの規模にまで拡大してしまっているのです。
Sondergaard氏が述べているように、「あなたの企業内にあるものや、あなたの企業が作り出しているものがインターネットに接続し始めているので、セキュリティの根本的な意味が変化しているのです。現代は、スピードとインパクトを獲得するか、または自社の『高速モバイルデバイス』を、自社の破滅的な結末とともに破壊するリスクを取るかの選択を迫られる時代なのです。」
IoTの時代が来ない理由 By Mike Elgan
9月27日、ComputerWorld.comのコラムニストであるMike Elgan氏は、Sondergaard氏の懸念に共鳴し、またIoTが直面している問題について、更なる考察を提供しています。Elgan氏は、IoTのビジョンには標準とセキュリティという2つの欠点があると指摘しています。彼は、現実には希望的観測に基づいた理論であるのに、「モノのインターネット」という言葉が誤解を招いていると述べています。
普遍的な標準がない限り、全てのデバイスを互いにコミュニケーションさせることは不可能であり、またインターネットに接続できるデバイスの需要は非常に高いため、企業は利潤目的で独自のプロプライエタリな標準を作るために、競争することになるでしょう。それはまるで、規模が大きくなったかつての「ブラウザ戦争」のようです。
オンラインセキュリティは常に問題視されていますが、最近の「ShellShockのBashバグ」は、オンラインのセキュリティが確保されるには程遠い状況であることを指摘しています。Elgan氏は、そのようなウィルスに感染したコンピューターシステムを復旧させることは容易であると述べています。しかし、何十万というデバイスがあり、それぞれが異なる管理システムを利用しており、そして技術的な知識のレベルにばらつきがある人々が所有しているとしたら、セキュリティに対する脅威を排除することは限りなく不可能に近いでしょう。
私たちの行く末は？
新しいテクノロジーが私たちに与える影響について正確に把握することはできませんが、過去から学び、現状を注視し、そして私たちが作る未来に対して誠実であることはできます。UXの実践者としての私たちの責任の１つは、継続的にスキルを磨き、製品の品質向上に努め続けることです。私たちが作り上げたサイトやアプリケーションを支えているテクノロジーに関する知識がなければ、ユーザーに対するエクスペリエンスを完全に最適化することはできません。そして、テクノロジーがより複雑になり、私たちの日常生活により入り込んでくるほど、ユーザーを守る者としての私たちの仕事は、より重要になってくるのです。
