4~6歳の子どもたち向けのデザイン①

Debra Levin Gelman

Debraは、子供向けのインタラクティブメディアの分野における研究者、デザイナー兼ストラテジストです。彼女はアメリカン大学でビジュアルメディア及び心理学の学士号を、ジョージア工科大学で情報デザイン及びテクノロジーの修士号を取得しています。

この記事はA List Apartからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Kids 4–6: “The Muddy Middle” (2014-07-15)
編集部より:この記事は全3回に分けてお届けします。

私は4〜6歳の子どもたちを「マディ・ミドル(泥だらけの中間世代)」と呼んでいます。なぜなら、この歳の子どもたちは、抱きしめたくなるほど可愛い就学前の子どもたちと、知恵がついてきて、難しくなってくる小学生の、ちょうど中間にいるからです。彼らは、幼児向けにデザインされたゲームをやるには年齢が上過ぎですが、まだきちんと文字を読むことができないので、年上の子どもたち向けのサイトやアプリを使うのも苦戦するのです。この歳の子どもたちの知能レベルや興味分野は把握しにくいため、この年齢に特化してデザインされたデジタル製品を見かけることは残念ながらほとんどありません。しかし、彼らはアイデアや知識、創造性、そしてカリスマ性で満ち溢れているのです。

2〜4歳の子どもたちのように、マディ・ミドルの子どもたちは依然として発展途上ですが、それでも彼らは彼らの世代なりの特性を持っており、彼ら向けのデザインは可能なのです。

マディ・ミドルはどんな特徴を持っているのか?

表 5.1は、4〜6歳の子どもたちの行動や態度を形作る主な特性と、皆さんがデザインを考える時にこれらの特性がどのような影響を与える可能性があるかを示しています。

この表から、マディ・ミドルの子どもたちは、今までの人生の中でふるまい方、コミュニケーションの取り方、そして遊び方に対する「ルール」を学んできたことがわかります。そして4〜6歳になった今、これらのルールを曲げたり破ったりする方法を探しているのです。彼らは、怒っている親や壊れたおもちゃ、悲しんでいる友達といった制約が、自分たちにとって良い教育となっていることを理解しています。しかし、彼らは未だにこれらの制約を試すためにチャンスを伺っているのです。デジタルの環境は、このような活発な子どもたちが現状に挑戦し、そして自分たちを取り巻く世界をもっと知るための理想的な場所を提供しています。

4〜6歳の子どもたちの特性

言い換えると…

彼らに対してすべきこと

感情移入しやすい。

物事を他人の視点から見れるようになってきている。

たとえ子どもたちが実際に他人とコミュニケーションを取っていないとしても、他人とのやりとりをより「ソーシャル」に感じられるようなものにする。

世界に対する強い好奇心を持っている。

新しい考えや活動、スキルを学ぶことにとても興味を持っている。しかし、思っていたよりも習得する時間が長くかかってしまうと、イライラしてしまう場合がある。

皆さんが作成した課題や活動に対して、達成できそうな目標を設定する。状況に応じたサポートをすることによって、子どもたちが簡単に情報を理解できるように文脈に基づいた説明やサポートをする。

話がよく脱線する。

課題や活動を継続して取り組むことが難しい時がある。

活動をシンプルに、短く、そしてやりがいのあるものであるように維持する。マイルストーンを達成した後は、フィードバックや励ましの言葉をかける。

豊かな想像力を持っている。

細かい指示や、段階を追って示した指導に従うよりも、自分の力で何かを作り上げる方が好きだ。

遊び方や参加方法に関する「ルール」は、できる限り基本的なことだけにし、子どもたちが創造や自己表現、ストーリーテリング(物語を話すこと)をたくさんできるようにする

優れた記憶能力を持ち、さらに発達している段階である。

他人の行動を見るだけで、それに関連する出来事の複雑な順序を思い出すことができる。

いくつかのステップがある活動やゲームに対して、1つ以上のゴールを設定する(例えば、違う点数をとるために赤い星や緑色のリンゴにタッチする)。

表 5.1:4〜6歳の子どもたちに関する考察

マディ・ミドル向けサービスで大事なポイントとは?

大人向けのゲームなどをデザインをするとき、ユーザーが他のユーザーとコミュニケーションを取ったりできるものを考えるかもしれません。これは、子ども向けのデザインについても同じです。しかしこの場合は「他のユーザー」は必ずしも他の子どもたちとは限りません。さらに言うと人間でないキャラクターの場合もあります。つまり、子どもたちが、ゲームなどをしているときに「自分もこのゲームの体験の一部である」と感じことができ、そしてプレーヤー及び貢献者として、そのゲームにおけるキャラクターたちのやりとりを観察し、理解できるデザインでなければいけません。彼らは、1人1人の個性や感情、そしてアイデアが重要かつ素晴らしいものであることを分かっています。これらの違いを、子ども向けサービスの体験の中で示し、子どもたちに直接ユーザーとコミュニケーションを取らせることで、このような社交的な面が生まれ、やりとりに更なる深みとコンテキストを与えることができます。

ゲームを社交的なものに感じさせるには、単に主観的な視点にしてあげるだけでいい場合があります。ゲームのキャラクターや要素、指示が直接子どもたちに話しかけると、子どもたちはその体験に感情移入し、没頭することができるのです。

Seussvilleから1つ例を見てみましょう。このサイトのデザイナーたちは、 Dr. Seussのキャラクターたちが活き活きして見えるように、かわいらしいキャラクター選択によってそのユニークな世界観を表現しています。Dr. Seuss のあらゆる本の全てのキャラクターは、奇妙なベルトコンベアに乗って次々と流れていき、そこからユーザーがプレイするキャラクターを1つ選ぶことができるようになっています(図5.1を参照)。

このキャラクター選択システムは、子どもたちがそれぞれのキャラクターたちと「出会い」、そして人間関係を構築することができるので、効果的な社交体験を子どもたちに提供しています。子どもたちは、自分たちが現実の生活において人々と出会うのと同じように、主観的な視点で、キャラクターの外見の違いや、キャラクターの個性を際立たせている性格を見分けることが出来ます。

ユーザーがキャラクターを選択すると、本の引用やブックリスト、キャラクターの詳細が右側のリストに表示されます。左側には、選択したキャラクターが魔法のように現れるといった、ゲームやアクティビティの一覧が表示されます。

図5.1:Seussvilleは子どもたちに一人称の観点を提示しています。

図5.1:Seussvilleは子どもたちに主観的な視点を提示しています。

図5.2:Seussvilleは、たとえ子どもたちが他人とやりとりをしていなくても、社交的に感じられるようになっています。

図5.2:Seussvilleは、たとえ子どもたちが他のユーザーとやりとりをしていなくても、まるでそうしているかのように感じられるようになっています。

この社交体験は、Seussvilleのサイトのほとんどのゲームで取り入れられています。例えば、ユーザーが「Horton the elephant」のアクティビティリストの中から「Horton Hears a Tune」というゲームを選択した場合、ユーザーは Hortonのサポートのもと、オルガンのような素敵な楽器を使って自分オリジナルのメロディーを作ることができます。その後、実在する人間とのコミュニケーションとして、ユーザーは自分の曲を保存し、家族や友人とシェアすることができます。

図5.3:「Horton Hears a Tune」は、子どもたちが音楽を作曲し、共有することを可能にします。

図5.3:「Horton Hears a Tune」は、子どもたちが音楽を作曲し、シェアできるようになっています。

次回、第2回目はゲームの中に学びの要素をどう入れたらよいのかについて迫ります。
第2回はこちら

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