UIデザインにおける「ポカヨケ」とは?

Jacob Gube

Jacob Gube氏はSix Revisionsの創設者であり、フロントエンド・ウェブ開発者としてキャリアを形成しています。

この記事はSix Revisionsからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Poka-Yoke in User Interface Design (2014-01-20)

"Poka-Yoke(ポカヨケ)"とは、日本語で「うっかりミスの防止」を意味する言葉で、1960年代に自動車製造業界で使われはじめました。ポカヨケというコンセプトは、産業工学の技術者である新郷重夫氏によって構築されたものです。

新郷氏は当時、トヨタ自動車が直面していた問題の解決に取り組んでいました。トヨタ自動車の工場の従業員は、スイッチを組み立てるために必要な一組のバネを入れ忘れるといったミスを日常的に犯していたのです。

彼の解決策は、スイッチ組み立ての作業工程を再設計し、2つのステップで成り立つようにするというものでした。

1. 2つのバネをプレースホルダーに置くことで、それらのバネを入れる準備を行う

2. その2つのバネをプレースホルダーから取り出し、スイッチに入れる

これらのステップに変わってスイッチを組み立てる工程は長くなりましたが、製造中のミスを少なくすることができ、結果としてより質の高い製品を生産することができるようになったのです。

ポカヨケは、現在でもソフトウェアインターフェースにおいて使われています。

例えば WordPressには、間違って記事を削除してしまうことを防ぐ機能が用意されています。

記事を完全に削除するには、次の2つのステップを行う必要があります:

ステップ1:記事をごみ箱のフォルダーに移動する。

0429-01_wordpress_draft_screen

ステップ2:ごみ箱フォルダーから記事を完全に削除する。

0429-02_wordpress_trash_screen

WordPressで記事を完全に削除するための工程を細分化すると、ユーザーは次の5つの意図的な動作をしなければならないことがわかります。

1. マウスを記事のタイトルに合わせて、動作のメニューを表示させるようにする

2. メニューから「ごみ箱に移動する」をクリックする

3. ごみ箱フォルダをクリックして、ごみ箱の画面を起動する

4. もう一度記事のタイトルにマウスを合わせて、異なる動作のメニューを表示させる

5. 「完全に削除する」をクリックする

削除の工程は、最初に仮のフォルダにデータを移すようになっているため、データをシステムからすぐに削除することはできませんが、ミス防止の段階が追加されることで、ユーザーが意図せずに記事を削除してしまう可能性を減らしています。

ポカヨケのもう1つの例は、USB接続のインターフェースで見ることができます。

USBケーブルコネクタをUSBソケットに接続するためには、データ交換を行うために2つのコンポーネントを正しく合わせる必要があります。

誤った方向にコネクタを差し込むという間違いを防ぐために、コネクタとソケットには正しくない方向に接続されることを防ぐストッパーがあります。

0429-03_proper_orientation_of_usb

さらに、USBのロゴがUSBコネクターの上部に刻印されており、コネクターの接続方向を視覚的に示すという2段階のポカヨケが用意されています。

0429-04_usb_top

しかし、ユーザーはそれでもなおミスを犯す可能性があるため、USBのUIデザインは完璧なミス防止デザインであるとはいえません。コネクタを誤った方向に差し込もうとするようなミスを犯す場合もありますし、UIデザインによって自分たち自身でその誤りに気がつき、コネクタを正しい向きで差し込む必要があるからです。

ポカヨケの最初の、そして最良の例として、私たちは最初の段階で発生することが予想されるあらゆるミスの可能性を無くすようなUIを設計することを目指すべきです。

例えば、USBのようなデータ交換システムであるAppleのLightningケーブルは、どちらの方向に差し込んでもちゃんと機能するように設計されているため、USBのような挿入の方向に関する問題はありません。

0429-05_lightning_cable_interface

このLightningケーブルのUIデザインは、あらゆるミスの可能性を無くすことでポカヨケになっているのです。

ポカヨケをUIデザインに取り入れる最も明らかなメリットは、数時間かけて作った記事を間違って削除してしまうような悲惨なミスから私たちのユーザーを守ることができるということです。

私にとっては、ポカヨケはUXをできる限り良いものにしてくれるという一言につきます:ミスがほとんど発生しないということは、ユーザーがタスクをよりスピーディーに、かつストレスなく行うことができ、結果としてシステムの総合的なUXデザインの向上につながるということなのです。


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