スマートウォッチのUXデザインについて考えるべきこと

Zev Ginzburg

Zev Ginzburg氏は、Codalの専属UXリサーチャーです。彼の職務は、クライアントの考えを描き出し、国内外で利用できる情報源に変化させることです。技術仕様を開発者のために作成することは、モバイル開発、そして総合的な開発にとって極めて重要な第一段階となります。

この記事はUsabilityGeekからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Smartwatch UX Design – The Top Considerations

IoT(モノのインターネット)の中でも最も注目すべきなのは、スマートウォッチです。私たちは実際にスマートウォッチの台頭を目の当たりにし、精緻化の時代へと突入したといえます。数世紀後のスマートウォッチは、間違いなく今より一層精密に画面がデザインされ、さらに根本的に改良されたバッテリーを有していることでしょう。

スマートウォッチとハードウェアの協力 

スマートウォッチに使用されているハードウェアは実に多様で、Appleが主要事業者となっているようですが、市場ではLGやSamsung、Motorola、HuaweiがAndroid Wear製品とともに勢いを増しています。各製品のデザインと開発はそれぞれでかなり違いがあり、それらのスタイルを熟知することが、必要な研究へ投資することに繋がります。AppleのWatchKitは、ユーザーとデバイス、そしてウェアラブル端末間のインタラクションに対して、多岐にわたる提案を行っています。この組み合わせはこの3つの要因から成り立っていて、各インタラクションは非常に重要なものとなっています。Appleの場合、全てのデバイスの画面の比率が統一されているため、あまり心配はないでしょう。対してAndroidについてはより難しい課題が多くありますが、市場においてデバイスがより良い価格帯となっているため、ユーザー層が潜在的に幅広いものとなるという利点があります。

優れたUXとは

Appleは検索エンジンを持っていませんが、業界関係者は来年か、もしくは再来年にかけて徐々に展開されるのではないかと考えています。これは、スマートウォッチのデザインと開発を考えるにあたって非常に重要になってきます。Siri自体は、検索エンジンではなく、単にユーザーの考えとWebを繋ぐ媒体なのです。Siriの欠点はクエリをエンジンに入力した後、検索結果にフィルターをかけて最良であると思われる回答をユーザーに提供するという、追加の段階を踏む必要があるということです。

一方Google Nowは、Google検索エンジンと密接に統合されているため、直接的なクエリを利用できるという利点があります。繰り返しになりますが、Google検索エンジンはAppleのデバイスアシスタントと提携するために特別なことをしているわけではありません。違いは明白なのです。Siriはより人間的で、Google Nowは人間や友人になろうと試みているわけではなく、ただ検索結果を提示するものなのです。

Moto 360 スマートウォッチ (情報元:IKnowToday)

Moto 360 スマートウォッチ (情報元:IKnowToday

 優れたUXは、理想としては人間的な親近感と融合されるべきですが、ユーザーがタスクを完了する手順を減らすほうがより重要です。検索は、独自原則を採用しているユーザビリティの1つにすぎません。

AppleやGoogleのスマートウォッチの管理システムでは、デザインのガイドラインに従うことが重要です。Android Wearは、 Apple Watchのデジタルクラウンのような機械的な機能には対応していません。ほとんどの部分が、電源ボタンではなく画面上全てで操作することができます。よって、もしユーザーの指が大まかに見て画面サイズの3分の1から半分のサイズである場合、それに対応する必要があります。通知機能に関しては、通話を除いて、Android Wearは画面上でGoogle Cardオーバーレイを利用しています。カードオーバーレイは、デスクトップやモバイルデバイス、そしてウルトラモバイルデバイス (スマートウォッチ) などのプラットフォーム上で認識され、かつ同様の機能を発揮するよう努めています。Appleは少し少ないシェアを提供していますが、同社のUXはiMessageと非常に良く似ています: 

Apple Watch上の音声メッセージ (情報元:The Verge)

Apple Watch上の音声メッセージ (情報元:The Verge

Android Wear上では、Googleのマテリアル デザインは形よりも機能を重視しており、最も適切な情報を可能な限り提示します:

Android Wear上での情報提示 (情報元:Android Community)

Android Wear上での情報提示 (情報元:Android Community

全てはその手首に

一般的に、スマートウォッチでの動作のコントロールに対する直感的な性質は1つしかありません。それは、ウォッチを視界に持ってくるということです。何もかもが新しいものなのです。そのような小さな画面サイズで、ピンチズームやダブルタップといった動作は、大部分のアプリではおそらく機能しないでしょう。このような状況の中でデザインするということは、多くの機能を犠牲にすることを意味しています。そしてこれらの機能を排除することは、至難の業なのです。

ウルトラモバイルデバイスに対して直感的動作を1つ最大限利用するために、スマートウォッチのインターフェースデザイナーたちはプラットフォームの性質で制限された機能性を拡充する方法を模索してきました。スマートウォッチの主な機能は、ユーザーのスマホに対して「サテライトの付属品」としての役割を果たすことだということを覚えておいてください。効果的なスマートウォッチの機能は、関連のある情報だけを提示し、より詳細な情報を検索するためにユーザーをスマホに誘導することであるべきです。

Apple Watchの「Handoff」 (情報元:iMore)

Apple Watchの「Handoff」 (情報元:iMore

Android Wearの「Open on Phone」 (情報元:Make Tech Easier)

Android Wearの「Open on Phone」 (情報元:Make Tech Easier

Apple Watchユーザーは、「Handoff」というポータブルデバイスとウルトラポータブルデバイス間のシームレスな情報の転送を知ることになり、一方Android Wearはこの特徴を「スマホで開く」というボタンで知ることになります。どちらのエコシステムも、スマートウォッチの導入によって生まれた独創的なインタラクティブのパラダイムを利用する、数多くのアプリを持っています。この分野で特に優れているメッセージやナビゲーション、そしてフィットネスアプリがたくさんあります。「スマホで開く」機能を特に有効に利用しているGoogleのプラットフォーム上でのアプリをいくつかご紹介すると、HangoutsやUber、Google Fit、Skype、Evernote、IFTTTなどがあります。Appleのプラットフォーム上では、TargetやAmerican Airlines、Nike+ Running、Instagram、MLB.com At Batがあります。

この2つのスマートウォッチプラットフォームのうちの1つにデザインする場合には、スマホとスマートウォッチ間の双方向性を最大限活用することが重要です。関連情報を入手するために自分の手首をチェックするという直感性と、それをスマホを取り出して行う煩わしさと比較してみてください。生産的なUXデザインは、この2つのデバイス間の丁度良いバランスを追求するべきなのです。

全てを自分で

あらゆるプラットフォームと同様に、Apple WatchとAndroid Wearのどちらにも、計算機やコンパス、タイマー、ストップウォッチ、アラーム、そしてもちろん時計などのスタンドアローンアプリがあります。各エコシステムは成長し続けるため、スタンドアローンアプリの数もそれに従って増えていくことでしょう。スタンドアローンアプリは、時刻を知らせるといったスマートウォッチの核となる機能を取り扱うべきですが、一方で腕時計をより「スマート」なものにしてくれる技術的な発達も最大限利用するべきです。

常にユーザビリティに関する要件や新しい機能を心に留めておく

どちらのプラットフォームに対してデザインするにしても、UXデザイナーはスマートウォッチの導入に伴って乗じる様々なユーザビリティに関する要件や、新しい機能を常に心に留めておくべきです。画面サイズの縮小によって、「タッチするターゲット」のサイズは非常に重要な考慮事項になっています。同様に、「サテライトデバイス」としてのスマートウォッチの役割は、アプリをデザインする際に重要な要素となります。アプリのUXをデザインする際にこれらの要素を全て心に留めておくことは、スマートウォッチのUXデザインにとって非常に重要です。


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