Beacon UX:コンテキストを的確に捉えるということ

Zev Ginzburg

Zev Ginzburg氏は、Codalの専属UXリサーチャーです。彼の職務は、クライアントの考えを描き出し、これを国内外で利用できる管理された情報源に変身させることです。

この記事はUsabilityGeekからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Beacon UX: It’s All About Context (2015-06-17)

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まだ開発されていない、あるいは利用されていない機能に対して、ユーザーのニーズを取り入れることは非常に困難なことです。Beaconのデザインや開発においては、その機能やユーザーのニーズをコンテキスト(文脈、背景)として捉える必要がありますが、それを理解することは難しいです。ユーザーのニーズをコンテキストとして理解することというのは、ユーザーが何を期待するかを知ることと同義です。ユーザーが潜在的に期待しているのは何かを自分自身に問いかけることは、デザイナーまたは開発者がコンテキストを考える際に重要です。

Androidに組み込まれたGoogle Calendarを例に挙げてみましょう。リアルタイムの交通情報や通勤の手段 (車、電車、または徒歩) に基づいて、ユーザーが会議に出かける時間を知らせます。この機能は自動で作動し、ユーザーが環境に適応する必要があるときに、ユーザーに通知します 。

Beacon、またはBeacon機能が付いたモバイルアプリケーションにコンテキストを適用する際にも、同じことが言えます。ユーザーが起動可能なBeaconに接近し、通知が送信された後、ユーザーはどのように感じるでしょうか? ユーザーには、その通知が価値のあるものだったと思わせるべきでしょう。

そもそもBeaconとは何か

Bluetooth対応のBeaconは、限られた空間での接近を元に、情報や通知をユーザーに送信することができるデバイスです。食料品店や小売店での事例がわかりやすいでしょう。あるユーザーが地元の食料品店のアプリケーションをダウンロードして、そのお店が売り場で使用可能なBeaconを所有しているとします。例えばユーザーが特定の通路のそばを通ると、ある特定のブランドのコーヒーから「1つ購入するともう1つが無料になる」というオファーがユーザーに通知されます。それはユーザーがその商品を定期的に購入していたために通知されます。この方法により、その食料品店は在庫の移動を促し、顧客はお気に入りの商品に対する割引を受けることができたのです。

Beaconは、ユーザーのアナリティクスや近接マーケティング、店内案内、非接触型決済などの情報に基づいてコンテンツをモバイルデバイスに送信することができます。

Beaconは、店内GPSのような役割も果たしています。ある意味流動的であるため、ユーザーの現在位置 (この場合はお店) に基づいてある特定のユーザーに情報を送り、かつ過去のユーザーの履歴に基づいてこの情報を送ることができるのです。 

Beaconはどこで使用されているのか

上記の例のように、Beaconは当初小売業の場所において市場で取引されていました。IKEAやWalgreens、CVSのような非常に強健かつ豊富な機能を備えたモバイルアプリケーションを有している企業は、店内でユーザーが遭遇する可能性がある独創的なエクスペリエンスへの取り組みを行っています。買い物時にこれらのユーザーに情報を提供することで、企業ロイヤリティとあらゆるマーケティングの価値を向上させることができます。

このような開発者たちは、IKEAの買い物客が直面しそうな問題を考慮しなければならず、そのうちの1つがナビゲーションです。それぞれの場所は広大で、多層階の施設は買い物客の混乱を招くことが多いです。そこでIKEAは、自社のアプリにフロアの間取り図を取り入れることで、このナビゲーションに関する問題に対応しています。Googleはそれをもう一歩発展させて、最適化された店内のリアルタイムマップを提供しています。

Googleはユーザーの現在位置を特定するために、モバイルデバイスでGPS受信機を利用しています (本記事の冒頭の画像に示されています)。これは、電波がないときは問題になる可能性があります。Beaconは、ゾーンを構築し、各ゾーンからゾーンへの入退出記録を計測することで、この問題に対処しています。アプリが寝具売り場で「あなたは現在ここにいます」と表示した際、アプリは既定済みの「キッチン用品売り場」の場所を地図上に提示します。

Beaconは屋内のGPSとは異なり、クーポンのようにユーザーに情報を送信する働きがあります。 
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Beaconは小売り業者以外にも活用できるか

アプリケーションを構築する前に、もしBeaconが機能リストに追加されるのであれば、リサーチと発見の段階からまず始めることになります。Beaconに関心を持ちそうな業界は、セキュリティや交通機関、そして教育分野などが考えられます。交通機関の場合、Beaconのようなテクノロジーがすでにキーフォブ認証(認証機能付きキーホルダー型装置)などに取り入れられています。よって、運転手がそれをポケットに入れて自分の自動車などの乗り物に近づくと、ドアの鍵が解除されます。このコンテキストは、UXを大きく改善する操作から、ある段階を排除しています。

UXのコンテキストを定義することができれば、例えば図書館に訪問者を参考資料まで誘導するサポートを行うために、Beaconの採用を促すことができるでしょう。 Bluetooth対応Beaconがデューイ十進分類法(図書館で使われる分類コード)をナビゲートすることに対する答えである可能性があります。

モバイルデバイスである理由

Beaconは定位置で使用することもできるし、ユーザーが携帯することもできます。定位置用の受信機はサイズが遥かに大きく、携帯用に比べて非常に長持ちする交換電池を使用します。

大きな受信機、RFIDジャーナルより

大きな受信機、RFIDジャーナルより

このハードウェアはより幅広い機能を有しており、それは開発段階で考慮する必要があります。ユーザーは情報を受信するゾーン内でどのように操作するよう誘導されるのでしょうか? キッチン用品のクーポンを送信することは、寝具ではなくキッチン用品エリアに限定される必要があります。このような疑問を考慮することは、モバイルアプリケーションに取り入れられる予定の機能のユーザビリティにとって重要となります。 

小さいサイズのBeaconは、キーチェーンに適しています。このBeaconは規定のRFIDカードとしての役割を果たすようにプログラムすることができるだけでなく、入退出時間に関する様々な情報を全て表示するアプリと連動することもできます。出退勤したばかりの従業員が読み取り機に手をかざすと、情報がすぐに経理部へと送られます。

小さいサイズのビーコン、Engadgetより

小さいサイズのBeacon、Engadgetより

今すぐリサーチを始めましょう

 ユーザーがBeaconに対してどのような反応や行為を示すのかを特定することで、Beaconとの統合がより良い発明と理想を可能にします。状況に対するコンテキストをうまく捉えることで、スケジュールの約束や車のドアのカギの解除、また仕事の出勤記録など、一般的なアプリケーションのUXを大きく改良することができるでしょう。


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