スマートカーのユーザビリティとは? 自動車社会の未来を考える

Zev Ginzburg

Zev Ginzburg氏は、Codalの専属UXリサーチャーです。彼の職務は、クライアントの考えを描き出し、これを国内外で利用できる管理された情報源に変身させることです。

この記事はUsabilityGeekからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

A Conversation With Your Car – Usability In A Smart Car World (2015-07-06)

自走する車というのは、試行錯誤を十年間繰り返した後に、物理的にもソフトウェアの技術的にも、間もなく現実のものとなりうるコンセプトです。運転手たちの現時点の期待は、運転中でも、車庫納車時と同じくらい車両の情報や状態を知れることではないでしょうか?

それぞれのデバイス間でコミュニケーションを取るようなデバイスと、私たちが普段使用している現在の自動車を掛け合わせるには、それなりにお互いを適応させる必要があります。モバイルアプリケーションは、運転とおそらく特定のモデルの自動車に対するプロトコルを有する必要がありますが、運転手と自動車間のインタラクション、または自動車同士のインタラクションのユーザビリティに関する問題を全て対処しているわけではなく、また対処を開始してもいないのです。

メディアを超える

現在、AppleとGoogleは車内メディアと情報管理の開発のためのデザインと様式のガイドラインをそれぞれ持っています。AppleによるCarPlayは、地図やiTunes、Dialerなどのメディアシステムの中心となる機能を集約しています。この件に関する問題は、大手の自動車メーカーのソフトウェア技術者でない限り、デザインと開発は手が届かないような存在であるということです。

AppleのCarPlayの提携先 (情報元)

AppleのCarPlayの提携先 (情報元

同じように、AndroidやiOSなどの馴染みのあるプラットフォームの統合は、運転手の運転経験によってはある程度の直感性を与えてくれます。ボタンの位置とアプリケーションによるナビゲーションは、他のモバイルデバイス上にある場合と同じように作用します。

AudiにおけるiTunes (情報元)

AudiにおけるiTunes (情報元

iTunesは馴染みのあるUXを有しており、貪欲なiOSユーザーはすぐにそれを認識して、使用することでしょう。このようなユーザビリティに対する開発は、ただ「次の世代への第一歩」を磨いている段階、つまりスマートデバイス統一への序章でしかありません。

「次世代」への第二のステップ

FitBitは、テクノロジー市場で大きな成功を収めています。この成功の裏にある理由のうちいくつかは、ユーザーが自身のリアルタイムデータを確認し始めているという事実と直接関連があります。ユーザー自身のビッグデータは、大きなビジネスになっているのです。この種の技術を他の領域に適用する流れは、まもなく自動車の領域にもきます。そうです、自動車版のFitBitのようなアプリケーションは、すでに自動車メーカーによって複数の自動車用に開発中となっています。皆さんの運転データは、もはやダッシュボードのコンピューター上で利用できる情報だけに制限されることはありません。

専用のモバイルアプリケーションを採用した初期の自動車のうちの1つにNissan Leafがあります。エンターテイメントやGPSの付属品以上の役割を果たしてくれます。測定可能な全ての情報がユーザーに提供されるので、ユーザーはそれを利用して、運転中、そして運転していない時でもより多くの情報に基づいた決断を下すことができます。これは完全な電気自動車であり、また真のスマートカーでもあるのです。 

ユーザーは車内の空調を遠隔操作することができます。焼けつくように暑い日、あるいは非常に寒い日の場合、ユーザーは、オフィスなどから車内の設定を調節し、指での操作のみで好みの車内空間に変えることができます。

このようなプロジェクトに携わっているUX開発者は、ユニークなアイデアと挑戦を抱えていました。例えば、Leafは電気自動車であるため、バッテリーが完全に充電されているかどうかを確認することが大切です(安全装置プロトコルが装着されていたとしても、過剰供給を避けるために)。ユーザビリティの観点から考えると、モバイルデバイスの通知やアラーム機能は、非常に有効なツールとなっています。なので、自動車は今や自らユーザーに話しかけることができるため、ユーザーにいつ充電が必要か、またバッテリーがもうすぐ切れる時を知らせることができるのです。

将来のインタラクションでは、UXチームは一般的な運転に対応して、充電が必要な日時など、全てをアプリケーションから予測することでしょう。このような考え方は、ユーザビリティに精通している人の自然な領域の範囲ですが、スマートカーは単にブランドではなく、一揃いのソフトウェア製品の完全なサービスとなっているのです。

ユーザビリティを模索する 

モバイルUXの最も人気のある機能のうちのいくつかのものは、スマートカーへとそのまま転換することができます。「iPhoneを探す」は、商標登録されたソフトウェアのフランチャイズとなることができるでしょう。よって、近い将来ユーザーは、もし自分の自動車が盗難被害にあったり、アミューズメント施設の駐車場に駐車されている場合、「BMWを探す」や「Fiatを探す」といった文言を見かけることになるかもしれません。自動ロックも新たな意義を持つことになり、皆さんが自動車に接近すると自動でドアの鍵が解除されるようになるでしょう。Bluetooth対応のイグニッションスイッチは、ただの不完全なコンセプトではありません。

現在のところ、多くのアプリ開発者たちは、自動車などの乗り物が必然的に提供することができる全てのデータを、実際に活用するソフトウェアの実用化への新しいアイデアや方法について取り組み始めただけに過ぎません。しかしこれは、最先端の分野なのです。自動車版FitBitは、適切なユーザビリティがサードパーティによって発見されないため、未だに実現していません。Nissan Leafのアプリが2011年に配信されたにもかかわらず、このコンセプトを主流なものにするために、Toyota CamryやHonda Civic、またはFord F150といった売上高が高い車に採用するには時間がかかることでしょう。

「スマート」なのは車だけではない

最後に、ユーザーが自動車に関して使用するのは、専用のモバイルアプリだけではありません。屋内駐車場や自宅の駐車場、スマートハウスやガソリンスタンドなどは、デバイスネットワークが円滑に機能するために、開発を必要としています。なので、自動車に対するデザインと開発は、自動車だけに限定されているわけではないのです。個人の移動に含まれるすべてのインタラクションを考慮することは、次の数年間に期待されるユーザビリティ研究と開発の一部なのです。


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