4~6歳の子どもたち向けのデザイン②

Debra Levin Gelman

Debraは、子供向けのインタラクティブメディアの分野における研究者、デザイナー兼ストラテジストです。彼女はアメリカン大学でビジュアルメディア及び心理学の学士号を、ジョージア工科大学で情報デザイン及びテクノロジーの修士号を取得しています。

この記事はA List Apartからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Kids 4–6: “The Muddy Middle”
編集部より:この記事は全3回に分けてお届けしています。
第1回はこちら

ゲームの中に学びの要素を入れる

ユーザーにわざわざタスクを中断させてヘルプを見に行かせるよりも、ヘルプは適切なタイミングで見せていったほうがよいということは、デザイナーの方ならもう既におわかりかと思います。これは4〜6歳の子どもたちに対しては特に当てはまることです。この年代の子どもたちは、なぜ物事がこのような方向に進んでいるのかということに対して強い好奇心を持っており、全てのことを直ちに知りたいと考えています。昔の年代の子どもたちの「学校は悪」という精神とは異なり、今日の子どもたちは学ぶことに魅了されており、できる限り多くの情報を吸収したいと思っています。

このような新しい姿勢は、学習が昔よりもよりダイナミックで、体験的で、かつ独創的になっている、もしくはコンピューターやタブレット、及びその他のデジタル教育ツールが学習を楽しいものにしていることから生じた可能性があります。しかし、幼い子どもたちは依然として、自分が想定している学習時間よりも長い時間がかかると、落ち着きがなくなります。学習を迅速で、容易かつ楽しいものにし、学習を体験に組み込むために、短くて扱いやすい説明を提供したいものです。

Dinosaur Chessのアプリは、教育の側面だけではなく、その場その場のヘルプでチェスの学び方まで習得できてしまうという優れものです(図5.4を参照)。アプリを開始するにあたり、子どもたちは自分が何をしたいかを選ぶ必要があります。Dinosaur Chessの素晴らしい点は、このアプリがチェスに関することだけでなく、子どもたちが様々なレッスンを受け、自分の全体的な進捗状況を確認し、そして「dino fight!」というものに参加することができるのです。

このアプリのいいところは、このアプリがメニュー画面の宝探し形式の地図を通して、複数のアクティビティにつなげているところです。アプリはアクティビティを通してゆるやかな学びを促しますが、探索の余裕も残してあります。この仕組みは、順当な流れを確保しつつも、ある程度ユーザーの自由を赦し、ルールを破りたいと考えている子どもたちなどにはうってつけなのです。

図5.4:Dinosaur Chessは多くの学習の機会を提供しています。

図5.4:Dinosaur Chessは多くの学習の機会を提供しています。

ユーザーが「学ぶ」というオプションを選択すると、ユーザーはおじさん恐竜(なぜかスコットランド人という設定になっている)が、人を威圧させないような話し方でチェスのメカニズムについて説明してくれる画面へと案内されます。このような子どもたちは未だ読む学習をしている最中なので、デザイナーたちはテキストより音声によるナレーションを起用しており、ここでは非常によく機能しています。

レッスンは短くて扱いやすい単位に細分化されており(これはリスニングを通した学習にとっても重要です)、4〜6歳の子どもたちは1回に少しずつ学習し、準備ができた時に次のステップへと進めることができます。さらに子どもたちは、学習後に様々な動作を試しに実践することができ、これは観察と実践によって学習する低年齢層のユーザーには特に効果的です(図5.5を参照)。

このアプリが大人のユーザー向けにデザインされるとすれば、レッスンはもう少し長く、成人にとっては聞き、且つ読む作業双方の組み合わせが最適なので、オーディオに加えてテキストによる説明も含まれるでしょう。しかしながら、アニメーションによる実例や簡単な音声による説明は、集中力がなく、できる限り迅速に学習したい低年齢層のユーザーに最適です。

図5.5:Dinosaur Chessは、短くて情報が豊富な単位に区切られた説明によって、子どもたちにチェスの遊び方を教えています。

図5.5:Dinosaur Chessは、適度に短く、わかりやすい説明で子どもたちにチェスの遊び方を教えています。

Dinosaur Chessで私が特に気に入っているのは、プレイ中のガイドです。ゲーム中のどのタイミングにおいても、子どもたちはヘルプを参照するための「?」ボタンを押すことができます。多くのサイトやアプリが採用しているポップアップによるヘルプではなく、Dinosaur Chessは実際の画面と同じように作成されたアニメーションと音声ナレーションを使用して、図 5.6に示されているようにユーザーに次に取るべき動作を示しています。

図5.6:Dinosaur Chessはアニメーションとナレーションを使用して、項目ヘルプを提供します。

図5.6:Dinosaur Chessはアニメーションと音声ナレーションを使用して、ヘルプを提供します。


成果をフィードバックしてモチベーションを維持する

この年代の子どもたちを相手にしてきた人であれば誰でも知っているように、4〜6歳の子どもたちの集中力の持続期間は短いです。6歳以上の子どもたちはより長い時間集中力を維持でき、1回1回多くの情報を吸収できますが、それよりも下の子どもたちにとって上記の項目は特に当てはまります。幼い子どもたちに関して課題となっているのは、彼らは自分が集中できないことに対して苛立ちを覚え、そしてその苛立ちを体験自体に向けてしまうということです。

この点に対して、デザイナーは「アプリやゲーム、またはサイトを楽しく、かつ面白いものにすることで、子どもたちはより長く遊びたいと思ってくれる」と思いがちです。しかし、このようにはなりません。より良いアプローチとしては、子どもたちに継続して遊んでもらうために、その体験内でフィードバックを提供する機会を作ってあげることです。

以下に、子どもたちに特定の活動に継続して集中してもらうための方法をご紹介します:

集中力の妨げとなるもの除外する

子どものユーザーに対して、デザイナーは画面上の全てのものに何かをさせようとする傾向にありますが、4〜6歳の子どもたちにあるタスク(例えば、パズルを完成させる、またはゲームをプレイするなど)を完了してもらいたい場合は、余計な機能を削除しましょう。

細分化する

2〜4歳の子どもたち向けにデザインするような場合と同じように、4〜6歳の子どもたち向けのアクティビティを扱いやすい単位に細分化すると良いでしょう。このように細分化された構成部は、さらに年齢が下の子どもたち向けのデザインよりも少し規模を大きめにすることもできますが、数が少なくて一つ一つが長いものよりも、数が多くて明瞭、かつシンプルなステップのほうが良いです。大人のユーザーはできるだけ少ないステップで、かつ画面上で下にスクロールしてタスクを完了する方を好みますが、4〜6歳の子どもたちは1つのステップを完了するごとに新しい画面に移動する方を好みます。

やりがいのあるものにする

アクティビティの各項目が完了するごとにフィードバックを提供することで、ユーザーに継続してゲームをプレイすることを促すのに役立ちます。時間と予算に余裕がある場合は、タスクの完了工程で驚きと発見の要素を継続的に提供するために、複数の要素を組み合わせたフィードバックのメカニズムを活用しましょう。

次回、第3回目はゲームの自由度や、やりがいの演出について触れ、まとめに入ります。近日配信予定。

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