ユーザーとの対話のためのコンテンツファーストアプローチ

Ning T

Ning T.氏はProto.ioのコンテンツエディターであり、人類学者、ウェブデザイナー、そしてUXオタクでもあります。私は、猫やブルース、スウィング ダンス、そしてWes Anderson氏の映画が大好きです。

この記事はProto.ioからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Designing for Conversation: Content-First Approach (2015-09-14)

ある日デザイナーの友人が、クライアントとコンテンツマーケッターと行ったWebサイトプロジェクトについて会議について私に話してくれました。その会議で彼女は、彼らがコピーの草案を持ってきているかどうかを尋ねたそうです。 

コンテンツマーケッター:「そのページのコピーを考えるには、まず先にデザインが見ないと始まりません。」

デザイナー:「いや、そのページに何が乗っかるのかもわからないのに、デザインなんてできないですよね?」 

クライアント:「あなたがデザイナーの視点からいくつか軽くアイデアを出したうえで、コピーを書いてもらったらどうですか?」 

彼女がこの体験を私に話してくれたときに、私は2つのことを思い浮かべました。

1.デザインの見地とは何か? デザインはプロダクトの視覚的要素のみに関わっているということでしょうか? 

2.このひどい状況は、再び私たちにデザインが先か、またはコンテンツが先かという永遠の課題を突き付けます。

contentvsdesign

デザインの問題は、コンテンツとイコールではない

デザインはただただ美しく、何も伝えるべきではない」というようなことを言う人がいるでしょうか。

デザイナーの典型的な仕事の流れは、私の友人が参加したよう会議などから始めます。この後にワイヤーフレーム(モックアップ)の作成が続きます。最終的にデザインが承認されて、コーディングに送り出される前にも、更に多くの多くの会議がなされます。 

designprocess

(Source: changeorder)

コンテンツは主に、「すきまを埋める」ための手段として、プロセスのどこかに導入されます。「この言葉のかたまりを採用し、そこから素晴らしいデザインを作成する」という具合です。一般的に、デザイナーは言葉を扱わず、デザインに対するコンテンツファーストのアプローチは、一般的ではありません。

そのような仕事の流れが間違いなのではなく、むしろ生産性を大いに重視し、専門的な職種にわけられた今日の世界で、むしろ普通です。素晴らしいコードと優れたコピーを書く、才能のあるデザイナーを見つけることは、非常に求められている神話のユニコーンを狩ることと同類です。

問題は、私たちがプロダクト開発のプロセスを専門ごとの部分に分けていないということではなく、そうする際に、私たちが各部を「つなぐ」ということを著しく怠っているということです。確かに、例えば色、イメージ、左右対称、形とパターンなど、視覚的な面でしなければならないことがたくさんあるという、「デザインの見地」があります。しかしそれはまた、コンテンツに関してもやることがたくさんあります。

デザインは一種のコミュニケーションであり、コンテンツもデザインの一部なのです。プロダクトのデザインは、ただ空いているスペースにコピーを放り込むだけの作業ではありません。ユーザーとのコミュニケーションの一つの形なのです。デザインに依存するコピーと密接に連携するため、デザインはそのコピーをサポートするのです。人々のためにデザインする際には、コンテンツファーストのアプローチの採用を検討しなければなりません。

会話のためのデザイン

「デザインはデザイナーとユーザーの間の対話であり、双方間からやり取り可能なものです。そしてたとえ、ユーザーが現れた頃にデザイナーが不在だとしても、それは成り立つのです」 Don Norman 

デザインはコミュニケーションであれば、優れたUXは、円滑な会話のようなものであるはずです。それは誰かと気軽に話すときのような自然な感覚であるべきです。何かを得ようと思うわけでもないのに、会話から立ち去った際には何かを得た気がする、そんな感覚です。円滑な会話は、意味がある、濃い内容で満たされなければなりません。

conversation

リプサムを捨て去る

誰もLorem Ipsum(以下リプサム:デザインのダミーでよく使われる文字列)の意味は知りませんし、インターフェースのグラフィック要素に集中するためのダミーテキストとしての目的は、もはや時代遅れです。それは、コンテキストからコンテンツを取り除くことによって、ユーザー中心のデザインのあらゆる原則を否定しています。 

デザイナーとして、皆さんの目は活字に注目しているようです。画面上にどのように表示され、どのように感じ、そしてリーダビリティーの程度はどのくらいかと考えることでしょう。しかし、皆さんのユーザーはリプサムを読むことはありません。彼らは、有益で、説明的で、感情的で、説得力のある本当のコンテンツを読みにきているのです。ユーザーへ行動を促したり、彼らの行動を形作るのに大きな影響を及ぼしたりするのが、本当のコンテンツです。

美しさやクリエイティブさを見るためだけに、アプリをダウンロードしたり、Webサイトを訪問する人はいません(あなたが私のように、仕事の一部でない限りは、です。それでもコンテンツのないプロダクトは『モバイルアプリのUIデザイントップ10』のようなリストには載りませんが)。皆さんのデザインは、これを反映する必要があります。ただブランドにふさわしいタイポグラフィーを選ぶだけではなく、コンテンツを真面目なデザインの問題とすることについて考える必要があります。コンテンツファーストのアプローチを採用するには、まずはリプサムを捨て去る必要があります。

コンテンツマーケッターと共同作業を行う

理想はプロジェクトが完了するまで、プロダクトを構築することに関係するすべての人が協力して働くために調和した関係を作ることです。これはデザイナーとディベロッパーにとってだけでなく、ユーザーを研究する人やコンテンツを作成する人にも当てはまります。

そのようなコラボレーションを開始するために、関係者はユーザーが誰であるか、プロダクトを使用する際の彼らのニーズと目的をよく理解しなければなりません。これは、ユーザーの言葉と語調を用いて、ユーザーと話す方法を知るのに重要となります。 

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コンテンツファーストのアプローチで、コンテンツマーケッターはユーザーと行いたいと会話を書き出すことから始めます。彼らは、「なぜ、あなたはここにきたのか?」、「あなたは次どこに行きたいか?」、または、「あなたは、何を探しているのか?」のようなキーとなる質問を尋ねます。会話が進むにつれ、コピーが下書きされ、情報の構成が現れてきます。

ユーザーの意図と思考に集中しながら、コピーライターは魅力的な言葉を生み出していきます。コンテンツは、実際のユーザーとともにテストされ、そして完成されます。その一方で、デザインのアイデアが考案されます。コンテンツによって導かれるデザインの制約などは、完全なモックアップとプロトタイプが完成された後に明確にされます。コンテンツファーストのアプローチは、再デザインのフェーズの部分を排除することで、デザイナーが感じるフラストレーションを軽減するのに役立ちます。

またその他の関係者は、色や書体、行間、リンクのフォーマットなどのコンテンツの可読性に影響を及ぼす重要なデザイン要素を決定します。これらは、プロダクトを活かしも殺しもする可能性がある要素です。ユーザーは、コンテンツを通じて皆さんのプロダクトとやり取りします。コンテンツをまず重要視する際、必然的にすべての中心はユーザーとなるのです。

自分でもコンテンツを作ってみる

理想は、私の家具を壊さないような2匹の猫を飼うことです。残念ながら、それは実際にはありえません。また、上記のように同僚と実際に仕事をするのは難しいでしょう。理想的なシナリオは、労力を伴いますし、そこに辿り着くまでの道のりは非常に長いものでしょう。

では、コピーライターまたはコンテンツマーケッターがフーディーニ(米国のマジシャン)のような魔法の行為をうまくやることに決め、そして皆さんの締切が非常に差し迫っている場合、デザイナーはどうするべきでしょうか? コンテンツファーストのアプローチのために、自分でも独自のコンテンツを、デザイン戦略に導入し始めてください。

もし全員が同じ会議に出席したならば、皆さんにはターゲットオーディエンスが誰であるか、ユーザーの目的は何であるか、そして、どのようにプロダクトを介してユーザーと話したいだろうかということに対して、多かれ少なかれ同じ考えを有しているといっても問題ないでしょう。

writingcontent

実際、皆さんが考えつくコンテンツはおそらく、完璧なものではないでしょう。コピーライターがそれを閲覧するとき、それはコピーライターを動揺させてしまうかもしれません。しかし、完璧である必要はないのです。コンテンツの専門家は、後からそれを仕上げることができるのです。それは、リプサムとして知られているプレースホルダーテキストを利用することでは、決して得ることができない価値のある洞察を与えてくれることでしょう。

皆さんが携わっているのが既存のプロジェクトの再デザインである場合、皆さんはすでに、デザインに使用するコンテンツを有していることでしょう。利用可能なコンテンツを利用すると同時に、Webサイトやアプリの新しい目的に合わせるようにしましょう。すでにあるコンテンツを精査して(たとえそれが再度作成されるとしても)、同じ会話スタイルのテクニックを適用しましょう。

コンテンツを最優先にすることで、ユーザーにとって重要なものに対してより良いデザインをする助けとなるでしょう。皆さんの次のデザインプロジェクトでコンテンツファーストのアプローチを試し、そして@protoioで私たちにツイートすることで、その結果がどうなったかを教えてください。


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