人々の行動や生活スタイルを把握する方法として、「エスノグラフィー調査」があります。耳にしたことがあるけれど、具体的に意味や特徴を知らない方は多いのではないでしょうか。
ここでは、マーケティング・リサーチで用いられることの多いエスノグラフィー調査についてご紹介します。
エスノグラフィー調査とは
エスノグラフィー調査の概要
エスノグラフィー調査は、もともと文化人類学や社会学等で使用されていた調査手法です。対象者と一緒に生活することで、行動様式や生活習慣を実体験し、民族の暮らしや価値観を直感的、感覚的に理解することに効果的です。
テレビ番組で、現地に赴き未開の地の民族の生活を体験する企画をたまに目にしますが、これはエスノグラフィーの手法そのものと言えます。
「対象者とともに生活や体験をする」という部分をマーケティングの調査にも適用し、ユーザーの行動や生活スタイルの実態をあぶりだします。それによって商品開発やマーケティングに応用することが、一般的にエスノグラフィー調査の目的となります。
エスノグラフィー調査のポイント
エスノグラフィー調査は、以下のような流れで行われます。
- 参入したい商品、市場に関する現状を把握する
- 対象者の生い立ちや来歴など人物背景をしっかりおさえる
- 対象者の生活や職場に入り込む、体験を共有するなどして、価値観、行動を観察する
- 上記で得た気づきや仮説を手掛かりに、商品コンセプト・プロトタイプを作る
- プロトタイプをさまざまな人に使用してもらい、観察・フィードバック・修正を行う
エスノグラフィー調査はどんなときに採用する?
企業にとっては、以下のような状況のときにエスノグラフィー調査を採用するといいでしょう。
- 実際の商品使用シーンを観察し、意外なニーズやベネフィットの発見したい
- 対象者の生活文脈における、商品の存在意義の新たな発見を得たい
- 対象者の具体的な生活価値観の抽出がしたい
まとめ
人間の意識の9割は潜在的なものだと言われているほど、生活者を理解することは難しいです。エスノグラフィー調査をすることで、対象者本人ですら意識的になってない深層心理を観察し、商品や対象者についての意外な発見や知見が得られるでしょう。