オウンドメディア成功事例に学ぶ、ケーススタディ6選

企業が自社で管理し、消費者に向けて情報を発信するオウンドメディアは、見込み顧客との長期的な繋がりに欠かせないものとなります。オウンドメディアの成功と一言で言っても、何が成功なのかは、会社ごとに異なるもの。今回は異なる業種のオウンドメディアの事例を紹介して、どうして成功したのか、秘訣に迫っていきます。

オウンドメディアって何だっけ?という方はこちらの記事をご参照ください。

オウンドメディアにおける成功とは?

オウンドメディアの成功事例と言っても、企業によって様々ですが、一つ挙げられるとすれば、多くのユーザーに見てもらうことでしょう。ここで役に立つツールとして、Similar webがあります。おおまかなアクセス分析が可能です。オウンドメディアの成功の定義は、企業がオウンドメディアをつくるとき、どんな問題を解決したかったのかによって異なります。それでは、成功した企業の抱えた問題と解決を見ていきましょう。

事例1:スターバックス・コーヒー・ジャパン

Starbucksのオウンドメディア。月ごとのアクセス数は、およそ10万から15万(Similar webのデータより)消費者に向けて、新商品やサービス、イベントの情報やコーヒーの楽しみ方などを発信しています。

Similar webのデータをみると、バランスよくアクセスを確保していますが、Blog、Instagram、Twitter、Facebookなど、さまざまなメディアを持っていることもあり、SNSからのアクセスが35.52%と多いです。

Twitterのフォロワー数345万人は、日本でもトップレベルの数字です。(2017年1月16日現在)

・SNS戦略での問題

このように、SNSでは多くのフォロワーに向けて規模の大きいコミュニケーションを行っているのですが、その弊害として、新商品の発売などの広い告知以外の投稿が注目されにくくなってしまいました。大企業ならではの問題点です。この状況で、高関与の消費者に絞ってより強くブランドイメージを届ける目的で、オウンドメディアが大きな役割を果たします。

・ファン獲得のためのメディア

高関与の消費者は自社以外に足を運ぶことがないため、ブランド・ロイヤリティを高めることは、代替品の多い飲食業界ではとても効果的です。もともとロイヤリティの高い企業であるスターバックスにとっては、いかに高関与の消費者をつなぎとめるか、増やすかが重要でした。

メディアでは直接スターバックスの商品に関係のない記事が多く見受けられます。これは、「コーヒーを飲む」「スターバックスを訪れる」という体験そのものの価値を高めることを狙っています。これにより、「サードプレイス」(自宅と職場の間にある第3の場所)というスターバックスの価値を高めているのです。フォロワー数40万人を超えるInstagramと共に、スターバックスのロイヤリティを高めるメディアとして成功しました。

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事例2:サイボウズ式

グループウェアの開発、生産、販売を行うサイボウズ社が運営するオウンドメディア「サイボウズ式」。「ITとワークスタイル」をテーマとして、インタビューやイベントのレポートを掲載しています。月ごとのアクセス数はおよそ9万です。(liskulよりhttp://liskul.com/wm_ownedmsp11-4514

Social(SNS) Referrals(他のサイトからの流入) Search(検索) とバランスよくアクセスを獲得しています。中でもワークスタイルに関する記事が他のメディアにも取り上げられているため、Referralsが高いことが特徴的です。また、気に入ってブックマークをしているユーザーが多いためか直接アクセスするリピーターが多いことも強みです。

・低い知名度をどう上げる?

そもそもサイボウズがオウンドメディアを立ち上げたのは、競合が乱立する中で、自分たちの知名度のなさが今後致命的になると考えたからでした。生産メーカーなのでマーケティングスキルも編集スキルもない中、一から編集部門を設けてマーケターのスキル向上に努めていきました。

・粘り強さが鍵だった

オウンドメディアの利益は長期的に見積もらなければいけない、とよく言われますが、前出のようにサイボウズ式が実を結んだのは4年後でした。途中で記事の更新頻度が落ちても、成果が出るまで粘り強く続けたことが成功のカギの1つでしょう。

周りのオウンドメディアがかたい記事ばかりの中で、「サイボウズ式」は「新しい価値を生み出すチームのための、コラボレーションとITの情報サイト」をコンセプトに、就活や育休問題から、ほかの業界へのインタビューなど、仕事をめぐるさまざまな記事を書いていきました。

・売り上げを求めなかったことが成功に繋がった

カテゴリーや記事のタイトルなど、サイボウズ式は一見するとキュレーションサイトとも見紛うサイトです。サイボウズ式自体はもったく売り上げに貢献し得ないようにもみえます。

ですが運営3年目になりコンテンツが整いだすと、メディアの認知度が上昇したことで、それと共に「サイボウズ」の名前の認知度も上昇し、売り上げだけでなく、入社希望の数も増え始めました。リピーター率の高いメディアへと成長させることができたことで、サイボウズのファンを獲得できました。このように、世間の多くの人が感じている問題と、自社のコンセプトを上手に折り合わせ、広く社会に届けることができたことが、サイボウズ式成功のもう一つのカギでした。

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サイボウズ式4年間500記事のオウンドメディア成果まとめ――売上を求めなければ売上につながる

事例3:スキンケア大学


リッチメディア社の運営するオウンドメディア。「お肌の正しい知識を”医師”が解説するスキンケア情報サイト」というコンセプトで、月間のアクセス数は300万を超える人気メディアです。下図を見ての通り、85%以上の方々が検索から訪れています。

・高い検索流入

背景には、強力なSEO対策があります。「美容」のトピックは、多くの人が悩む話題であり、そのため多くの人が情報を求めて検索します。多くの人に共通する話題を特集する、悩みを解決することが目的であるメディアにとって、SEO対策はとても重要です。

▲「肌対策」というジャンルだけでも、数百の記事が存在します。

・効果的なSEO対策とは

SEO対策で決定的なのは、「ユーザーは、どんな情報が欲しいか徹底的に考える」ということです。美容メディアなら、今業界1番のメディアはどうして成功しているのか、ライバル会社を分析すること、美容で実際にどんな悩みを抱えているのか、アンケート調査やインタビューをすることなどを調べましょう。そのうえで、どうやって1番になれる記事を書くかを考えていくことが重要です。

SEO対策が目に見える様になるのも、また時間がかかります。記事がたまって、ユーザーの悩みを広く解決できるようになるまで、根強く続けることが必要になるでしょう。スキンケア大学では、2000名を超えるドクターが参画して、豊富な記事量でユーザーに満足されるメディアを実現しました。

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オウンドメディアの戦略やコンセプトで失敗しない方法

事例4:Beauty & co.

資生堂とインフォバーン社が共同で運営するオウンドメディア「Beauty & Co.」。「アラサー女子のキレイを応援します。」というコンセプトの元、美容情報を発信しています。

月間で約13万の訪問数を集めるなど、リニューアル後、数字は顕著に上がっています。

・ブランド名を活かすした戦略

数字を見ると、先程のスキンケア大学とおなじように、美容分野なので検索流入が多いですが、それとともにダイレクトが多いのが特徴的です。これは大企業特有の数字で、自社のブランドが強いほど、直接訪問する人が増えます。また、検索ワードも「Beauty & Co.」というメディア名を含むものがほとんどであり、確実にユーザーのニーズを満たせていることを表せています。

・大企業は情報統率が大事

大企業の場合、扱っている製品の数も部門の数も多く、それによって広報が扱わなければならない情報も多岐にわたっています。部門間での意思統一を図るためには、より何を解決したいのかという問題が重要になります。そこから明確な戦略のストーリーをもっていなければ、関係者の意思統一が難しくなってしまいます。

資生堂は3つのオウンドメディアを運営していますが、Beauty & co.は、ファッションやダイエットといった異業種からの切り口も用意し、顧客接点の拡大を目的としていました。この目標を基に、データでしっかりと裏付けをとったことに成功の秘訣があります。

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事例5:Lidea

株式会社ライオンが提供するオウンドメディア。「くらしのスペシャリストであるライオンの『暮らしのマイスター』と快適生活研究所の調査や研究によるさまざまなIdeaを発信します。」というコンセプトです。スキンケア大学と同じく、検索型のオウンドメディアといえます。

・専門家がコンテンツに関わった

オウンドメディアがよく陥るのは、専門的なコンテンツが作れないということです。社内にいる専門家には、必要とされる業務があって、コンテンツ制作にかかわることができないのです。こういった事例が多い中、Lideaはコンテンツに社内の人員を割くことで、信頼性が高いコンテンツを生み出すことができました。

成功しているオウンドメディアに共通して言えることは、信頼できるコンテンツがあることです。SEOやブランドに頼った運営をしていても、ユーザーから信頼されるメディアとみなされることはとても重要です。

・DMPの活用

Lideaが他のメディアと違う点として、会員登録ができるという点があります。これによって、ロイヤリティを高めることができるだけでなく、履歴から個々のユーザーの関心にあった情報を提供することができるようになりました。

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ライオン、新生活情報メディア『Lidea』を開設

一歩先ゆくオウンドメディア事例 –ライオン株式会社「Lidea」から学ぶ−

事例6:電通報

電通が運営するオウンドメディア。「広告業界の最新動向やトピックスに加え、コミュニケーション領域に関連する電通グループの先進の知見やサービス、ソリューションなどを紹介するニュースサイト」というコンセプトで掲載しています。

グラフを見ると、万遍なくユーザーを獲得していますが、Facebookアカウントを並行し積ん営しているので、SNS流入が高いのと、大企業なのでダイレクトが高くなっていることが分かります。

製品を作るB to C企業だけでなく、広告業界のようなB to B企業にとっても、ネームブランドを高める意味でオウンドメディアは有効です。

・取引用がオウンドメディアに

電通報は、1946年2月の創刊以来67年の歴史を持て、広告業界全般のさまざまな動向を伝えてきました。タブロイドで取引先に提供していたものを、業界をリアルタイムに発信していくことを目的にWebでの運営も始めました。このように、もともと社内でのみ公開していたコンテンツなどにコンテンツになる情報があるかもしれません。

電通はネームブランドが強いので、Beauty & coと同じく電通報目当てのユーザーを獲得できるかが重要でした。また、記事を執筆しているのは、コンテンツ業務のプロである電通社員なので、信頼性の高い記事を提供することができています。

参考記事

「電通報」がWebに 電通、広告関連ニュースサイト「ウェブ電通報」オープン

まとめ

いかがでしたでしょうか。全てのケースに共通するのは、目標設定と綿密な戦略です。自社のドメイン設定とユーザーにとってどのようなメディアを目指すのかを明確にし、達成するためにどんなフローで進めていけばよいのか設計することが重要です。それが、マーケティング的視点の第一歩になるでしょう。この成功事例の記事から、問題解決のケーススタディができたら幸いです。


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