モバイルデバイスの利用が伸びるとともに、ミニマリズムもまた増加傾向にあります。ミニマリズムは、アプリやウェブサイトに読み込み時間の高速化や画面サイズの互換性などの利点をもたらします。
素晴らしいユーザビリティと組み合わせた美しくミニマルなアプリは非常に印象的です。そして、わかりやすくシンプルなアプリはコミュニケーションにおいて非常に重要です。
しかし同時に、ミニマリズムを正しく行うことは難しくもあります。ミニマリズムを試してみたい方は、始める前にいくつかの基本的な経験則をしっかり理解しておくようにしましょう。ここで、ミニマリズムを上手く機能させるヒントをいくつかご紹介します。
余計な要素をすべて取り除く
デザイン内のすべてのアイテムには、目的がなければなりません。
ミニマルデザインにおいては、適当に扱えるスペースはありません。ページ上のあらゆる要素が意図的であり、目的を持ちます。必要不可欠な要素以外はすべて、デザインから取り除かれるのです。
Antoine De Saint-Exupery氏も次のように述べています。
追加するものがないときではなく、取り除くものがないときにこそ完璧が実現するのです。
ヒント:残すものと排除するものの判断は厳しく行いましょう。
- 写真のことは忘れましょう。メッセージを明確にするために必要な場合以外、画像は含めるべきではありません。
- 不要な言葉をすべて取り除き、できる限り簡潔に伝えましょう。テキストによる宣伝文句は、メッセージを完全に説明するために必要なごく最小限の情報のみを含める必要があります。また同時に、すべての意味ある情報を含めなければなりません。これを削減すると混乱を招き、欠陥のあるユーザーエクスペリエンスにつながってしまいます。
画面ごとに1つのフォーカスポイントを作る
メッセージをブラッシュアップしましょう。
画面上の要素を絞るほど、残った要素はより強調されます。ミニマリストの哲学は、コンテンツを中心にデザインしなければならないという考えに重点を置いています。コンテンツは王であり、視覚的なレイアウトはこれに敬意をはらうべきです。
これは気を散らすようなものを削ぎ落すだけでなく、コンテンツに焦点を当て続けることで、メッセージをより明確にするということです。したがって、クリーンなミニマルデザインは、コンテンツとCTA(コールトゥアクション)ボタンを強調する必要があります。
ヒント:まずは大まかなコンテンツから始めて、そこからユーザーにとってわかりやすいインターフェイスをつくりあげましょう。
配色パターンをシンプルにする
使用する色の数を制限しましょう。
配色パターンをシンプルにすることでユーザーエクスペリエンスは向上し、反対に色を使いすぎるとネガティブな影響を与える可能性があります。ただし、配色パターンを制限するということは、黒と白にアクセントカラーを1つ加えたデザインをする必要があるという意味ではありません。ミニマルデザインの考えでは、デザインを正確に描写し、階層をつくるときのみ色は使用されます。
ヒント:デザインに目立つ色を使用することを検討しましょう。大きくしたフォントサイズやアクセントカラーは、視覚的ヒントを追加しなくても画面の特定の領域にユーザーの注目を集めます。
ホワイトスペースをたっぷり使う
一息つけるような十分なスペースは、見た目が乱雑になることを避けるために役立ちます。
ホワイトスペースはコンテンツ間にある余白のことで、必ずしも白色ではありません。ミニマリズムには必須の構成要素であり、ホワイトスペースを使うことでデザインは視覚的に理解しやすく、読みやすくなります。ホワイトスペースを埋めるべき空のスペースとしてではなく、コンテンツのフレームやボーダーとして考えてみましょう。
ヒント:広いスペースは注目を強くひきます。周囲にネガティブスペースを増やすことによって、要素をより目立たせることができます。ただし、コンテンツ内において余白が、ユーザーの視点をうまく誘導するように気を付けてください。
まとめ
ミニマルなインターフェイスは確かに優れたデザインを実現する方法ですが、それ自体がゴールではありません。
つまり最終的な目標は、シンプルさを実現して摩擦のないデザインをすることです。そしてそれは、デザイナーがユーザビリティと洗練さを同時に実現したときにのみ起こるのです。ミニマリズムとは要素の削ぎ落とすということではなく、皆さんのストーリーを伝えるために必要なだけ追加を行うことだということを覚えておきましょう。