もしiPhoneの「3D Touch」がUIのスタンダードになったら

Rian Van Der Merwe

Rianは皆が使いたがる高品質のソフトウェアをデザイン・作成しています。『Making It Right:スタートアップのプロダクトマネージメント』という著作もあります。

この記事はThe UX Boothからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

The Next Step for 3D Touch (2015-11-10)

テクノロジーのこととなると、皆が賛同できそうなことがひとつだけあります。Louis C.K.の言葉を借りれば、「何もかもが素晴らしいのに誰もハッピーじゃない」。だから、iPhone 6sや6s Plusの3D Touchという機能が常に好評なのを見て、ちょっとした驚きを感じました。発売直後のiPhoneのレビューのほとんどが、生産性の上昇や機能の優れた実装に言及し、開発者はそれを使ってどうするかといった話に皆夢中です。

3D Touchをリサーチし、遊んでみて最初に思ったのは、TodayウィジェットがiOS 7に初めて登場した時と似た状況だということでした。これは便利そうな機能だということは直感的に感じるのですが、それをどう活用するのかは、ある程度慣れて新境地が開ける段階になるまで、いまいちよくわからないのです。もちろん、時にはAppleが電卓ウィジェットを削除しようとした時のように(ラッキーなことに今はもうそんなことはありませんが)、行き過ぎてしまうこともあります。しかし、本当に何かの能力を最大限に引き出すためには、それも必要なことです。

それでは、3D Touchとはどんな機能なのでしょうか。これまでに出ている例を見て、それから異なる方向性について考えてみましょう。

現在の3D Touch

最初から見ていきましょう。3D Touchは、iPhone 6sとiPhone 6s Plusで初搭載された新機能で、ディスプレイを押す圧力を感知するものです。機能を働かせる圧力の大きさは、弱・中・強でカスタマイズできます。3D Touchは新しいインタラクションを可能にしますが、Appleはこれを主に下の2点に分けています。

  • クイックアクションという機能で、ホーム画面から特定のアプリ操作が一押しでできます。
  • PeekとPopという機能で、全コンテンツをちゃんと見るかどうか決める前に、プレビューを見たりアプリ内で関連操作を行ったりできます。

Appleのヒューマンインターフェース・ガイドラインでは、これらの操作の使用用途に関してかなり広範囲な設定をしていて、「高価値タスク」への簡単なアクセスとコンテンツのライブ・プレビューであるとしているだけです。この説明はかなり広い解釈ができます。一般的に、クイックアクションはホーム画面からの操作を指し、PeekとPopはアプリの中での操作のことを指します。私はこの機能を調べ始めてすぐに、これらふたつの操作は次元を変えて見てみると良さそうだと感じました。操作の主要目的がわかると、3D Touchの方向性を考えるイノベーティブなアイデアが出てきやすくなります。

それを元にし、3D Touch操作を更にあと2種類に分割することができます。ひとつはショートカット操作、もうひとつはダイナミック操作です。

ショートカット操作は「クリック」(マウスで言うところの右クリック)の3D Touchにおけるオプション操作として使われ、操作をいくつかスキップしたり、不要なステップを避けるようにしたりするものです。Instagramでは、ユーザー名をPeekするとそのユーザーのプレビューが表示され、そのプレビュー画面からユーザーをフォローするかどうか決められるようになっています。Dropboxの場合は、ファイルをプレビューして、そこでそのパブリックリンクをすぐにシェアしたり、ファイルをオフラインビューできるようにしたりしてくれます。ホーム画面から、ツイートボットに最後に撮った画像をツイートさせることもできれば、メッセージアプリでは最新コンタクトのメッセージスレッドに直接ジャンプすることもできます。

このショートカット操作は他の使い方もあります。iOSキーボードの3D Touchをトラックパッドにしてモバイルのサファリ上で3D Touchを使えば、文字編集が簡単になります。こうした操作はどれも時間を節約してくれますし、ショートカットはほとんどの場合見てすぐにわかりますから、徐々に全アプリで標準仕様になってくるでしょう。 

ダイナミック操作は、もっとよく考える必要はありますが、将来は単純なショートカットよりもっと便利なものになるかもしれません。従来のショートカットとの大きな違いは、これらの操作を指で押す圧力の加減に頼るというところです。

サードパーティのアプリは既にダイナミック操作を実装し始めています。Magic Pianoはタッチの加減で音の大きさを決めています。子供用ゲームのEndless Alphabetではタッチの加減で文字が違う動きをします。Toppのコンセプトは興味深く、音量を変えたりなどの様々なものにダイナミック操作がいかに使えるかを示してくれています。

Synapticsのデモ動画―フォースタッチのデザイン VimeoのTopp動画より

今はまだ初期の段階ですが、これからの数週間、数ヶ月間で最もイノベーションが見られるだろうと期待ができます。

3D Touchの方向性

現在の3D Touchの位置は確認できたので、今度は方向性について話しましょう。もちろん私が最初に思いついたわけではありません。3D Touchに関するアイデアには既に面白いものがいくつか出てきています。ほとんどはショートカット操作カテゴリーのもので、このセクションにいくつかリンクを貼っておきます。一度3D Touchの違った次元の使い方を考え始めたら、近い将来が本当に面白くなってきます。

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このように4分割すると、3D Touchがただの面白い操作としか見えなかったものが、ユーザーエクスペリエンスにおいて信じられないほど便利な進化の可能性があるものとして見えてきます。

1. ホーム画面でのショートカット操作

iOSのコントロールセンターでのクイックアクションを使った企画はあちこちで見られます。Ran Avniは素晴らしい試作品をまとめあげ、これがどう作用するかを示してくれました。彼のコンセプトは、3D Touchを使ってWiFiアイコンやBluetoothアイコンを追加オプションとし、ネットワークやデバイスに簡単につなげられるようにするというものです。

ツイッターでは、Brenden Mulliganがオリエンテーションロックを使って、皆が喜びそうな皮肉たっぷりの機能、ビデオ鑑賞中にオリエンテーションを変化させないロックボタンというのを提案しています。

(日本語訳)iOS10にフォースTouchオリエンテーションロックのボタンと…

この機能の真のパワーは、アプリ内の特定画面へのただのリンクという枠を超え、OSのどこからでもデータを取り扱い、新規投稿作成などの標準アプリ操作にまでフィードするような操作にまで及びます。アプリ内の数回のタップをスキップして、ユーザーの多大な時間を節約するポテンシャルがあります。現在ある例では、Day Oneの「最新の写真」操作で、これはユーザーが撮った最新画像から新しい日記エントリーを作成するもの(下のスクリーンショット参照)です。そこから私達は「クリップボードのテキストをツイートする」、「自分がチェックした最後のマップ位置で会議予定を作成」など、あらゆる機能を想定していくことができます。

2. アプリ内のショートカット操作

これは上図4分割の中で最もわかりやすく単純なものと言えるでしょう。このタイプの操作は生産性の面で非常に価値があります。リンクやアドレス、名前などをずっとタップしていかなくてもPeekで見られるというのは素晴らしい機能で、アプリ内で使われる3D Touchのメイン機能であり続けるだろうと思われます。

Deep-links

ホーム画面の操作でもそうですが、Peekにデータをフィードしてくれるというのが、まさに実用性が見えてくる所です。私が知る現在一番ベストな例は、iOSのメールアプリの中で、時間や日付の参照をPeekすると、ユーザーカレンダーの断片が表示され、そこで会議予定などを追加させてくれるというものです。これはハイライトされた言葉でGoogle検索をしたり、お気に入りのコンタクトに画像をメールするなどのように、さらにもっと多くの操作ができるように進化する可能性があります。 

3. アプリ内のダイナミック操作

私が見たところでは、ダイナミック操作の部分での予測はかなり少なめのようですが、ここがとても面白くなりそうな所だと思っています。今のところ最も有望で実用的なものは『3Dフォース・タッチ:Peek&Popを超えて』でタッチの圧力を計測することについて書いたVictor Baroのものです。彼の発想で最も好奇心をかき立てられるのは、タッチの圧力量を写真画像のズームに利用するというコンセプトです。

Ryan McleodがiPhoneをキッチンの秤代わりにしてしまったのも注目に値します。このアプリはAppleに断られてしまいましたが、まだ希望はあります。http://www.gravity-scale.com/ に登録してアップデートを確認することができます。

アプリ内でのダイナミック操作は、私達がレベル調整のいろいろな応用について考え始めることができるようになると本当に面白くなりそうです。要するに、従来のUIの「スライダー」的要素があるものであれば何でもダイナミック操作のタッチで調整されるということです。音量調節、飛行機の乗客者数、マップ上の円の半径範囲(FoursquareやYelpのダイナミックサーチエリアを考えてください)など他にもたくさんあるでしょう。

4. ホーム画面でのダイナミック操作:メインUIとしての3D Touch3D Touch

上図4つの中で最も面白いのがこの右上、ホーム画面でのダイナミック操作と私が呼んでいる部分です。ここがまさに本当の魔法が起こり得る所です。最近あった議論でも特に本来のポイントから脱線してしまった、機能の切り離しと従来のUIからの脱却(例えば、『お知らせ:プルからプッシュへ』や『モバイルはニュートラルなプラットフォームではない』を参照)というトピックに特に関係しているからです。

それでは3D TouchがアプリのメインUIになったら何が起こるのでしょうか。もし私達がショートカット操作とダイナミック操作だけで他の操作なしのアプリを作ったとしたら、何が起こるでしょうか。私の頭にあるアイデアをいくつかご紹介しましょう。

  • 時計アプリをタップしてタイマーをセットする代わりに、ユーザーは時計アプリのホーム画面から様々なタッチ加減を使って時間を設定しタイマーをセットする。
  • Hueアプリを使ってスマートライトの明るさを調整する代わりに、ユーザーはアプリのホーム画面のアイコンを使いタッチ加減で明るさを調整する。
  • Nestアプリを起動する代わりに、ユーザーはアプリのホーム画面のアイコンを使いタッチ加減で温度計の温度を調整する。

表面上では信じられないほどシンプルな機能に見える中に、巨大なポテンシャルが隠れています。私の提案した4分割の図表に、ワクワクするような将来の可能性を書いてみてください。

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次に何が思いつくだろうと考えると、いてもたってもいられません。3D Touchを応用できる何かイノベーティブな発想はありませんか。下のコメント欄で是非シェアしてください。更に詳しく読みたい人は以下の記事がおすすめです。


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