コンテンツ・ストラテジストの仕事を数値化するには?

Jess Hutton

Jess Huttonはユタ州ソルトレイク市のClearlinkのコンテンツ・ストラテジスト兼UX専門家です。何年もユーザーのWebサイトエクスペリエンスを改善する方法を模索しており、いつも他の人達がWebをどう改良しているのかを知りたくてたまりません。

この記事はThe UX Boothからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Making Content Measurable (2015-11-03)

実際のサービスやプロダクトを販売する会社で、ROI(投資利益率)報告をするのは簡単です。「総利益-マーケティング費=投資利益」のような式か何かを使って計算することができるのですから。しかし、コンテンツ・ストラテジストとして、私の仕事のROIなどを提出してくれと言われた時は、壁にぶち当たってしまいました。等式にすることが不可能な、私の知識や情報と、ユーザーの消費時間の交換から成る利益率なんてどうやって証明できるでしょうか。

ほとんどのコンテンツ業界では、コンテンツ・ストラテジストは投資利益に関して責任はないと言われていますが、それをそのまま信じるには無理があります。デスクで1日8時間仕事をして給料をもらって、なぜ私は自分の時間と労力がいくら稼げるかという数字を出そうとすべきではないのでしょうか。ドルや影響力、リーチなど、どんな形であれ、私がもたらす利益はこの業界の他のところと同じくらい数値化する価値があるはずです。

この記事では、コンテンツ・ストラテジストが直接出せるROIのタイプ、ROI報告作成のためにチェックしておきたいメトリクス、そしてどんなWebサイトでも計測を正確にできるようにメトリクスの調整用リソースをレビューしてみます。

管理職が使う言葉がわかりますか?

ROI計算で最初に、そして最も重要なのは何を測るかです。私が働いているClearlinkは大量データと分析志向をもつコンテンツマーケティング会社で、そのマーケティング部門の取締役副部長は根っからのSEOスペシャリストです。その点、私の報告書はお金とリードにつながりやすいことはわかっています。

しかし、全ての幹部役員達が金額を成功のシグナルとして気にしているわけではありません。例えば、非営利団体の役員であれば、影響力やブランドの知名度、ボランティアの登録数などが大事かもしれません。教育ソフトウェア会社のCEOであれば、ソフトを売りたいというのはあるでしょうが、買い戻しやツール機能の理解、ツールがどうニーズにあっているかを教育者側に確認できているかなどについても関心があるでしょう。ソーシャルメディアプラットフォームのオーナーなら、リーチやブランドの知名度だけが貴重なメトリクスとなるかもしれません。

測定の前の最初の一歩は、何を測定するかを知ることです。測定は管理職が話す言語にあわせましょう、それが月毎のROI報告の修正を1件減らすことにつながります。管理職に理解してもらえるメトリクスの選択と、あなたのROI報告を管理職が確実に理解できるものにすること、そうすれば摩擦を減らし、共感的で前向きな自分に仕立て上げることができます。管理職の目には、会社の核心的目標をはっきりと理解・追及できる人間が1人増えたように映りますし、それはコンテンツチームのために声をあげることにもつながります。それでは、コンテンツ・ストラテジストがROI報告のためにチームと経営陣両方でコミュニケートできる言葉が何かを探っていきましょう。

メトリクスの分割

メトリクスには、ほとんどのデータ分析の種類でソフトとハードが存在します。ソフト・メトリクスは一般的に、収集と分析がしやすく、特にソーシャルメディアのデータは簡単です。ハード・メトリクスは、Google解析のように測定ツールや統計的有意性などを通して集めます。コンテンツ・ストラテジストにとって、ROIの数値はソフトとハードのメトリクスをつなげたところにあります。コンテンツの利益率を数値化するために、どうやってソフトなソーシャルメトリクスやユーザーによるメトリクスと、ハードなデータ主導型メトリクスを結びつけるかという例を次に挙げます。

直接フィードバックと間接フィードバック

直接フィードバックは自由意志ではっきりとした形で送られてくるものです。コメントやプライベートなメッセージ、製品レビュー、掲示板の投稿、ブランドや製品に関するツイート、QuoraのQ&Aなどなどがあります。また他にもアンケートや意識調査、評価シート、フィードバックのリクエストなどもあります。

よくあるのが、ユーザーがフィードバックを間接的に、あるいはブランド側に伝わることに気づかずに送ってくるものです。これはピン送信、ページや投稿のいいねボタン、シェア機能や掲示板投稿のおすすめ、それからブランド側の発信やスポンサーのないP2Pのツイートや購入記録などがあります。しかし、ユーザーが最も頻繁にブランド側に好みを伝えるのは、購入金額を通じてでしょう。

ハード・メトリクスでは、ユーザーのフィードバックはクリック回数や呼び出し、送信などの、ページ上で行われるあらゆるタスクの完了という形で現れます。これらは、メールアドレスや郵便番号の送信から購入完了まで広範囲に及ぶものです。このメトリクスはROI報告として非常にわかりやすいものです。週毎でも月毎でも、ある時間枠のコンバージョン総数を会社の利益金額に換算し、そこから同じ時間枠でマーケティングにかかった費用を差し引きます。マーケティングや諸経費を含まないでROIを測定する計算式がいくつかありますので参考にしてください。管理職や株主がどのような言葉を使うかを思い出して、彼らにとって一番理解しやすい計算式を選んでください。

行動のフローとコンバージョン

ユーザーフィードバックは、Google解析にあるファンネルトラッキングを通しても評価することができます。このツールは、ユーザーがどのページからやって来たかだけでなく、その後どのページを訪問したか、どのページで離脱したかも教えてくれます。

私のサイトでは、「長年続くアメリカンホーム」からやってくるユーザーが多いのですが、そのページはサイトの核心的ゴールとはあまり関係がなく、ちょっとだけトラフィックを増やすというものです。理想は、各来訪者が「無料引越し見積もり」のフォームを送信してくれる状態なので、そのためにアメリカンホームのサイトへのトラフィックのうち、どれだけがコンバージョンにつながっているのかを調べる必要があります。Google解析の行動フローレポートでは、自分が見たいトラフィックのセグメントを選び、結果をどうフィルターするかが選択できます。私のチームはこのページのトラフィックを増やすことに時間と労力を費やしたので、参照によるトラフィックのセグメントが私にとって最も大切な部分です。それとあわせてランディングページフィルターを使い、アメリカンホームのサイトのホームページや、見積もり入力ページなどの必須ページとの比較相対価値を見ます。

1ヶ月で、アメリカンホームは738件の参照訪問がありました。そのうち700件が離脱しましたが、1人勇敢なユーザーが数ページ冒険した後で見積もりフォームのページへ移動していました。

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ここでクリエイティブ思考が必要になります。引越しの見積もりフォームに何人記入してくれても、私の稼ぎは0ドルなのはわかっています。しかしそれでも、見積もりを送信してくれた人達に再度売り込む機会ができるので、これでメール15件分が追加されます。最初のフォローアップ・メール2件で平均して37.4%の開封率があり、その後は開封率が急に落ち込みますので、最初のメール2件が最も貴重だということがわかります。メールの送信1件につき、販売商品の1つを購入する問い合わせが最低で2件入り、こうした購入の最低売り上げ1件につき56ドルが会社の利益になります。

それでは、逆算していきます。738件の訪問者から1件の再売り込み見込み(またはおよそ56ドルの利益)がありましたので、仮に毎月700件中1件が56ドルの利益とすると、私はそのページのトラフィックを増やす方法を見つけるか、そんなに低いコンバージョン率のトラフィックを増やすために、なぜそんなに時間をかけているのかを再評価する必要があります。そこでもしトラフィックを増やすと決めたなら、次のような目標を報告することになります。

「アメリカンホームのページ来訪者の700件に1件がコンバージョンにつながるため、コンバージョン数を増やすには当該ページの月間トラフィックを3倍~4倍に増やす必要があります。トラフィックを4倍にするという目標が達成できれば、このページだけで1ヶ月に225.00ドルの利益が見込まれます。」

ヒートマップとアテンショントラッキング

ページ滞在時間やイベントトラッキング、離脱ページなどの解析データとあわせてアテンションソフトウェアを使うと、なぜユーザーがページ上でインタラクションをするか、またはしないかという理由がわかりやすくなります。

例えば、私がホームページのデザインを変更し、ヒーロー画像の下にわかりやすい3つのステップを書き加え、消費者にそのサイトの使い方を説明したとします。デザインチームは各ステップ用に「郵便番号を入力してください」「パッケージを選択してください」「ご連絡ください」というかわいい小さなアイコンを作りました。

そのページの目標は、ユーザーにヒーロー画像の中のフィールド内に郵便番号を入力してもらうことであり、直接的な説明を入れることで入力数が増えることを期待していたのですが、2~3週間後の様子では郵便番号の送信数に変化はありませんでした。Google解析でデザインを変更する前とトラフィック量が変わらないことがわかったので、今度はヒートマップを使って理由を調べました。

そこでわかったのは、ユーザーはヒーロー画像の郵便番号を送信するボタンをクリックする代わりに、使い方を説明しているアイコンの1つ「郵便番号を入力してください」をクリックしていたということです。ヒートマップがなければ、説明アイコンが勘違いされているということに気付くことはなかったでしょう。それから次は、ユーザーがそのアイコンをクリックすることで何を期待したか、なぜヒーロー画像のCTAよりもアイコンの方が良かったのかを判断しなければなりません。

郵便番号送信からユーザーが購入する場合、一人につき平均48ドルが会社の利益となることがわかっています。このケースでは、説明がない場合の郵便番号フォーム送信の月間ROIは既にわかっているので、説明アイコンがある場合のROIが大切です。ヒートマップで、コンバージョン見込みが行動フローのどこで失敗したのかという穴を見つけることができました。簡単な修正で、ユーザーの誤解が原因で失敗していたコンバージョン見込みのあるトラフィックのうち、約10%を取り戻すことができました。

このケースにおける部長への報告は、判明した漏れの修正、どう修正を計画したか、そして特定の郵便番号フォームを通じて増加が見込まれるROIの推定金額となります。

バウンス・レートとページ滞在時間

改善が必要なページのガイドラインとして、私はこれらのメトリクスをかなり使います。もしトラフィックの数字が上がり、直接もしくは参照経由トラフィックがたくさんあって特定ページへ移動しているのにのかかわらず、ユーザーがあまり長い時間滞在していない場合、そのページはあまり彼らのニーズにあっていないかもしれません。

例えば私は、ユーザーのほとんどがうちの奨学金ページや、更に突っ込んだリソースのページなどに移動してくれることを期待していて、それらのページは全て入力フォームか、あるいはエンゲージしやすいインタラクティブな要素のものにしています。Google解析によると、ユーザーは期待通りの行動をしており、私がユーザーに訪れて欲しかったページでほとんどの時間を過ごしていました。

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しかし、ホームページにも入力フォーム(上記表で「/」となっている項目)があり、そのページの滞在時間から判断してユーザーはフォームの入力はしていないようです。私の次のステップは、ヒートトラッキングの実施と、ユーザーが持つホームページへのニーズを誤解していないかを判断するためのカスタマージャーニーの再検証となります。

現在私達は利益額ではなく、ホームページでの入力フォーム送信の完成でROI報告をしています。私の経営陣向けの報告は、現在のタスク完了数(1ヶ月に約12件)と現在のトラフィック数(1ヶ月に1400件)を比較し、入力フォームへの入力件数を増やすために予定している手段を説明、現在のトラフィックのうち、促進努力によって何%が無料見積もり用の登録をしてくれるようになるかを見積もっています。

ボーナス・メトリクス:リンククリック

このFacebookやツイッターにある小さなメトリクスは見落としやすいのですが、とても貴重なものにもなり得ます。コンテンツが一つずつ投稿されるたび、Facebookやツイッターがリンククリックをトラッキングします。そしてリンククリックはGoogle解析の行動フローツールでサイトを通じてトラッキングされることになります。

二つの投稿を比較してみました。どちらもうちのWebサイトのユニークページにリンクしており、一方は販促なし、もう一方は100ドルの販促予算をつけました。

1週間後、Facebookのインサイトから、販促なしの投稿ではリンククリックが0件、販促ありの投稿で30件というレポートが来ました。Google解析のソース/メディアのところでトラフィックを相互参照してみると、Facebookからの参照30件全てが数えられていました。

しかし、参照数については今は気にしていません。私が知りたいのはFacebookからのトラフィックが入力フォームにつながっているかです。行動フローツールに戻って見ると、Facebookで私がシェアした販促付の参照経由のトラフィックは全て即座に離脱していることがわかりました。誰もコンバージョンに至っていませんでした。

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この場合、コンバージョンがないことは問題ではありません。ソーシャルメディアからのコンバージョンはあまり期待しないということもありますので。しかしそれでも、これは注目すべき大事なメトリクスです。もしコンバージョンを期待してFacebookにコンテンツを投稿するのであれば、行動フローツールとランディングページ統計の組み合わせで、自分がどれだけ近いところまで行っているかを知ることができます。もし投稿で予算をつけて販促したりしようとする場合は、これで即座にトラフィックとコンバージョンに関連した金額を計算することができます。

コンテンツのROIのための次のステップ

コンテンツ・ストラテジストがコンテンツ制作プロセスにもたらす価値を企業がより理解するようになれば、コンテンツ・ストラテジストが後ろポケットにこっそりROIベースのストラテジーを持っておくのも決して悪いことではありません。

まずは、管理職レベルであろうと直接報告であろうと、株主に会って、彼らが尊重するメトリクスを判断しましょう。そして一歩先を行くには、彼らの立場に立って戦略的に考え、彼らと会う時にメトリクスの提案や次のステップ、そして適切な戦略案を用意しておきましょう。

次に、トラフィック、コンバージョン、クリック、メール送信など、サイトの各ページの目標を設定し、それらのページを測定する鍵となるもののアウトラインを作成します。それから、それらのメトリクスを計測するためにGoogle解析レポートを設定します。後で自動で取り出せるように、カスタムのセグメントやレポート保存を作成したり、上層部にとって意味のあるようにデータをまとめあげられる報告用テンプレートを作ったりします。

三つ目に、グループの目標が達成しないところ、改善方法、変化を計測する方法、そして改善後の目標とする理想的な数字を割り出します。これには、OptimizelyのようなソフトウェアやUnbounce'sのようなプログラム、CRO(最高リスク管理責任者)やテストチームの助けが必要になるかもしれません。しかし、ページストラテジー中の抜け漏れや、その分野でのROIの向上に努める方法を割り出すことに前向きになりましょう。

四つ目に、一番難しいことかもしれませんが、自分で笛を鳴らしてみることも大切です。経営陣が報告書を欲しがろうとそうでなかろうと、報告をしましょう。一貫性を持って、タイムリーに、前向きに、そして何をしているのかを説明するのを怖がらないことです。コンテンツ・ストラテジストは、コンテンツ作成にROIを結びつけ、企業がコンテンツの付加価値について話ができるような方法を作り出すのです。


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2017/12/05(火)
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