参加型デザインを実践する方法

Ines Anić

この記事はUX Passionからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Participatory Design: What is it, and what makes it so great?

ソフトウェアのデザインへの比較的新しいアプローチである「参加型デザイン」は、ユーザビリティリサーチにおいて非常に貴重なツールであるということがわかってきています。なぜユーザビリティ専門家が参加型デザインセッションを実施しようとしているのかをご紹介します。

参加型デザイン(元は協同デザインとも呼ばれていました)は、プロダクトデザインへの比較的新しいアプローチです。最終的な完成品が意図したユーザーベースのニーズを満たすよう、株主、デザイナー、研究者、そしてエンドユーザー達が、デザインの過程において参加するというものです。 

参加型デザイン演習は、ソフトウェアやプロダクトデザイン、都市計画、建築、グラフィックデザイン、医学に至るまで、実に様々な分野で使われています。

つい最近まで大部分の顧客は、企業が自分達の「ために」デザインしてくれたわけではなく、寧ろ自分達に「向けて」デザインされているのだから、あまり直感的とは言えないアイデアや動作機能でも自分達が合わせなければならないと思っていました。参加型デザインは、この考え方を正すために、エンドユーザーを積極的にデザインプロセスに取り込もうとする画期的な発明です。

研究者や開発者側がエンドユーザーの世界に入り込もうとする共感型デザインとは逆に、参加型デザインは研究や開発の世界にエンドユーザーを連れて来ようとしているものだと言えるかもしれません。

ここで気をつけておくべきなのは、参加型デザインにおいてのユーザーは情報とアイデアの貴重なソースでありながらも、最終決定を許されているわけではなく、専門家のツールを使わせてもらえるわけでもありません。参加型デザインのセッションは、「理想の世界」の中でユーザーが使いたいと思うソフトウェアやプロダクトモデルを作ったり、デザインしたりするツールをユーザーに与えるという単純な演習で、その中においてユーザーにはなぜその特定の方法で理想のソフトウェアやプロダクトを作ったのかを説明してもらいます。

ユーザーの構築プロセスを観察したり、なぜこんな方法やあんな方法で作ったのか、という彼らの説明を聞いたりすることで、私達はただの面接では知ることのできなかった多くのことを学べます。

参加型デザインセッションはいつ実施すべきか?

・与えられた問題や試練、技術について人がどう考えるかをよく知りたい時に、参加型デザインセッションを実施しましょう。

・ユーザーが言っていることと実際にすることが同じでないと感じた時に、参加型デザインセッションを実施しましょう。

・ユーザーとあなたとの間に文化的または社会的につながりがない、または感じられないと思った時に、参加型デザインセッションを実施しましょう。

ツール 

この時点では、「参加型デザインセッションって素晴らしい! 是非私もやってみたいけど、どんなツールがいるんだろう?」などと考えているかもしれません。幸いなことに、参加型デザインセッションで使うツールというのは、何も決まったものがありません。

もちろん、参加者のユーザー達にブロックや石などを渡して使ってもらいたいと思うなら、それはそれで全く問題ありませんし、いい考えかもしれません!

何をデザインするかによって、セッションに必要なツールというのは何にでもなります。プロダクトや環境をデザインしようとしているなら、積み木やレゴ、粘土、ロープ、地図などを使いたいと思うかもしれません。付箋のメモでさえも、うまく使えるかもしれませんし、様々な異なる方法があるでしょう。

skica

参加型デザイン演習の最も素晴らしい点は、使用ツールに関して言えば、あなたの想像力以外に何も制限がないということです。

もしソフトウェアをデザインしているのであれば、ペンと紙だけ(またはホワイトボード!)にするかもしれません。白紙状態の異なるデバイス画面を作って、参加者に好みのUIを描いてもらうこともできますし、アイコンやボックスを切り取ってニーズに合わせて好みの位置にアレンジしてもらい、なぜその場所に置いたかを説明してもらうこともできるでしょう。

参加者にとって何が大事かを教えてもらうのではなく、見せてもらうことで、より具体的でより本音のデータをセッションから得られます。

終わりに

参加型デザインセッションはデザイナーや研究者にとって、エンドユーザーに会って一体感を味わえる素晴らしい機会です。ユーザーのためではなく自分のためにデザインをするという、結果として犯してしまいがちな間違いを、彼らの話を聞いて防ぐことができます。

使うツールをできるだけシンプルなものにすることも大事です。ツールに頼るあまり、参加者が伝えようとしているメッセージが見えにくくなったりしないようにしてください。たくさんの質問をしてください。そして、どんなユーザビリティリサーチのテクニックでもそうであるように、セッションのほとんどの時間を参加者の観察に費やすようにしてください。


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