プロダクトやWebサイトにおいて、何が機能していて何が機能していないのかを知るにはユーザーを数人観察するだけでも十分です。
Kelvin氏の言葉を引用すれば、何かを測定し数値として表すことができれば、そのことについてより良く理解し管理することができるでしょう。ユーザビリティを測定すれば、ユーザビリティの改善が顧客満足度とロイヤリティにどのように影響を与えるのか、より理解することができます。
ユーザビリティの測定は、モバイルアプリはもちろん会計ソフトや初期のプロトタイプ、成熟したWebサイトなど種類を問わず行うべきです。
この記事では、ユーザビリティを測定するときに理解しておくべき10の概念について紹介します。これは、デバイスやユーザーが異なったとしても、共通して言えることでしょう。
1. 万能なユーザビリティの測定手法は存在しない
Kelvin氏はユーザビリティを測定することで、より良く理解することができると主張しています。しかし、残念ながらユーザビリティを直接測定できる、信用に足る測定方法は存在しません。
ユーザビリティを直接的に測定することはできないので、かわりに良い体験や悪い体験の結果を測定するべきです。
2. 国際的な基準は存在する
ユーザビリティにはいくつかの定義があります。もっとも有名なのはISO9241のパート11の定義で、「利用する際の有効性と効率性と満足度を掛け合わせたもの」です。
3. 実際のユーザーに実際のタスクを行ってもらう
街中から無作為に誰かを連れてきて、デザインについてどう思うか聞いてみることにも多少の価値はあります。もし開発するインターフェイスが主に歩きながら使うものであれば、やらないよりはましでしょう。
しかし、ユーザビリティのもっとも優れた測定手段は、実際にプロダクトやアプリやWebサイトを利用する人に、実際に彼らが行うことになるタスクを試してもらうことです。
4. 複数の指標を利用する
ユーザビリティを測定するもっとも良い方法は、複数の指標を使うことです。指標は、ISOが定めたユーザビリティの定義と合致している必要があります。また、指標は一般的にタスク分析やサーベイ調査を通して測定されます。
タスクの分野には、有効性の指標として完了率、効率性の指標としてタスク時間、満足度の指標としてSEQなどを用いた難易度があります。そして、これらはより報告しやすい、単一のユーザビリティ測定(SUM)としてまとめることができます。
サーベイ調査の分野では、心理状態を定量的に測定することができるSUSやSURP-Qといった手法を利用します。
5. ユーザビリティは態度と行動からなることを理解する
ユーザビリティは態度と行動を掛け合わせたものだと見なすことができます。態度とは人々がインターフェイスについてどのように考えているのかということ、行動とは人々がどのようにインターフェイスを利用するのかということです。どちらもユーザビリティを効果的に定量化するために必要になります。
6. 態度は必ずしも行動と一致しない
人々は恐ろしく気まぐれでよく自己矛盾を起こすため、態度を正確に測定するのは難しいことです。私たちは使いやすさとパフォーマンスに関連性があることを発見しましたが、一方でユーザーの好みはパフォーマンスと一致しないことがあることを発見しました。
調査の参加者があるデザインではパフォーマンスが悪いにも関わらず、そのデザインを好きだという回答をすることは珍しいことではありません。このようなことが起きた場合、私たちはパフォーマンスを信用することが多いです。これは、ユーザーが実生活で複数の選択肢から1つを選ぶことはめったにないからです。
7. ユーザビリティにおいて第一印象は当てにならない
表情やパートナーとのデート [pdf]、生徒の教師への評価 [pdf]についての第一印象が正確であるという証拠がある一方で、Webサイトのユーザービリティについて最初の5秒間で受ける印象はそれほど信用できないということが発見されています。しかし、一度クリックさえしてもらえれば、おおむね成功を予測することができるでしょう。
8. 古典的なアンケートも役に立つ
タスクベースのユーザビリティ調査を行うことが常にふさわしいわけではありません。ユーザビリティに対する態度を測定するためによく考慮されたアンケートを使用することで、少なくとも問題の半分が解消されます。
アンケートは問題を見つけることにはあまり適していませんが、複数のプロダクトについての態度をベンチマークし態度の主要因を理解する方法としては安価で効率的です。
9. コンテキストが重要
ユーザビリティの指標は一定ではありません。指標はタスクやユーザー、そしてあなたが利用する手法によって変わります。回顧法によるアンケートはユーザビリティテストで収集した場合に比べて、態度の指標を高く生成する傾向があります。異なる文脈やユーザーで実施されたアンケートやユーザービリティテストのデータを比較するときは注意してください。
10. ユーザーの経験値も考慮する
すべてにおいて同じですが、より経験のあるユーザーは経験の少ないユーザーに比べて、多くの物事を自分が使えるものだと評価する傾向にあります。参加者の経験値を注意深く集めて分析し、判断に至った要因が決してユーザーの経験値だけではないことを確実にしましょう。