ビルから飛び降りる勢いでやれ!ゲリラ・ユーザビリティーテスティング

David Peter Simon

David Peter Simon氏は、世界的なソフトウェア会社のThoughtWorksのエクスペリエンスデザイナーです。余暇には、Indie ShuffleおよびHoliday Matineeへブログ記事を投稿しています。

この記事はThe UX Boothからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

The Art of Guerrilla Usability Testing (2015-07-02)

ゲリラ・ユーザビリティーテスティングは、強力なテクニックです。デザイナーであるMartin Belam氏は、このテクニックを「カフェや公共の場に1人でいる人たちを急襲し、彼らが数分間ウェブサイトを利用しているところを素早く撮影するアート」と表現しています。急襲するという部分は飛ばして、自分たちのチームがどのようにフィードバックを入手し、共有するかを含めた細かい部分に焦点を当てていきましょう。

先日、短期間でレスポンシブウェブサイトを構築するという案件を依頼され、そのクイックスタートプロジェクトに携わりました。僅かな時間の中で単独リサーチを行い、コード化を試みると同時に、ブランド・ポジションに関するフィードバックを収集しなければならないという状況でゲリラ・ユーザビリティーテスティングを実施しました。最終的に、顧客の期待と事業目的に合うデザインにすることができました。

プロジェクト期間中は週に1回、事業のアイデアを実現するために、異なる種類のプロトタイプのテストを行いました。例えば、開発中に情報カードへモバイルバージョンの略図を書き出し、簡単な評価を行いました。これによって、カスタマージャーニー内の重要点の再検討を促しました。その結果、 ナビゲーションに関する問題が特定でき、ブランドの媒体物質を少し形作ることができました。さらには、ゲリラ・ユーザビリティーテスティングは私たち利害関係者の目を覚まし、それによって自分自身、すなわち「ユーザー」に対する自分の中に本来ある思い込みに挑戦することになりました。

私たちは、ペーパープロトタイピングのようなローファイテクニックを使用して、自分たちのデザインアイデアを繰り返しテストしました。これはChris Cheshire氏によるスケッチです。

ペーパープロトタイピングのようなローファイテクニックを使用して、自分たちのデザインアイデアを繰り返しテストしました。これはChris Cheshire氏によるスケッチです。

最終的な結果ですか?ゲリラ・ユーザビリティーテスティングは、UXを洗練させるための簡単に実行できるテクニックとして誕生しました。これは低コストかつ迅速に、重要な想定内容の正当性を認証、もしくは非認証 するのをサポートしてくれます。

細分化

ゲリラ・ユーザビリティーテスティングが提供できる魔法のような機能を確認することが難しければ、取り入れたいとは思いませんよね。以下に、テスティングを開始する前に考慮すべき基本的な質問事項を挙げました。

①何をテストすべきか?

②どこでテストを行うか?

③誰とテストを行うか?

④どのようにテストを行うか?

何をテストすべきか?

この種のテスティングに関する最良の部分の1つは、大まかなコンセプトの草稿から完全な機能プロトタイプまで、ほぼ全てのものに対して行うことができるということです。Steve Krug氏は私たちがすべきであると考えた時よりも早く物事をテストすることを推奨しており、それには私も賛同しています。つまり、できるだけ早く、ビルから飛び降りる勢いでスタートしたほうが良いということです

製品をあるべき姿に形作るために、可能性のある製品の完成品をテストしましょう。緩く定義されたUIスケッチであっても、将来の製品を評価する素晴らしい方法となってくれる可能性があります。実際、最近のリサーチによると、高・低レベルのユーザーインタラクションに関しては、ローファイのプロトタイプがより価値のあるものであることが示されています。

どこでテストを行うか?

テストを実施する場所は、業務を遂行および文書化する方法に影響します。例えば、小売店チェーンのための新しいモバイルアプリをテストする場合、実際に店舗へ出向いて通路を歩くかもしれません。また、「一般的な」オフィスソフトウェアの開発に携わっている場合、当該オフィスの異なる場所で同僚とともにテストを行うかもしれません。ポイントは、コンテキストに応じて業務を行うということです。

誰とテストを行うか?

大衆市場のためのデザインの場合、調査の対象となる見知らぬ人に親しげに話しかけて、調査に数分間協力できるかを簡単に尋ねることができます。公共の場とショッピングセンターは、人の往来が非常に多く、リラックスした環境であるため、上記の調査を行うのに最適な場所の1つとなっています。しかし、より具体的なユーザーセットの場合は、場所や行動といった、ユーザーのコンテキストに基づいて対象者を定める方が有益です (上記をご覧ください)。

様々な文化的背景や異なる年齢層のテスト対象者を見つけることができるため、コーヒーショップは素晴らしい場所となります。

様々な文化的背景や異なる年齢層のテスト対象者を見つけることができるため、コーヒーショップは素晴らしい場所です。

どのようにテストを行うか?

テスティングは、極めて単純です。参加者がタスクを遂行している間、話をしてもらうだけです。基本的なタスクの完了ではなく、全体的な製品に対する理解度をテストするために、発話思考法を使用します。重要なことは、顧客が製品を使用しているところを観察し、そして静かにそのユーザビリティーを評価するということです。Sarah Harrison氏が説明しているように、「ユーザーの観察は、フロッシングのようなものです。つまり、人々は毎日行わなければならないことを承知していながら、それをしないのです。なので、とにかく行ってください。それほど大変なことではないです。」 

常に、以下のような自由回答の、答えを誘導しない質問から始めてください。

①これをどのように解釈しますか?

②ここでは何をしますか?

③それをどのように行いますか?

このような質問に答えることによって、参加者は製品をどのように捉えたかという説明を含めた、大まかな流れを話してくれます。この方法によって、私たちは開発サイクルの次の反復段階で、それを改善するアイデアを生み出すことができます。

テクニックを活用する

ゲリラ・ユーザビリティーテスティングは、状況への適応能力が非常に高いです。とはいうものの、様々な異なる海外のコンテキストにも一貫して効果がある、私が発見した有効なヒントをお教えしましょう。

潜在的な先入観にも注意が必要です。コーヒーショップはテストの参加者を見つけるのに絶好の場所ですが、頻繁にそのお店を訪れている人ばかりに集中してしまうと、私たちの業務に先入観や偏った傾向をもたらすことになります。単純にこのような潜在的先入観を認識することは、デザイナーが主観的なエクスペリエンスを中立化し、そして個人の相違を考慮するのをサポートしてくれます。異なる性別の参加者を対象とし、そして話しかける人全員に対して公平に対応するようにしましょう。

 ②今起きていることを説明しましょう。デザイナーは、私たちが誰であるか、なぜテストを実施するのか、そしてどのような種類のフィードバックを受け取ることを求めているのかについて、正直である必要があります。多くの場合、リリース・フォームを用いて行うほうがベストです。そうすることで、社内で使用されるのか、または世界的な会議で共有されるのかといった、人々が自分のテスト参加の結果を完全に認識することができます。これらのリリース・フォームは、持ち歩くのは面倒ですが、信頼関係の構築に役立ちます。

倫理的に行いましょう。もちろん、正直になることは、完全に全てをさらけ出すというわけではありません。時折、テストしている製品の開発に関わっているかなど、特定の情報は省く方が有益となります。代わりに、調査の目的について罪のない嘘をつくかもしれません。各セッションの終わりには、常に本当のことを確実に伝えるようにしましょう。真実は、成功する協力関係に欠かせないものです。

カジュアルな調査を心がけましょう。人と交流する際には、コーヒーや軽食を提供することで、テストをくだけた雰囲気のものにしましょう。テストの対象者と一緒に列に並んだり、注文をしたりするのは、対象者のライフスタイルについて質問したり、テストがどのように行われるのかというイメージを掴む絶好の機会となります。

参加型のものにしましょう。人々を巻き込むことで、隔たりを無くしましょう。例えばノートの端や1ページに、UIフローの3、4番目の画面では、何の閲覧を期待するか書き出してもらうようにしましょう。これは完成されたUIである必要はなく、考えている大まかなコンセプトで十分です。このように想像力を促すことで、思いもよらないことが学べるのです。

参加者を誘導しないようにしましょう。混乱を感じた時は、人々に何を考えているかを尋ねてみましょう。「わかりませんね。どのようにお考えですか?」と、人々に自分たちの考えを言うように促しましょう。テストを受けている人々は多くの場合、製品自体ではなく 自分たちがテストされているように感じるため、罪悪感を感じるか、または心を閉ざしてしまう可能性があります。

注意深く観察しましょう。後の分析のために受け取った意見を要約することは、とても大切です。エスノグラフィー観察調査は、テスト中皆さんが何を考えていたかを捉えるための、素晴らしい方法の1つです。正式なノートにばかり固執するのではなく、大抵の場合走り書きのメモで十分です。学会で発表するのではなく、記憶を呼び覚ますことが目的なのです。

フィードバックを入手しましょう。あらゆるテスティングプロセスの重要な部分は、学んだことを理解することです。これを行う方法は個人の選択によりますが、おすすめのツールがいくつかあります。例えば、SilverbackUX Recorderのようなアプリは、テスト対象者の顔の表情とともに、画面上のアクティビティの情報を収集することができます。他の研究者たちは、独自のモバイルツールを開発しています。ここで重要な部分は、皆さんの将来の共有のニーズに合ったツールを利用するということです。

時間にシビアになりましょう。覚えておいてもらいたいことは、ここは料金を支払って来てもらったユーザーがいるのであって、ユーザビリティーの研究所ではないということです。テストの対象者とともに過ごす時間に常に留意して、そして対象者はテスト中いつでも好きな時に出ていくことができることを、対象者に伝えるようにしましょう。最後に皆さんが欲しいのは、皆さんのフィードバックを別の角度から捉える、気難しいユーザーです。

フィードバックの共有

テストの実施は、もちろんですが戦いのほんの半分です。ゲリラ・ユーザビリティーテスティングから説得力があり、関連性のある結果をもたらすためには、デザイナーはテストによって発見したものを、どのようにして同僚と共有するのかを戦略的に決定する必要があります。

入手したフィードバックを分析および準備する際は、常にオーディエンスのことを考慮しましょう。最良のフィードバックは、利害関係者のことを理解し、そしてその利害関係者間の重要な議論を引き出すようなものです。例えば、バグを評価する必要があるデベロッパーは、新機能を優先している幹部とは異なるニーズを持っています。

次に、フィードバックを提出する際は、オーディエンスの予想に則したものを提供します。iMovieでクリップを編集するか、またはPowerPointでスライドを作成してみましょう。皆さんの同僚はおそらく、皆さんと同じくらい忙しいと思いますので、関連のある結果のみをまとめるか、強力な引用とともに箇条書きのまとめを提供するような「映画の予告」のようなものを編集することは、人々に話を聞いてもらう素晴らしい方法です。

ゲリラを試そう

1日の終わりには、ゲリラ・ユーザビリティーテスティングは様々な形となって現れます。アートに完璧なものはありません。恥ずかしがらずに堂々と、弁解をせず即席でできたものなのです。自分独自のアプローチを構築することを考え、そして始めましょう。実際にやってみることで学ぶことができるのです。


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2017/12/05(火)
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