ユーザビリティの課題を発見するための7つの方法

Jeff Sauro

Six-Sigmaの統計アナリストで、デンバー大学の非常勤講師。ユーザー体験を定量化する先駆者。UXに関する本を5冊出版しているほか、論文審査を経た研究論文は20以上。

この記事はMeasuring Uからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

7 METHODS FOR DISCOVERING USABILITY PROBLEMS (2016-01-05)

インタフェース上のユーザビリティの課題を発見して修正することは、UXの向上につながります。

ユーザビリティテストがWebサイトやアプリのUXを評価する唯一の方法だと考えがちですが、ユーザビリティの課題を発見する方法は他にもあるのです。

これから紹介する7つの方法は、実証的な手法(ユーザビリティテスト、アンケート、分析)と、検査的な手法(エキスパートレビュー、ヒューリスティック評価、認知的ウォークスルー、ガイドラインレビュー)の2つに分類することができます。それぞれに長所と短所はありますが、すべて課題の解明とUX向上に役立つ手段です。

1. ユーザビリティテスト

ユーザビリティテストは、UXを測定するもっとも一般的な方法です。ランダムに選出したユーザーに実際に作業を行ってもらうことで問題が明らかになり、貴重な指標を得られます。タスクレベル(SEQ)で指標を収集でき、かつ調査の最後(SUSSUPR-Q)には今後の改善や問題の症状に対するベンチマークを得ることができます。

調査をうまく調整すれば、ファシリテーターはユーザーの態度の理由を根本的に突き止めることが可能です。行動、発言、指標から総合的に判断して、何が問題で、何に修正が必要かの兆候を見つけることができます。

長所:多くの場合、一人のユーザーが問題に遭遇しただけで、ステークホルダーが直ちに改善する部分を突き止めることができます。

短所:適切な参加者や製品バージョン(特にB2Bソフトウェア)を見つけてテストを設定するのは難しい場合があります。基礎的なユーザビリティテストであっても、費用がかかり、計画・実行・分析に時間を要します。

2. エキスパートレビュー

エキスパートレビューもまた、もっとも一般的な検査方法の1つです。インタラクションとアプリケーションのドメイン(理想的には両方)に対して、熟練の専門家がインターフェースにある問題を体系的に検査することをいいます。評価をする専門家の経験が豊かなほど、また、ターゲットユーザーのサイトやアプリ上での目標や考え方を知っているほど、明らかにできる問題の数が増える傾向にあります。

長所:エキスパートレビューは比較的迅速に実行でき、ユーザビリティテストで発見できる問題点の約3分の1を明らかにすることができます。確認された問題が重複することは少ないですが、一人の調査員が別の調査員が発見した問題を指摘できなかったとしても、その問題点が重要であると承認しあう[pdf]ことで、より良い結果を得ることができます。

短所:個別にインターフェースを評価している専門家が、異なる問題を見つけてしてしまう、という欠点が多くの場合で存在します。さらに、実際には問題ではない問題を特定してしまうことがあります。ユーザーが絶対に遭遇しないような問題は、配慮する必要のないものです。また、評価をお願いできる専門家を複数見つけるのが難しい場合もあります。

3. ヒューリスティック評価

概略的な法則や経験則を、ヒューリスティックといいます。ヒューリスティック評価とは、熟練した専門家がヒューリスティック(ニールセンの10のヒューリスティックが有名)に沿ってインターフェースを査定することです。エキスパートレビューと同様に、ヒューリスティック評価では、複数の評価者が個別に作業するのが良いでしょう。ヒューリスティック評価は元々、評価者がヒューリスティックのみに配慮して問題を特定すべきだという考えから生まれました。ですから、ヒューリスティックに属さない問題を特定してしまわないよう、査定を進めていくうちに新たなヒューリスティックをでっち上げてはいけません。

長所:ヒューリスティック評価は、一般的な専門家レビューと同様に、迅速に実行できます。また、既知の問題領域での評価にフォーカスできます。

短所:実際には、すべてのヒューリスティック評価は、エキスパートレビューの一種の形式でしかありません。ヒューリスティックに従うことで実際にレビューの質が向上するかどうかは不明です。また、エキスパートレビューと同じく、専門家を見つけるのが難しい場合があります。

4. 認知的ウォークスルー

認知的ウォークスルーは、ユーザーがどのようにタスクを達成するかという点に重きを置きます。ユーザーが何を目標としているのか、その目標をインターフェース上でどう達成させているのか特定することを目的に行います。このとき評価者は、ユーザーがインタフェースを使うときに直面しうる問題を、細心の注意を払って見つけ出さなければなりません。

ユーザーがタスクを完了するまでに必要な操作について、それぞれ与えられた質問に答える方式です。

長所:タスクについて評価者がユーザーのように考えることができるので、一般的な検査では明らかにならない問題を発見することができます。

短所Polson et al氏が1990年[pdf]に開発した元々の方法は、タスクの各ステップで8つの質問に答えるものだったので、退屈で時間のかかるものでした。しかしこの点について、合理化された認知的ウォークスルー[pdf]と呼ばれる改良版では、それぞれのタスクでの質問の数を「このステップで何をすべきか理解できているか」、「目標に向かって進めているか」という2つに減らしてあり、かかる時間を短縮できます。

5. ガイドラインレビュー

ガイドラインレビューでは、評価者が一連のガイドラインとベストプラクティスから評価します。ガイドラインはヒューリスティックよりも詳細で、ときに非常に多くなります。たとえば、Smith & Mosierの著書には約1,000個ものガイドラインが含まれています。ガイドラインは個人的な意見ではなく、ベストプラクティス、方針、データに基づいていなければなりません。

長所:ガイドラインは詳細に作られているため徹底的に評価することができます。他の手段同様、比較的迅速に実行でき、また特に、予算の制約や整合性の関係で頻繁にユーザビリティテストができない製品に役立ちます。

短所:ガイドラインの内容は、インタフェースのあらゆる側面をカバーすべく、時間と共に増えていく傾向にあります。退屈で時間がかかるようになってしまったり、ともすれば新しい技術と無関係になったりすることさえあります。またどんなに細部まで説明しても、ガイドラインがインターフェイスをすべて説明できることは稀で、依然として解釈が必要な場合が多いです。

6. ユーザビリティアンケート

SUSやSUPR-Qのような標準化されたユーザビリティのアンケートに、その他の質問が組み合わさったアンケートを使用することで、システムがどれだけ使えるのかを把握できます。アンケート自体は通常、それだけで具体的な問題や修正すべき点がわかるほど詳細ではありません。しかし、アンケートの参加者に自身の経験から遭遇した問題を報告してもらうことは、もっとも起きやすい問題を明らかにするのには効果的です。

たとえば私の場合、オンライン保険預金口座で最近起きた1、2件の問題を簡単に挙げることができます。(なかなかコントリビューションを更新できないこと、新しい受取人を追加するのにとても時間がかかること。)

長所:多くの製品において、ユーザビリティサーベイは主要な問題と体系的なベンチマークの両方を迅速に得られる手法です。数十、数百の製品を測定しなければいけない企業がまず取り掛かるメソッドとして非常に効果的でしょう。

短所:詳細な問題を明らかにすることはまずなく、ユーザーの主観的な自己報告に依存してしまいます。

7. 分析ソフトウェア

分析ソフトを用いれば、WebサイトやWebアプリケーション(Googleアナリティクスなど)やデスクトップアプリケーション上での、ユーザーの使用状況や行動を簡単に追跡できます。分析ソフトウェアでは、人々がどの機能を使用しているのか、使用していないのか、人々がどのリンクをクリックしているか、いないのか、そしてどこから流入してどこへ流出するのかを知ることができます。何を調べれば良いのかわかっている場合、リアルタイムで問題を検出し、問題の症状を把握することができます。

長所:分析ソフトウェアは、一旦セットアップすればすべてのユーザーのWebサイトやソフトウェアのデータを収集してくれます。その一次データを使って分析するため、ふさわしくないユーザーや評価者を考慮する必要がありません。

短所:なぜユーザーがページを訪問しているのか、ページに滞在する時間が短いのか、機能を使用してくれないのかを知るためには、膨大なデータの中から問題を見つけるために不要な情報をふるい落とす経験値が必要です。また、ソフトウェアのセットアップと管理に技術者が必要になる場合もあります。

これら7つの方法からひとつを選択するのではなく、一緒に使用することでユーザビリティの問題を探しましょう。


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