モバイル向けサービスのデザインをしていると、ある段階でアプリをどのように開発するか決めなければならない局面にぶつかります。ネイティブアプリ、ハイブリッドアプリまたはレスポンシブWebサイトのいずれかを選ぶことになり、その決定は最終的な製品に影響します。
正しい決定を下すには、それぞれのタイプがどのように機能し、最終的な製品にどう影響するかを理解する必要があります。どれを選ぶかは、リソースおよび達成したいことによって異なります。
ネイティブアプリとは?
ネイティブアプリとは、特定のモバイルOSにおいて動作するよう設計されたアプリです。そのため、ほかのOSでは動作しません。たとえば、iOS向けのアプリを開発する予定であればSwiftを使うでしょう。
ネイティブアプリの最大の利点は、OSの機能に簡単にアクセスできる点、さらに、適切に開発されればエラーなくデバイス上で動作する点です。
しかし、これにはトレードオフがあります。ネイティブアプリは、同じOSのデバイスでないと動作しません。つまり、WindowsやiOS、Androidでアプリを提供したければ、それぞれのOSに対応した計3つのアプリを開発する必要があるということです。これにより、開発により多くの時間とお金がかかることになります。
ネイティブアプリを選ぶ場合、多くの企業はまず1つのOSに対応したアプリを開発します。もしアプリがその環境できちんと動けば、企業はほかのOS向けの開発に着手します。また、iOS向けアプリがほかの環境向けに発表されたアプリよりも、現状では収益性が良い傾向があるということも覚えておくと良いでしょう。
ハイブリッドアプリとは?
ハイブリッドアプリは複数のプラットフォームで動作するように設計されたアプリです。このアプリは単一のプログラミング言語(C♯やHTML5とJavaScriptなど)によって書かれ、それぞれのプラットフォームで実行できるようにコンパイルされます。各OSに特有のインタラクションは、そのOS用のプラグインを使って実装されます。
ハイブリッドアプリの最大の利点は、複数のネイティブアプリを開発するよりも費用対効果が高い点です。適切に実装されていれば、ユーザーはアプリがネイティブアプリかハイブリッドアプリかを区別することはできません。実際、ユーザーはアプリがどのように開発されているかを気にすることはないでしょう。ユーザーが気にしているのは、アプリがきちんと動き、期待する動作をしてくれるかどうかです。
ハイブリッドアプリの開発にはデメリットもあります。もしアプリがOS特有の複雑なインタラクションを必要としている場合、大きな課題に直面することになるでしょう。さらに、これを解決するためにプラグインができることは限られています。そのため、ハイブリッドアプリのサポートにかかる費用は、ネイティブアプリよりも高くなる可能性もあります。
レスポンシブWebサイトとは?
レスポンシブWebサイトは、アプリと似た機能を提供することができます。実際、少しのクリエイティビティがあれば、ほとんどアプリと遜色ないものを開発でき、ホームページを「フルスクリーン」表示にすることも可能です。
レスポンシブWebサイトの開発には、HTML5とJavaScriptを使用します。デスクトップ向けバージョンよりもシンプルな体験を提供するために、開発者はモバイルファーストを重視します。
レスポンシブWebサイトを選ぶ上での最大の難点は、アプリストアを通じてアプリを提供できない点です。アプリのダウンロードで収益を得ようと考えているなら、この選択肢は目的に当てはまらない可能性があります。さらに、Webサイトを使用するにはユーザーが常にネットに接続できる状態である必要があるという問題があります。どこからでもモバイル通信ができるような高度に発展した市場であれば問題にはならないかもしれませんが、未発展の市場なら深刻な問題になりえます。
ですが、アプリがモバイルサービスを支える原動力となっている一方で、この先これがまたくつがえる可能性があることも覚えておくと良いでしょう。平均的なユーザーは、既にひと月あたり30のアプリを使用しており、アプリストアには年間25万以上のアプリが公開されています。これは、ユーザーの視点から見ると、数が多すぎると感じてしまうことも考えられます。この点から考え、もしうまくデザインされたモバイルWebサイトがあれば、ユーザーはアプリから離れてWebサイトに戻ってくる可能性はあります。
まとめ
モバイルサービスは起業家に対し、大きな機会をもたらしてくれます。モバイルアプリは相対的に簡単に作成でき、コストも安価です。適切な開発アプローチを選ぶことは、適切な体験を提供する上で非常に重要です。ハイブリッド、ネイティブ、レスポンシブの違いを理解することで、最適な決定を下せるようになるでしょう。