音声インターフェイスのデザインで気をつけるべきこと

Brooke Hawkins

Brooke Hawkinsは、シカゴに拠点を置くヘルスケアテクノロジーの企業である、Emmi社の音声のUIデザイナーです。彼女の仕事には、患者がより簡単にヘルスケアを実行できるようにするための、外出用自動化システムをデザインがあります。

この記事はThe UX Boothからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

The Future of Voice Design (2017-02-14)

音声インターフェイスに対する注目が高まっています。消費者は音声で何ができて、日常生活でどのように機能するのかを見ようと、ワクワクしながらGoogle HomeやAmazon Alexaのようなツールを調べたり使ったりしています。このブームを一時的なものだと軽視してはいけません。

主流メディアとして音声インターフェイスを利用することは、長期的な兆候になってきています。私がIAサミット`17でセッションを開いたとき、批評をしたデザイナーチームは音声デザインについて学ぶことにとても前向きでした。またほかの人たちも、多くはためらいがちにでしたが、「今はこの流れに乗るべきですね」と言っていました。

音声デザインでは発言や返答などを文字化することで、ユーザーがとるべき行動を理解し、直面している作業をより簡単に達成できるようにします。インタラクティブコミュニケーションデザイナーとして、私もたくさんのライティング作業をしています。会話のデザインは、情報アーキテクチャをデザインすることと似ています。

究極的には、私たちはユーザーが作業を完遂したり、検索したいものを見つけたりするのに役立てたいと思っています。しかしビジュアルインターフェイスを使わずにこれらのタスクを完遂するためには、説明しなければならない音声デザイン特有の課題がたくさんあります。

実を言うと、UXデザイナーは音声デザインを効果的に行うために必要なスキルをすでに持っています。そのスキルは革命的な応用ではなく、むしろ私たちの多くが、ほかのデジタル媒体のデザインで使用してきたスキルの延長線上に存在するものです。この成長中の媒体を上手くデザインする方法を知ることは、デバイスを使ったコミュニケーションを設計するほかの製品やアプリの開発にとっても必要不可欠でしょう。

音声インターフェイスデザインの原則

会話のデザインは、音声デザインにおける究極的なゴールです。UXデザイナーはビジュアルインターフェイスを作成して、使いやすいナビゲーションを作ったり、ユーザーの行動を誘引したり、タスクの制約を取り除いたりします。音声インターフェイスでもこれと同様に、制約や混乱をできる限りなくして、ユーザーが作業を達成できるようにします。音声の場合は、滑らかな会話によってそれが実現されます。

エラー処理

音声によるエラー処理は、音声デザインならではのものです。ビジュアルインターフェイスにおいてユーザー思いでわかりやすいデザインを考えることと、ちょうど同じようなものでしょう。

エラー処理は、ユーザー思いな音声インターフェイスのデザインにおいて欠かせない要素です。視覚的な手掛かりなしで、どのようにしてユーザーはシステムができることとできないことを理解するのでしょうか? 答えは、考え抜かれたエラー処理を通してです。音声インターフェイスをデザインするとき、デザイナーはユーザーが何を発言するか予測しなければなりません。例として、私の仕事である、ヘルスケアでの電話応答のインタラクションデザインを挙げましょう。

私は今、結腸内視鏡検査を受ける必要のある患者に対する電話応答をデザインしているとします。結腸内視鏡検査の予約をしたいかどうかを患者に尋ねる場合、彼らの返事は、「はい」、「いいえ」、「電話しないでください」、「必要ありません」など、いくつか予測できます。

これらの想定される返答に対して、私は気の利いた応答をデザインすると共に、想定される返答のバリエーションも把握しておきます。「ええ」、「了解です」、「オーケーです」、「まさか」、「結構です」などが挙げられますし、「二度と電話して来ないでください」というのもあるでしょう。しかし患者がシステムに戸惑ったり使い方がわからなかったり、好奇心が働いたりするようなケースでは、「文法通りでない」喋り方をしたり想定外の返事をしたりすることがあります。

たとえば「ピクルス」などと発言するユーザーがいるかもしれません。

間違いなく私のシステムは、「ピクルス」という言葉に対しどう応答すべきかわかりません。デザイナーである私が、結腸内視鏡検査に関する質問に患者がそのように答えるとは想定していなかったからです。このシナリオのままではどうしようもないので、慎重に聞き直すか、ユーザーがどうしたいのかをもっと理解するために「エラー処理」を行います。

きちんとデザインされていないシステムだと、ユーザーの返事に対する限界が来たときに何も反応しなくなったり、システムが反応できる内容をユーザーが発言するまで質問を繰り返したりしてしまうでしょう。ビジュアルインターフェイスと同様に、デザイナーは想定されるエラーの過程をよく考えて、ユーザーがしたいアクションに戻るのを助けなくてはなりません。

この場合、私なら「大変申し訳ありませんが、よく聞き取れませんでした。結腸内視鏡検査の予約を取りますか? はい、いいえ、または必要ありませんのどれかで答えてください。」のように言うでしょう。ここでは、システムが限界に達したことをユーザーに示す応答をデザインしています。それに加えて、状況を前進させユーザーの目的を完了するための提案も示しています。

文法をデザインする

音声インターフェイスのデザインにおけるもう1つの重要な原則が、ユーザーがどのように応答するかを予測することです。これは文法のデザインとも呼ばれます。Emmi社の電話応答をデザインしたとき、私はよく電話で患者にたくさんの質問をしました。たとえば「今年インフルエンザの予防接種はもう受けましたか?」や「スクリーニング検査の予約に転送しましょうか?」などです。両方の事例において、私が想定するのはとても率直な返答です。大体の人たちは、「はい」「いいえ」「わかりません」のどれかを回答するでしょう。これらの返事をあらかじめ想定して、音声インターフェイスにこれらの答えを予測するよう教え込みます。そして患者が答えやすい質問を作成します。

しかしユーザーがどう返事をするか特定するのが難しく、彼らが私たちの予想通りに発言しない場合があります。多くのケースにおいて、ユーザーは音声インターフェイスを信頼し始めると、システムが理解するだろうと期待してより複雑な返事やフレーズを使うようになります。

たとえば、心不全のような特定の状態の患者には、より複雑な質問をするかもしれません。または、「咳をしたときにタンが絡むことはありますか?」と患者に質問して、医師が認識すべき深刻な合併症などをもっていないか特定しようとするでしょう。シンプルなシナリオの場合、私はユーザーに対して「はい」か「いいえ」という単純な返答を期待しますが、実際にはユーザーは人間に話すように丁寧な言葉づかいで返事をします。また「はい、そうです」や「いいえ、違います」のような言葉を追加するかもしれませんし、「はい、タンが出ます」や「いいえ、タンはありません」になるかもしれません。このような通常起こりうるばらつきを予想することで、私はより賢く現実の会話に酷似したシステムをデザインできます。そしてユーザーとの信頼を構築することができるのです。

言いかえると、私の音声インターフェイスとインタラクションしている患者の記録を聞いたり、たくさんの調査を行ったりすることで、返答にどのようなバリエーションがあるかを予測できるようになり、ユーザーの混乱やエラーに対するストレスを防ぐよう事前に対処できるようになります。


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2017/12/05(火)
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