「引き受けなければ、どうなっても知らないぞ。」
あるとき、クライアントは私たちに、自分たちのWebサイトを変えてほしいと要求しました。それらの要求は十分に妥当なものだったので、それ自体は問題ではありません。
問題は、クライアントがその支払いに応じなかったことです。
彼らは私たちと付き合ってきた「年月」が十分な対価だと思っていて、自分たちに従うよう主張しました。彼らは私たちを服従させるためにあらゆる戦術を試しました。名前を晒し上げたり、おどしたり、恥をかかせたり……何でもしてきたのです。
あなたは悪夢のようなクライアントに出会ったことがありますか?
脅迫的なクライアント、要求が多いクライアントや無知なクライアント。無料で仕事してもらうために、クリエイティブな方法を考え出し、こちらを操ろうとするクライアントに出くわしたことがあるかもしれません。
このようなクライアントに対処するのは非常に困難です。たった1つ間違った行動をとったことで、それに報復しようと、Yelpに悪いレビューを投稿したり、入金を取り消すとおどしたり、支払いを拒否したります。
ビジネスの脅威になるクライアント
このようなクライアントは往々にして、デザイナーのことを「所有している」と考え、自分にはその権利があるのだとデザイナーのことを見下しています。さらに悪いことに、フリーランスのデザイナーは、そのようなクライアントの考えを正当なものだと思っているのです。
多くのフリーランスは、このようなクライアントを失うことを恐れています。
悪質なクライアントは、この恐怖に敏感に反応し、信じられないほどのコントロールと影響力を手に入れるために恐怖を悪用します。彼らは悪質な行動と横柄な態度で、フリーランスを脅してきます。
フリーランスデザイナーには悪質なクライアントが必要
悪質なクライアントが深刻な被害を及ぼすのは、私たちデザイナーがそのようなクライアントを恐れているからです。そこで、悪質な顧客を上手く扱うためにフリーランスが打ち勝つべき3つの恐怖を紹介します。
- ビジネスを失う恐怖:この恐怖は、余裕がないことから生まれます。フリーランスには需要の見込み、売上、顧客が十分に存在しません。そのため顧客を欲する思いが強くなり、不安を抱いてしまいます。
- 恥をかかされる恐怖:クライアントは私たちの専門的知識やアドバイスに対価を支払います。そのため顧客は、デザイナーは頭が良くて間違いを決しておかさないと信じています。
- 見下される恐怖:顧客があなたを見下し、自分より劣っていると感じることほど悪いことはありません。デザイナーは、条件を提示して、対抗するためにできることをすべてやり、社会的地位を維持しなければなりません。
これらの恐怖において、もっとも大きな問題がわかりましたか? それは、デザイナーが自分のことで頭がいっぱいになってしまうことです。
これらの恐怖があることで、私たちの注意は顧客から遠ざかり、私たち自身に向かってしまいます。
そう、顧客を失う恐怖を抱くほど、実際に顧客を失う可能性を高くするのです。
恐怖は悪循環を生んでしまいます。
クライアントはこれらの恐怖を巧みに操り、欲しいものを手に入れようとします。より安く手に入れようとしたり、より良い条件で手に入れようとしたり、無料で仕事してもらおうとしたりするでしょう。クライアントはこれらの恐怖を見つけ出すと、有利に使う傾向があります。
悪質なクライアントが私たちに強いること
悪質なクライアントのせいで、私たちは恐怖に立ち向かうことになります。他人の弱みにつけこみ、利用するような人間に対処するには2つの方法があります。
- 酷使されるのを受け入れる
- 恐怖に立ち向かう
ほとんどの困窮しているデザイナーは酷使されるのを受け入れてしまいます。しかしすぐにこの選択が恐れていたよりも酷いものだったと気づくでしょう。
悪質なクライアントは最大限に悪事を働きます。酷いレビューを書き、割引やボーナス、景品などを要求し、ビジネスを悪い状態に陥らせようとします。
しかし信じられないかもしれませんが、これは良いことなのです。恐怖や悪用などは、すべてデザイナーにとって良いことです。
なぜフリーランスデザイナーは悪質なクライアントを必要とするのでしょうか?
悪質なクライアントは恐怖の予防接種なのです。
悪質なクライアントが、あなたにターゲットを絞っているとしましょう。彼らは悪いレビューを書き、入金を取り消して、法的に脅すなど、あらゆる手段であなたを攻撃します。
この攻撃で、あなたは叩きのめされてしまうでしょう。
あなたは血まみれで、打ちのめされ、疲れきっています。しかし、あなたは膝に手を打って這い上がり、くらくらしつつもなんとか起き上がります。足はしっかり地面を踏みしめ、立ち上がるのです。結果的に、あなたのビジネスは生き残ることができました。
立ち上がればすべてが永遠に変わる
叩きのめされることはそれほど恐ろしいことではありません。恐怖はそれほど強くはありません。恐怖を感じ、クライアントに叩きのめされている最中は非現実的になり、恐怖や不安を感じ、パニック状態です。
しかしことが終わって状況が少し良くなると、それほど恐ろしいことではないと感じます。
あなたは予防接種を受けたのです。
あなたが経験した苦痛のすべてが、あなたをより打たれ強くしました。今やあなたは以前よりもずっと多くのことに対処することができます。
この変化が起きるタイミングはそれぞれのデザイナーによって異なり、誰にでも同時に起こるわけではありません。しかし、あなたが耐えてきた悪質なクライアントによる乱用は、変化の第一歩です。
どこかのタイミングで、あなたはより強く、操られにくくなり、クライアントに悪用されにくくなります。
では、いつそうなるのでしょうか?
それはすべてあなた次第です。
悪質なクライアントはビジネスに役立つ
恐怖を感じていると、悪質なクライアントは自分勝手になり、間違った行動をとってしまいます。悪質なクライアントは、恐怖によって関係性を毒してしまいます。
しかし、デザイナーのあなたが、解毒剤となるのです。
あなたの以前の経験と、そこから学んだ教訓を活用すれば、悪質なクライアントが広めている毒を中和することができます。
うまく処理できれば、クライアントを完全に改心させることができます。以下の教訓を教えてあげましょう。
- 適切な行動だけを歓迎する:受け入れることができる行動の基準を設定します。健全な行動のみに対応し、それ以外は無視したり拒否したりしましょう。
- 信頼性:クライアントは子供のようです。クライアントは最初に、許される限界を見定めるためにテストをします。強く健全な境界線を持つデザイナーは、クライアントに安心感を与えることができ、信頼されます。
- ビジネスを失うことを恐れない:「デザイナーが顧客を必要とする以上に、顧客がデザイナーを必要としている」というメッセージを暗に送りましょう。ビジネスを失う恐怖に立ち向かうことで、デザイナーを上回るクライアントの力を取り除くことができます。最低でも、クライアントと平等な立場を築くことができるでしょう。
- 屈辱と劣等感に負けない:これによってクライアントに自信を与えることができます。たとえそれが気恥ずかしいことや屈辱を受けることであっても、クライアントに配慮し、誘導し、保護するためなら、何でも進んで行いましょう。
先述の恐怖に直面することで、クライアントが選ぶ選択肢の上位に入ることができます。選りすぐりのクライアントを引き寄せ、悪質なクライアントには改善してもらいます。
態度を改善しないクライアントへの対応
何も改善しようとしないクライアントにはどのように対処したら良いのでしょうか? 答えは簡単です。締め出せばいいのです。もしお金が必要で、そのようなクライアントと関係を続けなければならない場合は、連絡を最小限に抑えます。
彼らが口頭でののしったり、こちらを操ろうとしたりした場合は、電話で話すことをやめ、代わりにメールで話し合いましょう。信頼できない場合は、プロジェクトを中止したり、費やした時間に対して料金を払わせます。
悪質なクライアントから身を守るために、できる限りのことをして、ゆっくりと、しかし確実に彼らの行動を制限しましょう。
悪質なクライアントを必要としない場合
悪質なクライアントとの仕事を終えれば彼らから解放されます。解放されたら、距離をおくプロセスにとりかかりましょう。「打ち切り」や解雇ではなく、彼らから距離をおくのです。
彼らが行動を改善しない限り、彼らから距離をおきましょう。
シンプルに、彼らに電話をかけることをやめましょう。メールを送信したり、新しい仕事をもちかけないでください。もし、クライアントがもっと要求するなら、彼らを隔離して関係を継続させることができます。彼らと仕事を続けたくない場合は、きっぱりと拒否してください。
- 「今はそれをすることはできません。」
- 「今、xyzに集中する必要があるので、またの機会でもよろしいですか?」
- 「3ヶ月はそれを始めることができません。別のオプションをおすすめしましょうか?」
このようにゆっくりと彼らの前から消えていきましょう。
彼らの尊厳を守って、悪質なクライアントに面目を保つ機会を与えてください。
わざわざ悪質なクライアントを求めるわけではない
悪質なクライアントは自然と生まれるわけではありません、作られるのです。私たちの行動が悪質なクライアントを作り出し、私たちのマーケティングが行動をうながしてしまっているのです。
彼らが乱用しようとしてくるのを受け入れないでください。
悪質なクライアントから学びましょう。ビジネスをより良くするために、彼らがもたらした経験を活用してください。彼らがもたらした毒に対して自分で予防接種を打ちましょう。しかし、何をするにしても、困窮したフリーランサーがおかすような間違いをしないでください。
恐怖に負けないでください。
では最初から悪質なクライアントを避けたほうが良いのではないでしょうか? 明白な問題ですよね? 困窮しているデザイナーは別として、誰がわざわざ悪質なクライアントと取引するでしょうか?
しかし、どのデザイナーも、いつか取引することになるのです。
ほとんどのデザイナーは、少なくとも一度か二度は、自分の直感を信じたことがあるでしょう。「私はこの件には良い予感がする」と言い、クライアントを受け入れ、あとで間違っていたことに気付くことになります。
このような間違いはよく起こります。ほとんどの過ちを避けることができるのは事実です。しかし、そのいくつかは見逃してしまう可能性があり、避けることができません。
悪質なクライアントは、ごみを食べるネズミのように機能不全と毒性を食します。ごみを取り除けば、ネズミは寄ってきません。
悪質なクライアントは怖くない
悪質なクライアントは、脅迫的で、毒を放ち、私たちを操作しようとしてきます。彼らに対処するのは困難です。しかし、恐怖を抱かなければ、彼らがデザイナーやビジネスを傷つけることはありません。
確かに、嘘をつくクライアントもいます。あなたを傷つけようとするクライアントもいるでしょう。しかし、あなたは予防接種を受けています。恐怖はコントロールできませんが、自分をコントロールすることはできます。経験を通して、悪質なクライアントが主張するすべてのことに対処できることを学んでいるのです。
ごみを処理すれば、悪質なクライアントは文句のつけようがありません。ごみをなくせば、そのことがすぐにわかるでしょう。
もはや悪質なクライアントは必要なくなります。