【連載】インタラクションデザインとは? ②手法編

UX Booth

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この記事はThe UX Boothからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Complete Beginner’s Guide to Interaction Design (2015-10-27)

この記事は、インタラクションデザインをもっと学びたい人向けの連載です。UX Boothの記事を基にインタラクションデザインに関する様々な情報を全5回に分けてご紹介していきます。

①基礎知識編②手法編③ツール編④著名人編⑤団体・書籍編

第2回は、一般的に用いられている5つの手法についてみていきます。 

一般的な方法論 

インタラクションデザインはWebやモバイルの無数のタイプのアプリケーションやサイトに及びますが、全てのデザイナーが頼る手法がいくつかあります。ここでは、そのうち特に一般的な、目標主導型デザイン、ユーザビリティ、5次元要素、認知心理学、ヒューマンインターフェースガイドラインについて説明します。

目標主導型デザイン

目標主導型デザインはAlan Cooperが1999年に出版した彼の著書『囚人の収容所経営:ハイテク製品が私達を狂わせる理由と正気を取り戻す方法』(日本語版邦題は『コンピュータは、むずかしすぎて使えない!』)で有名になりました。Alanは目標主導型デザインを、問題解決を基本原理とするデザインと定義しています。言い換えると、目標主導型デザインは、技術面で可能な性能に焦点を当てていた従来のデザイン手法とは逆に、何よりもまず特定のニーズとエンドユーザーの要望を満たすことに焦点を当てたものでした。

今日では、デザイナーは開発側の制約だけを基にしたインタラクションを選ぶことは全くないので、Alanが提唱したことには疑いの余地がないように見えるものがいくつかあります。しかし、方法論とは本来、今も昔も同じように、エンドユーザーのニーズや要望を満たすことが全てです。

Alan曰く、目標主導型デザインに関するプロセスには、インタラクションデザイナーとして5つの発想の転換が必要です。

5tenets

1. デザイン、そしてプログラミング。つまり、目標主導型デザインは、技術的な検討よりもむしろ、ユーザーがどうインタラクトするか(そしてどんな風に見えるか)を検討するところから始まるということです。

2. デザインとプログラミングの責任の所在を分ける。これは、技術的な制約に悩まされることなく、エンドユーザー側に立てるインタラクションデザイナーを別に用意することの必要性を説いています。デザイナーが技術面を扱う開発者を信用できることも大事です。実際そうしなければ、デザイナーは利害の衝突に悩まされることになるとAlan Cooperは言っています。

3. プロダクトの品質とユーザーの満足度はデザイナーの責任。株主やクライアントにも彼ら自身の目的があるでしょうが、インタラクションデザイナーにはスクリーンの向こう側にいる人に対する責任があります。

4. 一人の特定ユーザーを想定する。このアイデアは、今ではペルソナという、ユーザーリサーチでは一般的に使われるようになった概念に発展しました。しかしAlanはペルソナをプロダクトに結びつけること、そして「この人はこれをどこで使うだろう?」「この人はどんな人だろう?」「この人は何をしたがっている?」と常に問いかけることを思い出させてくれます。

5. チームは二人体制で。最後に、インタラクションデザイナーは地下室で一人作業していてはいけません。他人との協同、Alan Cooperが言うところの「デザイン・コミュニケーター」であることが鍵です。

ユーザビリティ

ユーザビリティは曖昧な言葉に聞こえるかもしれませんが、本来デザイナーは単純に、「これは簡単に使えるか?」ということを常に考えています。書籍やオンライン上であらゆる説明がされていますが、一般的なテーマとニュアンスだけをここでまとめておきましょう。

Alan Dix、Janet E. Finlay、Gregory D. Abowd、 Russell Bealeら共著の『ヒューマンコンピュータインタラクション』では、ユーザビリティは3つの原則に分けられています。

ラーナビリティ(学習性):新ユーザーはインターフェースのナビゲーションを容易に学習できるか?

・フレキシビリティ(柔軟性):ユーザーがシステムとインタラクトするのに多くの方法があるか?

・ロバストネス(堅牢性):ユーザーがエラーに直面した時に、私達はユーザーをうまくサポートできているか? 

その一方でNielsenとSchneidermanは、ユーザビリティは5つの原則から成ると説明しています。

・ラーナビリティ(学習性):新ユーザーはインターフェースのナビゲーションを容易に学習できるか?

・エフィシェンシー(効率性):ユーザーは素早くタスクを遂行できるか?

・メモラビリティ(想起性):ユーザーがしばらくシステムを使っていない場合、インターフェースをどの程度覚えていられるか?

・エラー:ユーザーはいくつエラーを起こしているか、素早くエラー状態から回復することができるか?

・サティスファクション(満足度):ユーザーはインターフェースを楽しんでいるか? 結果に喜んでいるか?

最後に、国際規格(ISO 9241)も以下の5つの原則に分けています。

・ラーナビリティ(学習性):新ユーザーはインターフェースのナビゲーションを容易に学習できるか?

・アンダースタンダビリティ(理解度):ユーザーは見たものをよく理解できるか?

・オペラビリティ(操作性):ユーザーはインターフェース内でどれだけ操作できているか?

・アトラクティブネス(魅力度):インターフェースは視覚的に魅力があるか?

・ユーザビリティ・コンプライアンス:インターフェースは標準に準じているか?

明らかに、インターフェースが「ユーザブルな(使いやすい)」ものであることが何を意味するか示す、共通したテーマがあります。デザイナーが従うユーザビリティの原則が何であろうと、あらゆるインターフェースにおいて重要な検討事項です。

5次元要素

 Bill Moggridgeのインタビュー本『インタラクションをデザインする』で、インタラクションデザインの学者であるGillian Crampton Smithが「インタラクションデザイン言語」の4次元要素という概念についてインタビューに答えています。これらの次元はインタラクションそのものを作り上げ、結果としてユーザーとスクリーンとのコミュニケーションを作り上げます。オリジナルの4次元は、言葉、視覚要素、物質あるいは空間、そして時間です。つい最近、IDEXX研究所のベテランインタラクションデザイナーであるKevin Silverは5つ目の次元である行動という概念を付け加えました。

・1次元:言葉は、簡単に理解でき、エンドユーザーに容易に情報を伝達するように書かれるべきだというものです。

・2次元:視覚要素は、グラフィックスや画像など、本質的には文字でないもの全てにあたります。視覚要素は、盛り込み過ぎないよう、適度に使うことが大事です。

・3次元:物質あるいは空間は、マウスやキーボード、モバイル機器などユーザーが実際にインタラクトする物理的なハードウェアを指します。

・4次元:時間は、ユーザーが最初の3つの次元でインタラクションに費やす時間の長さです。サウンドやアニメーションの長さはもちろん、プログレス(進捗状態)をユーザーが測る方法を含みます。

・5次元:行動は、Kevin Silverが書いた記事「インタラクションデザインにおいてデザインを決めるものは何か」で付け加えられたものです。ユーザーがシステムとインタラクトする時に持つ感情とリアクションです。

インタラクションデザイナーは、これら5次元の要素を用いることで、まさしくユーザーがシステムとコミュニケートし、つながる時のエクスペリエンスに注意を払うことができます。

認知心理学

認知心理学は、心がどのように働くか、そこでどんなメンタルプロセスが起こるかを研究するものです。アメリカ心理学会によると、これらのプロセスには「注意、言語使用、記憶、認識、問題解決、創造性、そして思考」があります。

心理学は非常に広い分野ですが、認知心理学には特に重視される鍵となる要素が幾つかあり、実際にインタラクションデザイン分野の形成に一役買ってきたと言えるでしょう。Don Normanは著書『日常のモノのデザイン』で多くのことを訴えています。ここでは少しだけ紹介しましょう。

・メンタル・モデルは、ユーザーの心の中のイメージで、ユーザーがインタラクションやシステムに何を期待しているかを教えてくれます。ユーザーのメンタルモデルを知ると、インタラクションデザイナーは直感的感覚のシステムを作ることができます。

・インターフェース・メタファーは、既知の行動を利用してユーザーに新しい行動をとらせようとするものです。例えば、ほとんどのコンピューターにあるゴミ箱アイコンは、予測される行動についてユーザーに警告する意味で、実際のゴミ箱に似た形にしています。

アフォーダンスは、何かをするためにデザインされているだけではなく、何かをするためにデザインされていると見えるようにデザインされているものです。例えば、実際に押せるように見えるボタンは、インターフェースのボタンを知らない人でも、どうやってインタラクトするかを直感的に理解できるようにデザインされたアフォーダンスだと言えます。

ヒューマンインターフェース・ガイドライン

このセクションはちょっとした誤謬になってしまいますが、適切なヒューマンインターフェースのガイドラインが一組存在するというわけではありません。しかし、ヒューマンインターフェース・ガイドライン作成の背景となる考え方自体が、方法論なのです。AppleやAndroid、JavaやWindowsなど、ほとんどの主要テクノロジーデザインのビジネスで各々のガイドラインが作られています。目的は全て同じで、有望なデザイナーや開発者に、誰もが直感で理解できるようなインターフェースやプログラムを作ってもらえるようアドバイスや提言をして注意を促しています。