オンボーディングという用語は、人事部に由来します。オンボーディングとはもともと、新しく会社に入った人たちに社内で必要とされる知識やスキル、行動規範などを覚えてもらい有能なメンバーになってもらうことを意味していました。この新規の雇用者をサービスにおける新規ユーザーに置き換えても、イメージはまったく同じでしょう。
オンボーディングを、新規登録におけるユーザージャーニーの一部分であると考えてみてください。オンボーディングは入口部分であり、ユーザーにとって初めてのアプリ体験になります。
オンボーディング体験には、良いものも悪いものもあるでしょう。私は、最高の体験をもたらすオンボーディングを見つけました。それは、新規登録のボタンをクリックするところから実際に製品を使用するまでの全体の流れを踏まえたオンボーディングです。
ユーザーが必要としていることとは
まず、オンボーディング体験を生み出す目的は何でしょうか。ユーザーには何が必要ですか? あなたの製品を使用するには、ユーザーからどのような情報を入手する必要がありますか? そもそも製品を使用するためにアカウントは必要ですか? wireframe.ccを使用するためにアカウントは必要ありませんが、作品を保存したい場合にはアカウントはあったほうが便利です。ただ、アカウントを必要としないので、すぐにアプリを使い始めることができます。これは、かなり直感的です。
このサービスでのオンボーディング体験は最小限ですが、この製品を使用するために必要なものはすべてそろっています。
ユーザーのメールアドレスの必要性
製品やサービスをより複雑にしているものは何ですか? Slackのようなアプリのオンボーディングはどうでしょうか? Slackを使うためには、アカウントが必要です。そのため、オンボーディングはホームページから始まります。
またSlackの例では、メッセージアプリケーションに参加する前に、ユーザーのメールアドレスを有効にする必要があります。最初にメールを有効にせずに無料でアプリをダウンロードしてインストールすることはできます。ところが、ほとんどのアプリはメールアドレスの確認を要求し、ユーザーがそれに従わないと、ある時点でアクセスをブロックするのです。
しかし、すべてのアプリがそうではありません。これはよく覚えておくべきことです。ユーザーを取得する際に、メールアドレスの確認はどれほど重要でしょうか? よく考えて決定しましょう。
別の例として、Eventbriteのアカウント作成を見てみましょう。まず、メールアドレスとパスワードを入力してアカウントを作成します。そして、あとからメール経由で認証を求められます。メールのリンクをクリックしてアカウントを有効にすると、新しくパスワードを作成するページに移動します。
少し考えてみてください。これは時間の無駄ですよね。ユーザーにとって非常に迷惑な、ひどいオンボーディング体験です。絶対にこのようなことをしてはいけません。
ユーザープロフィールの必要性
ほかの項目と同様に、ユーザーのプロフィールはアプリごとに異なります。プロフィールのないアプリもありますし、生い立ちを入力しなければならないものもあります。新規ユーザーには、アプリを使用する上で必要な情報のみを質問するようにしましょう。
下のスクリーンショットでは、Zendeskはあまり質問していないように見えるかもしれません。結局のところ、ユーザーの名前とオプションで電話番号のみを尋ねているのです。それでも私がユーザーなら、なぜいずれかの情報を提供するべきなのか、理由がわかりません。
個人的には、企業に自分の電話番号を渡すのが好きでない理由が2つあります。企業から私に電話がかかってくることはないので記入する時間が無駄ですし、そもそもどうして私に電話をする必要があるのかわからないからです。ほとんどの企業はメール経由でコミュニケーションを取るでしょう。
ここにマッチングサービスのAshley Madisonの例があります。より良いマッチングをするために、いくつか情報入力をしなくてはなりません 。そこまでは理解できますが、下のスクリーンショットを見ても、フィールドのいくつかは単に入力する意味がわかりません。Greetingとは何を入力すればよいのでしょうか? どういう風に挨拶するかなどでしょうか。せめてプルダウンにしてほしいものです。
意味のあるプロフィール作成を行い、ユーザーが正しく記入できるようにしましょう。
次のステップを明確にする
これは一般的なアドバイスですが、ユーザーが次に何をすべきかをつねに示す必要があります。 「続行」や「次へ」とか、もっと魅力的なものにすべきか、一日中ボタンのコピーについて議論することもあるでしょう。しかし、コピーが重要なのではありません。重要なのは、ボタンとアクションが見つからないときです。これは非常に大きな問題です。下の2つのスクリーンショットを見てください。
上記のスクリーンショットはZendeskのものです。そしてこのような場合、一体私はここで何をしたら良いのでしょうか? 以下のスクリーンショットはEventbriteのスクリーンショットです。この場合も、何をしたらいいのでしょうか?
では、ウォークスルーはどうか?
ウォークスルーは、気軽にリデザインすることができない複雑な製品にとって、優れたイントロとなります。ですが私は、ウォークスルーやFAQなどはインターフェイスデザインの失敗であると確信しています。製品は何でも直観的なデザインにすることができると思っています。しかしながら、場合によっては製品のリデザインに時間を費やすことはできない状況もあるということも理解しています。
Optimizelyのような複雑なアプリがウォークスルーを使うことで、新規ユーザーにとって易しいイントロになるため、製品の扱い方を完璧に理解してもらうことができます。ほかの項目と同様に、ウォークスルーは十分に考慮するようにしてください。
オンボーディング体験は馴染む必要がある
オンボーディング体験を作成する際の最後のアドバイスは、ブランディングのようにすべてのものと調和していることを確認することです。
上のスクリーンショットはZendeskのオンボーディング体験です。 UserOnboardで、Zendeskのオンボーディングの経験と解説をすべて確認することができます。
誰でも、最初の体験全体がスムーズで一貫性があり、総体的なものであることを望みます。また、体験ができるだけ楽しいものであることも望んでいるでしょう。不明瞭なUIラベルや余分なタスク、異なるスタイルなどのアクセシビリティを邪魔するものは、スムーズな体験を損なう要因となります。
結論
オンボーディング体験は、新規ユーザーをあなたのアプリや製品でワクワクさせる素晴らしい方法です。すべてはユーザビリティとユーザー体験のバランス次第ですが、これはそこまで難解なことではありません。オンボーディングとは、製品の使用を効果的に開始するために必要な情報を得ることなのです。繰り返しになりますが、無理難題ではありません。
オンボーディングは会員登録から製品の使用までのプロセス全体であると捉えるといいでしょう。クレジットカードが登録されたあとや、プロフィールが入力されたあとのことではありません。そして可能な限り、ウォークスルーのような説明が過多となってしまう事態は避けてください。