ステークホルダーとの共感を育む4つの方法(後編)

Tom Greever

トムは、ウォールマート、Tモバイル、ウェルズファーゴなどのクライアントを持つウェブとモバイルアプリの制作会社BitoviでUXディレクターをしています。

この記事はThe UX Boothからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Stakeholders are People Too (2015-10-20)

共感に向けたプロセスは、単にステークホルダーも人間であることを思い出すこと、質問をすること、彼らと共通の体験を作ること、関係の構築に寄与するような方法で彼らが必要としていることについて考えること、などが関係します。

共通の体験を作る

次に、デザイナーがステークホルダーと共感するためには、共通の体験を作る必要があります。他人の視点で見ることができないということは、多くの場合、共通の関心や体験がないことから生じています。我々は全員、他人と何らかの共通点を持っています。鍵となるのは、このようなつながりを作る方法を見つけることです。特に、コミュニケーションの断絶や誤解が起こったとき、ステークホルダーと共通の体験を持つことは、みなが同じチームに属していることを思い出させることになります。共通の土台があれば、誤解を克服するのは容易なのです。

共通の体験を作るには簡単な方法がたくさんあります。ランチに出かけたり、一緒に飲んだりするだけでも効果があります。会話の内容は、仕事であれ、人生であれ、最新のテレビ番組であれ、なんでもいいのです。遠くに離れたチームの場合は、まるでデスクに立ち寄るように、チャットやビデオで挨拶するだけでもいいでしょう。大切なのは、会話から、エゴや分刻みの仕事のプレッシャーを取り除くことです。いつもチームとして働いている環境以外のことで、何かを一緒に積極的に体験するのです。

共通の土台を見つけることも、何気ない会話を始めることと同様に簡単です。たとえば、彼らは最新のモバイルデバイスを持っているかもしれないし、人気のブランドを身につけているかもしれないし、デスクの上にパリからのお土産が置いてあるかもしれません。意識的に会話をして、共通点を指摘することは、共感を育むのに役立ちます。しかも、それは、ステークホルダーに対し、我々デザイナーもピクセルを動かしているだけの人間ではないことを示してくれます! 我々も人間であり、お互いに関係を築くことができれば、もっと容易に一緒に働くことができるのです。

彼らが必要としていることについて考える

最後に、デザイナーはステークホルダーの視点から物事を見ようとすれば、彼らの必要としていることについて考えなければなりません。共感を育むには、他人が必要としていることを重視した考え方を持つことが必要です。他人のためにちょっとしたことをするだけで、彼・彼女は尊重されていると感じることでしょう。デスクに立ち寄ったり、コーヒーに誘ったり、メモを残したりするだけでもいいかもしれません。もう少し進めて、プレゼンを手伝ったり、会議でメモを取ったり、デザインに関して感想を伝えたりしましょう。人のために役立とうとするとどうしても他人の視点から見なければならなくなりますが、これは会話だけでは不可能なのです。

私があるクライアントのオフィスをよく訪ねていたとき、ジェニファーのデスクの近くに寄ったらメモを残すことを習慣としていました。「トム(私)が来たよ」とか、「ジェニファーはすごい!」とか、メモは馬鹿げたものでしたが、そのあとで、彼女はすべてのメモを取っておいていたことがわかりました。私のメモがほほ笑ましいので、取っておいて、時々読んだ、というのです。おそらくこれが理由で、ジェニファーと働くことはいつも楽しく、プロジェクトで彼女と意思の疎通をすることはいつも容易でした。私は彼女を個人として尊重する時間を取っていたため、彼女はいつも私の強い味方の一人でした。

小さな(そして適切な)贈り物をあげるのもこの種の関係を築くためのいいアイデアです。多くの会社は贈り物を贈ることについて方針を定めており、これは賄賂のつもりではありません。しかし、小さな贈り物を贈ることは、個人的なつながりを作って共感を促すことにより、関係を強化することができるのです。私はかつてあるクライアントがサルサが好きだとネットに投稿していたのを見て、地元で作ったサルサを一瓶プレゼントしたことがあります。それは小さな行為でしたが、我々が二人とも同じチームに参加しているという感覚を生みだし、私は彼の世界を垣間見ることができました。

このような価値観を表現し、共感に満ちた雰囲気を高めるためには、以下のようなことをしてはいかがでしょうか。

・プレゼンのスライドを作る手伝いを申し出る

・会議に早めに着いて、準備を手伝う

・チームの次の会議にスナックや飲み物を持っていく

・少し時間をとってオフィスを歩き回り、みんなに挨拶する

・休暇中に、チームのみんなのために小さなプレゼントを買う

・感謝の気持ちを表す手書きのメモを渡す

デザイナーは、ステークホルダーが自分だけでは作ることができないものを作るというサービスをするためにチームに加わっているのです。デザイナーがなにかをしてあげたり、小さな贈り物をあげたりすることによりこのサービスの姿勢を示せば示すほど、成功に直接影響を与える人々の視点で見ることができるようになり、デザイナー自身が成功する確率も高くなるのです。

流行語を超えて

ステークホルダーと共感するためには、デザイナーはプロジェクトに参加する人々の見方を理解しなければなりません。

・彼らも人間であることを思い出しましょう。彼らも生活のなかで、他に予測できないことをいろいろ抱えているのです。

・たくさん質問をしましょう。人をよく知る一番の方法は、その人についての質問をすることです。

・共通の体験を作りましょう。他の社会的な場面で一緒に作業をする機会を設けて、共通の土台を作りましょう。

・彼らが必要としていることについて考えましょう。何か親切をしてあげたり、小さな贈り物をあげたりすることは、人々を尊重する環境を作るのに役立ちます。

デザイナーがステークホルダーと効果的にコミュニケーションを取ろうとするのなら、ユーザーに自分を重ね合わせるときと同じスキルを使う必要があります。ステークホルダーとの共感を育むことは、自分の要求だけでなく、ステークホルダーの要求を満たすように自分のデザインを位置づけることにつながります。最終的には、よい関係を築くように集中することが、よいコミュニケーションのチャンネルを作り、うまくデザインのプロセスを進めるために一番重要な要因なのです。


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