プロダクトデザインと設計のためのよりよいユーザーストーリーとは

Joe Natoli

この記事はUXPinからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

How to Write Smarter User Stories for Product Design and Development

おそらくほとんどの人が、要件定義のためのベストプラクティスを持っているはずです。

多くの場合、そのベストプラクティスにはユースケースやユーザーストーリーの作成も含まれているでしょう。この2つはどちらも便利なツールですが、問題や望ましい結果を定義するには不十分です。しかし、ユーザーストーリーはそのフォーマットを少し変えるだけで、完成品に大きなインパクトを与えます。

従来のユーザーストーリーにおける問題点とは?

ユーザーストーリーは欠陥があるわけではありません。不完全なだけなのです。

決してユーザーストーリーを使うなと言っているのではありません。私が言いたいのは、それをプロダクトチームにとってより役立つものにしようということです。

ユーザーストーリーでは、ユーザージャーニーの始めから終わりまでの全体を説明することはありません。さらに、ユーザーの原動力となる動機やニーズも考慮されていません。大抵の場合、2~3行程度の文章では、ユーザーの考え方や感じ方を説明しきれないでしょう。また、要件リストにあるすべての項目をサポートしなければならないビジネスゴールに関しても、ユーザーストーリーは対処していません。結果として、ユーザーストーリーは気付かないうちに、得られるものより準備するコストのほうが高くなっているしれません。

この記事では、ユーザーストーリーのパワーを増幅させるための簡単な方法を紹介しています。その簡単な方法とは、行動の背景にあるユーザーの目的に取り組むことです。同様に、ユーザーの行動が組織にとって問題をどのように解決するかということにも取り組みましょう。さらに、この簡単な変化によって組織がユーザーの行動から得られるであろう利益を説明することもできます。

今までは、ユーザーストーリーのフォーマットは以下のように説明されていました。

「[ユーザー]として、私は[機能]が欲しいです、それによって[行動]します。」

これを、以下のように書きます。

「その[ユーザー]は、[ユーザーゴール]を達成するために[機能]を欲しがっています。

現在これが不可能なことにより、企業にとって[不利な効果]が生じています。」

文章の後半は、このように書くこともできます。

「ユーザーがこうするのを可能にすることで、企業に[測定可能な特定の価値]をもたらします。」

これは、ユーザーストーリーを事実の陳述から目的の陳述へと変えます。そして、「成功を追跡・測定できる部分をどのような方法で行うか」という新たな質問への扉を開きます。

思い出してください、今私たちはスタートアップ企業のようなデザインについて話しています。すべてのスタートアップ企業は、もっとも重要な問題に焦点を当てます。その重要な問題とは、解決しないと会社が潰れてしまうような可能性がある問題です。

このような場合、もっとも重要な焦点を当てるべきは、ユーザーに測定可能な価値を提供し、そうすることで企業にも利益を還元させるということです。

このケースにおける最重要な焦点とは、ユーザーにとって測定可能な形で価値を提供し、それによって企業にも利益を還元するものでなければなりません。これはあなたの成功や企業の生存に関して極めて重要です。

タスクの完了 vs 成功

従来のユーザーストーリーは、非常に戦術的なレベルで運用されます。その焦点は徹底してタスクの完了にありますが、私はこれに問題を感じています。タスクの完了は、成功と同一のものではありません。より良いUXにしたければ、成功に焦点を当てなければなりません。私がここまで言い続けているように、成功とは企業の生存に関係する価値を意味します。

想定されたユーザーのゴールや、ユーザーが最初に行う動作の理由に沿って、インタラクションについてユーザーがどう感じているかを明らかにしましょう。特定のインタラクションや行動が、なぜより良いユーザー体験を提供するのかを把握する必要があります。また、その体験がなぜ企業の利益として還元されるかも把握しなければなりません。

先ほどのフォーマットを使って、以下のように新しくユーザーストーリーを作りましょう。

タスクの完了

「銀行の窓口係のJaneは、プリセットされた取引のショートカットリストが欲しいです。それによってより多くの取引を完了できるようになります。」

成功

「銀行の窓口係のJaneは、プリセットされた取引のショートカットリストを欲しがっています。これは、顧客が目標を達成するまでの一連の流れをスピーディーにすることで不満を最小限に抑えるためです。また、長々とした取引のフローを自動化するためでもあります。現在これが不可能なため、深刻な割合の顧客が競合の銀行へと流れてしまっています。」

顧客対応とトランザクションの完了は、Janeにとってのタスク完了です。そして彼女は今すでに実行しています。これと同じタスクについて、より正確で効率的であったり、顧客にプロセスが楽しくてあっという間に終わってしまうと感じさせられるというように、より良くすることこそが成功です。人は自分が配慮されていると感じたり、ニーズに合っていたり期待以上だと感じたりすると、その製品や企業を使い続けます。

人が何をしているかから、なぜそれが重要なのかに焦点を移すことで、強力なエンドユーザー体験を作成する道をしっかりと進むことができるようになります。

より実践的なアドバイスは、Joe Natoli氏による91ページのeブックFixing the Enterprise UX Processをダウンロードしてください。


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