タッチヒートマップ:ジェスチャーからユーザビリティの問題を発見する方法

Hannah Levenson

HannahはAppseeのコンテントマーケティングマネージャー。

この記事はUsabilityGeekからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Touch Heatmaps: The Future Of Mobile App Usability Testing (2017-08-21)

このご時世、モバイルアプリのユーザビリティテストをしようと思ったならば、それまで「ベストプラクティス」であるとされてきたものに甘んずることなく、その先へ行かねばなりません。

開発中とリリース後の両方の時期に実施するテストにフォーカスグループを選択することは好ましい手段です。しかし、欠点がないわけではありません。数値データとして提供される、従来の定量分析によるアプリのモニタリングについても同様です。

現実の人々や一部のターゲットオーディエンスに対してアプリのテストを行い、ユーザーインターフェースやユーザー体験の中で魅力的でなかったり不足している部分を知りたいのは当然です。アプリの長所と短所を理解する上で、ユーザーに実際に目で見て使ってもらう以上に実践的で直接的な方法はありません。

しかし、テスト環境に置かれることで人々の意識は変化します。観察されているとユーザーが気付いてしまうと、アプリの使い方に影響が出てしまいます。ジェスチャーの使い方や各画面に費やす時間が変わってしまうため、テスト結果を歪めてしまうのです。

技術面においては、アプリの動き方がテスト環境と現実で異なる場合があります。

ご想像の通り、アプリ内でのジェスチャーに関して歪んだ結果が生じると、アプリのユーザビリティに深刻な影響をもたらします。その結果、ユーザー体験にも影響が及んでしまうのです。

定量分析に関して、数値データを表示することはアプリ内でのジェスチャーの使用について理解を深めるための素晴らしい第一歩です。しかし、ユーザーがどのような入力をしたのか可視化できないという大きな欠点があります。

たとえばユーザーの25%はスワイプアップしてフルメニューを表示しようとすることがわかったとししても、それはなぜでしょうか? この重大な問いの答えはまだわかりません。そしてこの問いに答えるために、比較的新しい定性分析ツールであるタッチヒートマップの力を利用することができるのです。

タッチする部分

ヒートマップとは、アプリの使用に用いられるさまざまなジェスチャー(タップ、ダブルタップ、スワイプ、ピンチなど)に関する全データを集計するツールです。ヒートマップでは、実際のアプリ上に集計したデータがレイヤーとして視覚的に表示されます。これにより、ユーザーとアプリのインタラクティブな部分やその頻度が簡単にわかります。

利用の頻度は、青色から赤色の典型的な階調で色わけされます。青色はインタラクションがもっとも少なかった部分を示し、赤色は反対に多かった部分を示します。もっとも人気の高い(もしくは低い)ナビゲーション要素、アプリのページや機能を簡単に見わけることができます。

画像元:Appsee

タッチヒートマップとユーザビリティテスト

アプリのユーザビリティテストとは本来、あらゆるUI要素やユーザー体験に細心の注意を払うことです。一般的には、アプリを直感的でわかりやすいものにすることによって、ユーザーは素早くタスクに取り掛かり、問題を迅速に解決できるようになります。そのため、反応がないジェスチャーに注意を払うことが、現代のユーザビリティテストにおける柱の1つになっています。

残念ながら、多くのアプリの専門家は反応がないジェスチャーのことを忘れ去っています。そして、反応がないジェスチャーを未解決のままにすることで、数か月にわたる重労働を無駄にしてしまう可能性をまったく理解していません。反応がないジェスチャーとは、ユーザーがアプリに何か反応しても、アプリから反応が何も返ってこない場合のことです。

反応がないジェスチャーの背景には、多くの理由があります。アプリの中に、特定のボタンが無反応になってしまうバグがあるかもしれませんし、ユーザーがダブルタップの代わりにスワイプをするといった、間違ったジェスチャーをしようとしているかもしれません。そのほかにも、ユーザーが画像をボタンと勘違いしたり、アプリの最終画面をスワイプして消そうとしているなど、まったく反応しないように設計されたアプリの要素に反応してしまっている可能性もあります。

「ログイン」画面の下部に発生する、反応のないジェスチャーの例。画像元:Appsee

どんな場合であれ、反応のないジェスチャーはアプリのユーザビリティにおいて重要な問題であり、直ちに対処する必要があります。従来の定量分析では、反応のないジェスチャーに関して役立つ知見は得られません。

また、フォーカスグループは反応のないジェスチャーに出くわしても、現実と同じような反応の仕方はしないかもしれません。フォーカスグループはアプリのテストを行うことを知っているため、反応のないジェスチャーへの認識はゆがんでいる場合があるのです。

しかし現実でのシナリオは、ユーザーの不満やアプリの途中放棄、アプリストア内での低い評価に繋がる場合があります。

パターンの解析

反応のないジェスチャーをモニタリングすることは、あらゆる製品管理者や開発者にとって基本的な行為です。

しかし、ユーザビリティの問題をテストすることだけがタッチヒートマップの使い道ではありません。開発者や製品管理者はこのツールを使って、UIやユーザー体験上のさまざまな問題を示す使用パターンを特定することができます。たとえば、スクリーンサイズの違いによって生じるアプリデザインの問題もわかるでしょう。スクリーンサイズの問題は一般的に、形やサイズが多様なAndroidの開発者にとってより重要です。

しかし、AppleのiPhoneの利用が拡大し、iPadもますます増加しているため、画面サイズの最適化は主要なモバイルオペレーティングシステム全体においても同様に重要になっています。開発者はタッチヒートマップにより、アプリの各要素が画面外に表示されていないか、特定の画像サイズにおいてアプリのデザインが乱れていないかがわかります。

画像元:Gottabemobile

また、ユーザーの気が散ることも問題です。邪魔されるべきでない要素によって、ユーザーの気が散っていませんか? タッチヒートマップを使えば、ユーザーの注意が散漫しているかどうか比較的簡単にわかります。ジェスチャーがいくつかの重要な機能やCTAに集中する代わりに画面全体に分散している場合、ユーザーの気が散っている可能性が高いです。

一度問題を発見したら、フォーカスグループやほかの種類の意見調査を利用して、特定のアプリ画面に足りないものをユーザーに質問したり、改善方法を提案するように要求することができます。

ユーザビリティのその先へ

ユーザビリティテストは、しっかりとした成功するモバイルアプリを作る上で重要な要素であり続けます。しかし、モバイルアプリの開発に10年が費やされ、ユーザーの期待が変化したことで、モバイルアプリのユーザビリティテストの方法も変わってきました。

「古典的」な方法は、モバイル業界の変わりゆく流れにどうにか耐える一方、その空白を埋めるために新たな方法が登場し、重要な領域でその穴を補っています。フォーカスグループを作ったり、アプリのテストを人々に直接行うことは、変わらずに重要なことです。そして、数値データとして利用する定量分析は揺るぎない警報となるでしょう。

アプリの専門家は、ユーザビリティテストを含めたアプリ構築における、タッチヒートマップのさまざまな利用方法を探しています。反応のないジェスチャーを探して取り除いたり、多様な画面サイズにおけるユーザーの行動パターンを追跡したり、ユーザーの気を散らすものを強調するなど、どれもタッチヒートマップの素晴らしいユースケースです。タッチヒートマップは、アプリのユーザビリティに関する新しくてわかりやすい、公平な全体図をアプリの専門家に提供します。

その結果、より優れたアプリをもっと簡単に構築するのに役立ちます。