itemstore担当者に訊いた、アプリ内課金のトレンドとは

UX MILK編集部

モノづくりのヒントになるような記事をお届けします。

アプリのデベロッパーにとって、アプリ内課金は今やアプリのマネタイズ手法のスタンダードです。今回はアプリ内課金を簡単実装できるサービス「itemstore」の開発に携わる高田さんに、アプリ内課金の実態やトレンドなどを聞きました。

高田 雄太郎
カイト株式会社 MBaaS事業部

2013年カイト株式会社にUnityエンジニアとしてジョイン。itemstoreのサービス立ち上げメンバー。ライトゲームの開発経験を生かして、itemstoreのSDKエンジニアリングを担当。アプリ開発者目線でマネタイズサポートや技術サポート等、開発者を支援し続けている。

itemstoreの取り組みからみる、アプリ内課金のトレンド

―itemstoreはアプリ内課金を簡単に導入するためのサービスですが、itemstoreさんの導入事例などからアプリ内課金における傾向やトレンドなどはありますか?

まず、アプリ内課金とはアプリ内でコンテンツや追加機能、月額利用料などを販売できる仕組みのことを指します。この仕組みにより、App StoreやGoogle Playの決済機能を用いたコンテンツの売買が可能となります。

今では多くのアプリで多種多様なコンテンツが販売されており、アプリのマネタイズにおいて欠かせない手法のひとつとなっています。

アプリ内課金には大きく分けて3つ種類があります。

消費型

何回でも購入できる:一度使ったらなくなるもの(ゲーム内仮想通貨、ゲームの体力回復など)

導入アプリ例:パズドラ、モンストなど

非消費型

一回だけ購入できる:効果が永続的に続くもの(機能開放、広告非表示など)

導入アプリ例:LINE(着せかえ)、カメラ360(フィルタ)など

サブスクリプション(購読)型

毎月定額を支払うことで全てのコンテンツにアクセス可能

導入アプリ例:Netflix、LINEマンガなど

itemstoreではゲームアプリでの導入が多く、中でも消費型のゲーム内通貨でのアイテム販売が最も多いです。

―いわゆる魔法石を買ってガチャを回したり、アイテムの所持枠を増やしたり、というものですね。

はい、通貨の価格帯を広く設定し、安いもので100円、高いものだと10,000円くらいのレンジですが、売上に貢献するのは5,000〜9,000円の高価格帯のものですね。

中でも一番売上比率が高いのがロールプレイングゲームで、定期的にアイテム価格の上げ下げを使って、そのプッシュ通知で誘導するというのが1つのセオリーになっていたりしますね。

―では、非ゲームアプリでの課金はどうでしょうか? 傾向などはありますか?

非ゲームはやはり月額で使い放題になる、サブスクリプション(購読)型が主流ですね。電子書籍は買い切りの非消費型が多かったですが、今は動画や音楽ストリーミングアプリなどの流れもあってそちらもサブスクリプションになってきています。

―ツール系アプリによくある広告を非表示にするための課金などのタイプはどうでしょうか?

広告を外すための課金などは実は全然売れませんね。アプリの中で通貨を導入するとなると、アプリ自体のコンテンツをきちんと考えないといけないため、敷居が高くなってしまいます。そのため、とりあえず広告を外す有料オプションを300円で売ろう、ということになりがちなんですよね。もしくはこの本だけ有料で300円で買えますよ、とか。そういう売り方だと、思ったほど売り上げが上がらない傾向があります。

開発者が陥るマネタイズの落とし穴

とりあえず広告を貼って、それを外すオプションを売るというのは、作る側的には簡単なのですが、これがマネタイズの可能性を狭めるきっかけにもなりがちなんです。

先程もお話しした通り、アプリのユーザーはそんなにお金を払ってまで広告を外さないんですよね。そこでデベロッパーは、「どうせそんなに売れないしな」と思ってしまう。広告に比べて儲からないものとして、課金に対する心象が悪くなるんですよね。そうすると、広告を貼っておくだけで良い、みたいな話になって、自ら収益源を絶ってしまうんですね。

―このご時世、広告も成果出すには相当厳しいと聞きます。

まさにそうです。昔のバナー広告って、コンテンツの下の方にとりあえず付けとけって話だったのが、今では、動画リワード(広告動画を見ればポイント付与など)主体になって、入れ方やタイミングが難しいんですよね。

―従来と比べて、アプリのコンテンツにも関わってくる分、とりあえず貼るって感じではなさそうです。

広告って流行り廃りがあって、移り変わりが激しいのですが、一方、課金というのはそういう時流にさほど左右されないんです。

デベロッパーとしてはコンテンツのところどころで、ユーザーに納得感のある有益な課金を考えるほうが、自分たちのやりがいにも繋がるのかな、と思っています。

アプリ内課金に対するユーザーの慣れ

昔だったら、アプリ内課金は悪で、ユーザーはできるだけ避ける対象だったと思うのですが、それも変わってきていると思います。課金ユーザーの割合は平均すると一桁台で推移することが多いですが、itemstoreを導入しているアプリでは課金率が10%を越えるものもあります。

他のアプリで一度でも課金したことがある人は、別のアプリでも課金しやすいというデータもあるので、そう考えると課金率の改善も頷けます。

実はAppleやGoogleなどもプラットフォーマーとして、アプリ内課金に対する支援をしていく姿勢ではあるみたいです。

たとえば、Googleは2018年に日本では初となる『Indie Games Festival 2018』というインディーゲームのコンテストを開催します。このコンテストを通じて、小規模な開発者を支援していくことで、結果的に課金と相性の良いゲームアプリを盛り上げて、その裾野を広げていこうとしています。

―そういった動きもあるのですね。ゲームでのアプリ内課金はイメージしやすいですが、非ゲームでももっとゲームのようなアプリ内仮想通貨を活用できたりはしないのでしょうか?

非ゲーム系でも、勿論、アプリ内通貨を使ってその中の機能を拡大させたりとか、もっと見れるものを増やしたりっていうのをやろうと思えばできると思います。そういった成功例がそんなにまだありませんから、やりづらいだけですよね。

まだまだ大手のソーシャルゲームの儲け方が定石としてあったりするので、それがだんだん個人のデベロッパーさんなどもゲーム内通貨を使ってやろうという流れになってきたところです。

それを非ゲームで同じように考えた場合、もちろんサブスクリプションが一番楽なんですけど、そこまでスケールしなくてもそれぞれの機能に対して課金をかけたりなど、アプリ内通貨を使ったやり方っていうのは必ずあるはずなんです。

私たちはitemstoreというサービスによって、デベロッパーさんにそういった課金の手間の向こう側にある、新しい課金アイデアを考える時間に使っていただきたいと思っているんです。

アプリ内課金の導入における大きなハードル

―ここからより実務的な話に移りますが、デベロッパーにとって、アプリ内課金は具体的に何が大変なのでしょうか?

まず、アイテム課金の実装自体が相当大変ですね。仕組みが複雑ですし、コードレベルで大変です。

また、アイテム課金用のサーバーが必要になるのですが、これも普通のサーバーとちょっと勝手が違うので大変ですし、サーバー自体の管理コストなども発生するので、気軽に導入できません。

―お金にかかわるやり取りですから、テストも入念にやらねばなりませんよね。

そうですね、ゼロから作るならば課金部分だけでもテスト込みで数か月はかかると思います。また、アプリがヒットしなかったから終了しようとなっても、すぐにサーバーを止めるわけにもいかなかったりします。

さらに、意外と開発者に見落とされがちなのがユーザー対応です。たとえば、UnityではUnity IAPというアプリ内課金を比較的簡単に実装できる機能が用意されていて、課金をやりたい人は使えるようになっているんですけど、本当に仕組みとして課金ができるようになるだけなんです。管理画面があるわけでもないので、売れたあとの対応とかはまた別で考えていく必要があるんです。

―課金されるところまでがゴールになってしまっていると。

はい。また、アイテム課金には通信が絡むのでエラーを完全に回避するのは難しく、エラーが発生した時はその対応のためにアイテムを付与をすることがあります。アプリ内課金の本当につらいところはそういったカスタマー関連部分の開発や対応だったりします。

システム自体の開発工数やサーバーの用意、また管理画面回りの機能、これらをすべてパッケージにして提供しているのがitemstoreになります。

―課金周りの開発・管理コストがゼロになると、もう少し上流のことを考える余裕も出てきますね。

それが狙いです。特に個人や小規模なデベロッパーさんなどは開発に手一杯で、マネタイズやリリース後の管理にまでなかなかリソースを割くことができないかと思います。

とはいえ、アプリを提供し続けていくためには、やはり収益を上げなければいけないですし、そのためにはユーザーを夢中にさせる仕組みを考え抜くことが重要になるのかなと。広告にしても、課金にしても、いかにユーザーが納得し、楽しめる体験を提供できるかが成果につながってくると思いますので。

そういったことに少しでも注力できるように、デベロッパーさんをサポートできるサービスでありたいですし、もっともっと多くのデベロッパーさんにハードルを感じることなく課金に取り組んでもらえたらと思います。

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itemstoreとは

itemstoreはスマホアプリにアプリ内課金を簡単に導入できるサービスです。システムの導入が簡単で、専用サーバー、ショップUIなども完備しており、アプリ内課金の仕組みがすぐに利用できます。アイテムを購入したユーザーに向けてプッシュ通知を送ることなどもできます。

デベロッパーが今まで工数を割いていた部分をまるごと肩代わりしてもらえれば、もっと新しい課金体験も生まれやすくなりそうです。サービスにご興味あるデベロッパーの方は是非チェックしてみてください。

itemstoreサービス紹介

提供:カイト株式会社
企画制作:UX MILK編集部


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