コンバージョン率を向上させたければ、優れたコピーを作るよりも、適切な見出しを書く方がほぼ間違いなく大事なことです。広告業界の伝説的な人物であるDavid Ogilvy氏は、実際のコンテンツよりも見出しのほうが、平均で5倍多い人に読まれていると述べています。そして、もし見出しで読者の興味を惹きつけることができないなら、何かを書いて一体何の役に立つのでしょうか? 例えばの話ですが、世界最高レベルの広告用コピーやブログ記事を書いたとしても、見出しがクリックされなければ、実質的に時間 (そして言うまでもなくお金) は無駄になるのです。
この記事では、コンバージョン率を向上させる見出しを書くための9つのガイドラインを解説していきます。この手のトピックに関してはガイドラインがいくつかあり、そしてそれに関して議論している記事は数えきれないほど存在しています。それらの記事とこの記事の違いは何でしょうか? 簡単に言うと、本記事は単なる「もう一つの別のリスト」ではないということです。ここでご紹介することは、見出しを書くための最も効果的なガイドラインであると私自身が考えているものです。
この記事を読む前に、このことをぜひ頭に置いておいてください。見出しを作ることは科学であり、芸術ではありません。
1. 見出しの定型文を使用する
定型文を使うことが直感的に間違っていると感じるのであれば、思い直してください。なぜなら、オンライン上の多くの見出しはすでにある特定の定型文に従っており、そして明らかに、誰もそのことを気にかけていないからです。(Buzzfeed、Upworthy、またはランキング上位のYoutubeチャンネルなど) インターネット上で人気のあるコンテンツを見ると、多くの見出しやタイトルが類似したパターンに従っていることに気がつくでしょう。これが誰かに迷惑をかけたりしていないのは明らかです。例に挙げたBuzzfeedやUpworthyは、非常に標準化されていて、人を惹きつける見出しを利用することでたくさんの人に見られていることは言うまでもなく、至る所で真似されているのです。
見出しで奇をてらう必要は全くないのです。普通のインターネットユーザーはソーシャルメディアなどで見出しを毎日大量に目にしており、型からはみだしすぎた見出しには悪い意味での違和感を感じてしまい、一目見ただけですぐに去ってしまうでしょう。
2. 見出しに数字を入れる
見出しに数字が含まれていると、クリックされやすい傾向があります。もちろんそれには理由があります。言葉の表現はいかようにも言い表せるため、インターネット上にあるあらゆる悪意のある主張、特に見出しの場合は、人々に疑心を持たれやすいものです。その一方で、数字は、別の反応を引き出すことができます。それは、信頼です。統計学者は、数字自体が操作され、誤解を招く恐れがあると指摘するかもしれませんが、私たちは今読者の直感的反応について議論しています。
2つの見出しを比較してみましょう。
・この薬は、あなたを世界で最も生産性の高いビジネスパーソンにします
・この薬は、あなたの作業効率を20%以上向上させます
数字を使っている2番目の見出しは、根拠の無い約束のような1番目のものよりも、より魅力的であることが分かると思います。ソーシャルメディアのクリック数を分析したConductorによる調査によると、見出しに数字を使用することは、測定された要因の中で、クリックスルー率を向上させるのに最も効率的であることがわかっています。ちなみに、この調査における「数字」とは、統計値だけを意味するわけではありません。「死ぬまでにやっておくべき20のこと」のような見出しにも同じことが言えます。
3. これらの言葉とフレーズを試してみて、使用する
それでは、どんな言葉がコンバージョン率を上昇させるのでしょうか? Kevan Lee氏は、最も人気のある24のコンテンツサイトから、3,000以上の見出しを分析することによって、急速に広まる見出しに最も使用されている言葉とフレーズのリストを作成しました。彼は、分析結果を次の2つのカテゴリーに分類しています。「最も人気のある言葉」と、「最も人気のある、珍しい言葉」です。おそらく、もっと興味深いことは、彼がこれらの急速に拡大する見出しで観察した、2~3語で構成されたフレーズです。
・最も人気のある2語で構成されたフレーズ:「これは (this is)」、「~における (in the)」、「~の仕方 (how to)」、「~は (is the)」、「~の (of the)」
・最も人気のある3語で構成されたフレーズ:「これは~ (this is the)」、「あなたを~にさせる (will make you)」、「見たときに (when you see)」、「見るまでに (til you see)」、「いつ、何が起こる (what happens when)」
もう一つの資料は、魅力的な見出しと高いコンバージョン率を誇るランディングページを生み出す、179の感情的な言葉を一覧にした、Josh Rhodes氏のリストです。この調査によると、見出しの中で最も人気のある言葉は、「焦点」、「求められている」、「無料」、「売上」、「新しい」、そして「最低の」があります。
しかし、もう一つの大規模な調査では、Garret Moon氏は100万もの見出しを用いて、多くの人にシェアされている見出しに使われている、最も人気のある言葉やフレーズを一覧にした、次のリストを作り出しました。「リスト記事」、「あなた / みなさん」、「無料 / ギブアウェイ」、「~の仕方」、「DIY」。
4. 見出しは「X単語数 / 文字数」の長さであるべき
言うまでもなく、見出しの適切な長さについては多くの議論がなされています。私がおすすめするガイドラインをいくつかご紹介しましょう。
・8単語 (The Guardianによる)
・62文字 (Kevan Lee氏による)
・81~100文字 (HubSpotおよびOutbrainによる)
5. 「このサービスは役に立ちそう」と読者が思う見出しにする
2で紹介した、効果のある薬の例をもう一度見てみましょう。これは、誰もが「試すこと」ができるため、クリックされやすい見出しとなっています。では、効果を20パーセント以上上げることができるでしょうか?
「私はこのWebサイトを活用して、6,000米ドル稼ぎました」。これはネット上によくあるスパムコメントですよね。これらのコメントはクリックしてもらうことを第一に作られたものですが、どのような工夫がされているのでしょうか?
1.数字を活用している
2.読者はそのサービスを簡単にその場で試すことができるため、それを使った場合のメリットが体感できるようになっている
ここでのポイントは、読者にとって「役立ちそう」と思える見出しではない場合、読者はすぐに離れていってしまうので、できるだけどんな読者にも当てはまりやすい見出しを作成するということです。
見出しに「有用性」という効果を持たせるためには、読者の抱える問題に寄り添った表現にしましょう。例えば、「中古車を購入する方法」という見出しはどのように変えられるでしょうか? 読者がより具体的に想像できるように、「中古車を購入する前に知っておくべきこと」にしたり、数字を活用して、「中古車を購入する前に知っておくべき10つのこと」に書き換えるとさらに良くなるでしょう。
6. 言葉を慎重に選ぶ
見出しに使用する「理想的な」言葉とは何でしょうか? Jeff Bullas氏はStephen King氏を引用して、シンプルさが重要な要素であると述べています。印象的なボキャブラリーを使うこともできますが、見出しが知的すぎる印象だと逆効果になる恐れがあります。読者は常に、簡単でシンプルな見出しに注目するでしょう。見出しをより魅力的にしたければ、シンプルにして読者の好奇心を刺激してみてください。Barry Feldman氏によると、使用する言葉を選ぶプロセスは、除外する言葉を選ぶ作業も含むのです。
7. ネガティブな評価は、より良い成果を生み出す傾向にある
Oribiによる100のテックブログの調査によると、「殺す」、「恐怖」、「暗い」、「ひどい」といった言葉を使用することで、たとえ見出し自体は全く暴力的なものでなくとも、より人々の注目を集めることができることがわかっています。
この調査はまた、「〜なしで」、「ない」、「〜をやめる・やめろ」のといった言葉を使っている見出しが、結果としてトップ記事になっていることを特定しました。
このことからわかることは、見出しでネガティブな印象を与えることで、読者の関心をより惹きつけることができる可能性があるということです。これを応用すると、「今年の夏にやるべき10つのこと」という見出しは、「これをやらなければ夏が台無し!10つのアクティビティ」にするとより注目を集められるということです。
8. 疑問を投げかける
質問を投げかけるほど、読者を引き込ませる方法はありません。読者が自問自答するもの、またはまだ考えたことがない新しいものがあるかどうかにかかわらず、質問は確実に注目を集めるでしょう。
これは「好奇心のギャップ」と呼ばれており、読者がむずむずしてしまう部分なのです。このむずむずは記事を読むことで解消されるのです。
しかし、疑問の形の見出しは、ここぞというトピックで使うようにしましょう。クエスチョンマークでいっぱいのフィードは、見ていてすぐに飽きてしまいます。なので、このクエスチョンマークは、特別な機会に取っておくようにしましょう。
9. 最後に、嘘をつかない
これは周知の事実なので、アドバイスするまでもないですが、残念ながら言っておく必要があるのです。それが実情なのです。たとえば、毎日5ポンド体重を減らすことができるという「約束」を書いた場合、とても騙されやすい人にしか信じてもらえないでしょう。そしてインターネットという皮肉な世界のために皆さんは執筆しているため、読者に軽々しく信じることと単純であることを期待すべきではありません。
もしクリック数を稼ぐために嘘をついたり、事実を誇張しているのであれば、次のことを考えてみてください。読者がクリックした時に起きることやコンテンツが「約束」と違ったとしたらどうするでしょう? 彼らはタブを閉じて、二度と皆さんのサイトには戻ってこないでしょう。それだけです。