【UXの迷信】シンプルなUI=ミニマルなUI?

Zoltan Gocza

ZoltánはCentralway(チューリッヒのソフトウェア企業)のUXデザイナー長。元UstreamのUXディレクター。美しく、且つ使えるプロダクトを作ることに情熱を燃やしています。

この記事はUX Mythsからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Myth #34 Simple = minimal

最先端で優れたプロダクトデザインの実現の鍵となるのがシンプルさです。しかし、シンプルさはよくミニマルさと混同されます。実際には、一見シンプルでミニマルな(最小限の)プロダクトUIが複雑性を隠し持っていることも多いのです。

単純化を目的としたデザイン決定は、より多くの摩擦や認知的負荷を引き起こしやすく、より複雑なユーザーエクスペリエンスをもたらすことがあります。テキストラベルのないアイコンはわかりにくく、一般的でない、独自のジェスチャはアフォーダンスに欠け、ミニマルさの代表格のハンバーガーアイコン(三本線アイコン)メニューはあまりうまくいかないことも多いと証明されています。

私達は皆、シンプルさを求めて邁進すべきですが、ミニマリズムの名のもと、単純化し過ぎないようにしなければなりません。アルバート・アインシュタインは「あらゆるものはできるかぎりシンプルにすべきである。ただ、シンプルにしすぎてはいけない 」と言っています。

ミニマリズムは必ずしもシンプルさにつながるわけではない

・Facebookのプロダクトデザイン・ディレクターであるJulie Zhuoは、最もありふれたデザインの間違いは「明瞭さを犠牲にしてシンプルさとスタイルを過大評価すること」だと言います。―The 5 Most Common Design Mistakesより

・IDEOのCEOであるTim Brownは、ミニマリズムとシンプルさをはっきりと区別し、ミニマリズムはスタイルであり、「シンプルさが複雑さを理解することに因るものである一方で、ミニマリズムは複雑さへのリアクションである」と言っています。ミニマリズムは表面上だけのもので、シンプルさはエクスペリエンス全体の理解から来るものです。―Simple or minimal?より

・それと似た流れで、Steven Sinofskyはミニマリストのデザイン(エクスペリエンスの表面上の簡素化)を摩擦のないデザイン(エクスペリエンスが必要とするエネルギーの削減)と対比させ、「ミニマリズムは素晴らしいが、それを進める力は高い摩擦を伴う。ユニックスの小さなツールの組み合わせという哲学は素晴らしくミニマル(各ツールが少数のことをうまく行う)だが、それに必要なスキルを学ぶには高い摩擦を伴う」と言っています。―Frictionless Design Choicesより

・John Maedaは彼の著書『The Laws of Simplicity』で「プロダクトやサービスが使いやすいものであって欲しい一方、やりたいことを全てやらせてくれるものでもあって欲しい。(中略)シンプルさの実現への最もシンプルな方法は、思慮深い削減だ。疑わしいときは、取り除く。が、何を取り除くのかに注意しなければならない」と言っています。

・「デザインを実際にシンプルにするために、何かがもっと必要になることがある。(中略)世間一般の知恵では、シンプルさとはより少ないこと…除去や削減を提案するものだが、シンプルさとは本当は理解力と目的の明瞭さである…人が何が起こっているかを即座に理解し、次にどうするか自信を持って決定できるようなものを私達はデザインできるだろうか?」―What does it mean to be simple?より

・Frank de Jongは、ミニマルUIはシンプルさの一つの方法に過ぎず、最善ではないことも多いと説明しています。「ミニマルなデザインを既存の機能に強制すると、インターフェースはシンプルさから遠ざかる。意味のある情報の削減は混乱を招き、最後には欠陥のあるユーザーエクスペリエンスにしてしまう」―We want more by seeing lessより。

・Frank Chimeroは「私はシンプルなものにはもう飽きた。シンプルなものは弱く、限界があり、つまらない。私が欲しいのは明瞭さである。シンプルなものよりも、はっきりわかりやすいものが欲しい」―Only Openingsより。

複雑なUXを招いたミニマルなUI

・BMW iDrive: 車内のインフォテインメント(情報+エンターテインメント)をコントロールするiDriveシステムは、ミニマルなアプローチから始まりました。最初のバージョンにあった唯一のコントロールは、ダイアルを回すだけのものでした。その後、多方面からのフィードバックにより、ボタンが2つ加えられました。今では8つの専用ボタンがあり、ユーザーエクスペリエンスと運転の安全性を大きく改善しています。―iDriveより

・Fitbit Flex: Jesse WeaverはFitbit FlexのミニマルなUIがいかにユーザーエクスペリエンスをリスクにさらし得るかを調査しています。―When Simplicity Becomes Complexity: 3 Design Lessons From Using a Fitbitより

・ハンバーガーメニュー: ミニマリズムとわかりやすいデザインの名において、モバイルアプリのナビゲーションをこのオフ・スクリーン・メニューに動かすことは、ZeeboxFacebookの例でもわかるように、簡単にエンゲージメントを犠牲にする可能性があります。