UIのユーザビリティを評価するとき、専門家が既に一度レビューしている場合、ユーザーテストは必要ないと捉えられることがよくあります。専門家はありがちなユーザビリティの問題を見つけることはできますが、人々はなかなか期待通りに行動してくれないものです。テストをすると、いつも思わぬ問題が発覚します。
ユーザビリティテストと専門家のレビューはどちらも有益で、しばしば異なる発見があるため、最も総合的にUIの分析するためには二つを組み合わせて行うことが勧められます。
なぜ専門家のレビューはユーザビリティテストの代わりにならない?
・目的が違う: 専門家のレビューは、一般的なユーザビリティ基準に焦点をあてたもので、ユーザビリティテストは特別な分野の知識と実際のユーザータスクに関係した問題を見つけるのにより役立つものです。両者の比較はWebcredibleでも見られます
・専門家であっても、ユーザー行動の予測は難しいことが多い: Stephanie Rosenbaumによると、「実際のユーザーはいつも私達を驚かせてくれます。私達が期待していない問題が出てくることが多く、私達が行き詰るかと思った場所でスイスイと進んでいたりもします」とのことです
・専門家は、ターゲット層の一員であることはまずないので、「ユーザーがタスクを失敗させる要因となる本当の問題点を見落とすことがあります。特定のスキルの組み合わせをターゲット層とする時には特にそうです」。2種類のメソッドの総合的比較をご覧ください
・ユーザビリティテストはサイトの使いやすさよりももっと多くのことを教えてくれます。また、「ブランドやビジネス上での発言、グラフィックスや長期・短期のメッセージ、競争力、etc...に対する、ユーザーの感情的な反応が見られる」とTedd Follansbee がUX Mattersで説明しています。
・実験に基づいたデータは常に推測よりも勝るとJakob Nielsenは言います。彼は実験でわかった事実がどんなものでも「UIデザインの適切な決定を下す可能性を高める」と信じています。彼の記事Guesses vs. Dataは、ユーザーが与えられたインターフェースにどう反応するかはたとえ専門家でも十分な予測はできないということを、いくつかのケーススタディを挙げて説明しています。
・Plasqの共同創設者Keith Langは、経験を積んだデザイナーが自分達のプロダクトをテストしなくても良いと思うのは、ウェブデザインで最も大きな誤解の一つだと言います。彼によると、最も成功していて経験を積んだデザイナーでも「ユーザーテストが絶対的な鍵」だと確信しているとのことです。
・デザイン決定が多くの出資者に受け入れられなければならない場合、専門家のレビューは疑問の余地がある意見の一つと思われるかもしれませんが、ユーザビリティテストの結果に基づいたデータは、メトリクスを含むことも多く、疑われることは滅多にありません。
専門家のレビューも利点と目的がある
・UIを迅速にまとめる必要がある場合、「専門家のレビューは、特にユーザビリティの標準やベストプラクティスに反していないかを見つけるのに役立つ」とJim Rossがアドバイスしています。
・専門家のレビューは、比較的安価で早いため、ありふれたユーザビリティメソッドです。サイトを検査して報告書を書くのはかかっても数日でしょうし、加えて多くの人が未だにユーザビリティテストには莫大な予算が必要になると思っているようです。
UIのユーザビリティテストをする前に必ず専門家にレビューしてもらうことが理想的です。ユーザーを明らかに間違っているユーザビリティにさらさないようにするだけでなく、「テストで何に焦点をあてるかを決定するためでもあります。専門家のレビューが先に明らかな問題を見つけておくことで、ユーザビリティテストがもっと重大な問題を見つけ立証することができます」とUXmattersの記事が提案しています。
・専門家のレビューはテストよりも広範囲に及ぶことがあります。Jim Rossによると、「専門家のレビューはより綿密になされ、ユーザビリティテストよりもUIのより多くの部分を評価でき、はるかに多くの問題点を見つけことができます。なぜならテストは通常時間も範囲も限られており、一定のタスクやインターフェースの部分に焦点をあてることになるからです」
なぜユーザーの反応を予測するのは(専門家にとっても)難しいのか?
・なぜなら、人は合理的だから。
・なぜなら、人はあなたと同じではないから。
・なぜなら、人はあなたが想像する使い方をするわけでないから。
・そしてなぜなら、人は自分が何を望むかをうまく語れないから。