検索とメニュー:どちらをナビゲーションに使うべきか?

Tucker FitzGerald

Tucker FitzGerald氏は、ワシントン州シアトル市に拠点を持つDenny Mountain Mediaのシニアデザイナーです。彼はビジュアル・コミュニケーションの父であり、パートナーであり、そして以前は教授でもありました。

この記事はThe UX Boothからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Searchers and Browsers: the Personality Types of UX

メニューと検索バーは、コンテンツ間を回遊させるための二大手法です。しかし、メニューと検索バーを使うのはどのような人なのでしょうか? そして、双方のユーザーニーズに合わせたユーザーインターフェイスとはどのようなデザインでしょうか?

この問いは、さらなる疑問をもたらします。何をもって、ユーザーはマウスをメニューの上に動かすのでしょうか? あるいは、検索バーを使うのでしょうか? 確かなユーザー体験をつくるには、ユーザーの多くがメニューを使いたくなる、または検索したくなる状況を理解する必要があります。

メニュー

ほとんどの人がメニューを使います。CentralwayのUX責任者であるZoltán Gócza氏は、次のように説明します。

人間は、記憶から何かを思い出すよりも、認識することに優れています。検索する言葉を入力するよりも、リンクをクリックする方がはるかに簡単で早いのです。なぜなら、検索するための適切な表現を自分で考える必要がなく、類義語やスペルについて心配しなくても良いからです。—UX Myths

私たちはクリックして周ることを好みます。問題は、ユーザーが「クリックし過ぎ」たときではなく、クリックし過ぎたにも関わらず望んだものを提供されなかったときに生じます。

多くのユーザーにとって、ウェブサイトの探索は目的に到達するのと同じくらい重要だということは忘れられがちです。

Ross Johnson氏による素晴らしい記事「The Emotional Aspects of Usability」では、ユーザーは下手なUXには不満を挙げるものの、質の良いUXを経験しても喜びを表すことは滅多にないということが指摘されています。

クリックし過ぎを回避するには

例えば、ユーザーの「クリックし過ぎ」を回避するための1つの方法は、サイトの中で目的地となる可能性があるすべてのページを含むメガメニューを設置することでしょう。しかし、たった1クリックしか必要としなくても、メガメニューは多くのユーザーの動きを麻痺させることになります。そのため、数回のわかりやすいクリックによる道筋を提供することがより良い方法となるでしょう。

megamenu

では、多すぎる選択肢とはどのくらいのことを指すのでしょうか?

EngagioのPM/UX責任者であるGlen Lipka氏は、CommaDotにて次のように言及しています

よくある間違いは、すべてのリンクを大きなメニュー上で見たいと考えることです。ユーザーは間違いなくこれを嫌います。選択肢があまりにも多すぎるからです。彼らは大きなメニューで1つを選択をするよりも、数回の簡単な選択を行うことを好むでしょう。

これは、メニューに対応するためのポイントを示しています。つまり、シンプルで、意味のある選択肢を与えることです。

3つの改善方法

選択肢を減らすことも1つの方法です。テクノロジー企業のためのウェブサイトである場合、「ソフトウェアまたはハードウェア、どちらのサポートをお探しですか?」という問いかけは、冒頭における優れた質問かもしれません。「ラップトップ、デスクトップ、またはモバイルデバイス、どちらのサポートをお探しですか?」という質問が続き、可能性のあるゴールをさらに絞ります。これは、販売しているすべての37個のデバイスと78種類のプログラムをアルファベット順にリストアップし、サポートページに掲載するよりも、よっぽど好まれる方法でしょう。

メニューに気を配るための別の方法は、クリーンでミニマルなウェブサイトを提供し、選択肢をよりシンプルにすることです。たっぷりのネガティブスペースと予測しやすいレイアウト、クリーンなタイポグラフィー、カラーパレットを提供するウェブサイトは、より直感的な選択を可能にします。

メニューのために考慮すべき3つ目の要素は、クリック可能なサイズです。フィッツの法則によれば、ターゲットエリアに移動するために要する時間は、ターゲットまでの距離とターゲットの大きさに左右されます。これは単に大きなボタンを意味するわけではありません。大きなメニューアイテム、そしてターゲットエリアを超えてクリック可能な領域を拡大することを指します。

検索

検索が使われることはまれです。Nielsen Norman Groupの研究によると、ほとんどの人が検索をあまり得意としていません。AGConsultの共同創設者でありマネージング・パートナーでもあるEls Aerts氏は、ユーザーの約5%しか検索を使用していないことに気づきました。いくつかの研究はもっと高い数値を示していますが、検索をする人が少数派であることには誰もが同意しているようです。

認識と回想力

検索するために必要なスキルの1つは、どんな質問が探している答えを導くのに適しているかを知ることです。検索はメニューよりも、目的について明確なイメージを持っていなければなりません。検索バーに入力すべき単語を知るには、直感が必要です。

このように、検索では認識力よりも回想力が必要です。メニューでは、どれが次に進むための正しいリンクであるかを判断するために認識力が使われます。対して検索に必要な回想を行うときは、結果として得たいものを説明する単語を見つけるために、記憶を掘りおこす必要があります。Nielsen Norman Groupとの研究のディレクターであるRaluca Budiu氏は、彼女の素晴らしい記事であるMemory Recognition and Recall in User Interfacesの中で、その葛藤について次のように説明しています。

道で人に会ったときのことを考えてみてください。以前に会ったことがあれば、大抵の場合はその人のことを非常に簡単に認識できますが、名前(身近な人の場合)を思い出すことはさらに難しいものです。最初のプロセスは認識です(つまり、身近な人だと認識します)。次のプロセスに、回想が含まれます。認識は出来事や情報が知っているものだと「認識する」能力であり、回想は関連した情報を記憶の中から取り出すことを指します。—Memory Recognition and Recall in User Interfaces

検索が必要とされる理由

では、検索に対するこのような課題を考慮すると、一体なぜウェブサイトには検索バーがあるのでしょうか?

検索バーを設置することには、多くの正当な理由があることがわかっています。OB1のリードデザイナーであるJoshua Jeffryes氏は、Stack Exchangeでのディスカッションの中で、次のように指摘しています。

ウェブサイトの階層とナビゲーションがいくら完璧であろうと、一部のユーザーはそれを理解できないでしょうし、または学ぼうともしません。そんなユーザーにとって、検索ボックスは重要なのです。なぜなら、彼らがウェブを使用する第一の方法は検索だからです。彼らにとっては、検索がナビゲーションです。サイトから彼らを除外するのではなく、検索ボックスに引き止めましょう。それを設置したからといって、検索ボックスを使わないユーザーに対するユーザビリティやサイトの魅力が傷つくことにはなりません。

簡単に言えば、ユーザーの中には検索を好む人もおり、検索ボックスを置くことで失うものはほぼ何もないということです。さらに重要なことは、少数派である検索を好むユーザーにツールを与えることで、ナビゲーションが上手くいかなかったときの非常口を提供することになるでしょう。これは、メニューを好むユーザーにとっても、ナビゲーションのセーフティネットとして機能します。

Media TriggersのDerek Halpern氏は、小規模なウェブサイトは検索バーを設置しない方が良いと主張していますが、ウェブサイトのサイズや複雑さが増すにつれ、検索はますます重要になります。検索バーを使用せず、Amazonで鳥の餌箱を見つけるなんて想像できるでしょうか? 巨大で複雑なeコマースのウェブサイトでは、検索バーはヘッダーから抜け出し、UIの中心的な役割を担っています。

searchbar

サイトがより複雑になるにつれ、検索バーへの依存度も上がります。

検索データの重要性

さらに重要なのは、検索によって生成されるユーザーデータかもしれません。GEICOのシニアUXデザイナーであるMike Hill氏は、「誰かが検索ボックスに何か1つ入力するたびに、その人のサイトに対する見方、考え方に関する洞察を得ることができます」と指摘しています。

検索データは検索における課題以上のものを教えてくれます。またサイトのナビゲーションを改善する重要な役割を担うことも可能です。ticket.comのコンバージョン&プロダクト責任者であるDepesh Mandalia氏は、次のように指摘しています。「顧客がどのページから(ホームページを除く)検索をしているのかを知ることは重要です。これは、良くないUXや顧客の要求を十分に満たしていないことを示している可能性があるからです。」

覚えておくべきこと

覚えておくべき重要な点は、メニューと検索の両方に、ウェブナビゲーションとしての重要な役割を持たせることです。

Cludo ApSのリード・フロントエンドディベロッパーであるAneta Chodor-Kjeldsen氏は、Cludoのブログにてこう指摘しています。「ウェブのオーナーの多くは、検索ボックスの力を過小評価しています。または、検索ボックスをページに設置することがUXナビゲーションの問題や課題をすべて解決すると考えています。」

その代わりに重要なことは、検索バーとメニュー双方の長所と短所を理解することなのです。

検索ために:

  • ウェブサイトのどのページからも、簡単に検索することができるようにしましょう
  • 予測入力によって、検索を行っても結果なしとなってしまう可能性を減らしましょう
  • オートコンプリートを活用し、検索結果をスピードアップしましょう
  • スペルミスに寛大になりましょう
  • 時間をとって検索データを研究し、それに応じて変更を加えましょう

メニューのために:


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