ソーシャルグッド(社会貢献)のためのUX

Amber Stechyshyn

Amber Stechyshyn氏は、現在サンフランシスコにおけるSpringboardのUXデザインコンテンツ研究員です。また、彼女は言葉を愛し、面白い世界の生みの親でもあり、そしてカラオケ愛好家です。彼女のプロフィールはBehanceでもご覧になれます。

この記事はUsabilityGeekからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

UX For Social Good (2016-11-07)

職業の中には、人を助けることに完全に重点を置いているものがあります。例えば、教師、警察、看護婦、医師、消防士、ソーシャルワーカーなどです。その他の職業も、人を助けることを直接的に目指してはいませんが、間接的には助けになっています。

UXデザインは、後者の部類に該当します。優れたUXを学習して実践するには、ユーザーの共感や、ユーザーの問題の解決法に対する正確な理解を必要とします。

優れたUXデザインは、世界に良い影響をもたらします。そしてUXデザイナーは、自身の素質を活かして意味のある変化を起こし、ソーシャルグッド(社会貢献)へと突き進むことができます。では、UXデザインにおけるキャリアを考えている方が仕事を通じて社会に変化をもたらしたい場合、どうすれば良いのでしょうか。

UXのスキルが社会的影響をもたらすのにどう役立つかをマッピングする

私たちはUXのデザイナーでありながら、エンファサイザー(共感者)でもあります。私たちは何をするにもユーザーのことを考え、ユーザーのことを理解しようとします。

彼らのことを理解して共感するために、UXデザイナーはいつでも適切な質問を投げかけれるように訓練されています。自分のプロジェクトは、ユーザーの問題に対してどのように役立つのか? 彼らの潜在的な悩みに対処できるくらいに十分わかっているでしょうか? このように丁寧にユーザーリサーチを進めることによって、UXデザイナーは社会的影響の強い問題を見つけることができるようになります。

また、UXデザインにおける他の主要なスキルは、社会的な影響をもたらすことにも役立つ可能性があります。例えば、UXデザイナーはプロダクトがリリースされると、ユーザーに接触してそのプロダクトがニーズに合っているかを確認します。この時、常に「自分はユーザーではない」と自覚し、自分が役に立つと思ったソリューションもユーザーには適していないかもしれない(アフリカに送られたトラクターの失策を参照)と言い聞かせることは、UXデザインにおける重要なスキルです。また、このスキルは社会的影響をもたらす手助けとなります。


また、ワイヤーフレームやプロトタイプを作ったり、エンドユーザーのために機能するソリューションを迅速に反復したりする能力や、異なったスキルを持った様々な人々と協働する能力も役に立つでしょう。

アイデアからスタートする

社会的に大きな影響を与えるプロジェクトを既に進めている企業や組織に参加するという人もいるでしょう。しかし一方で、UXデザイナーの中には、社会の中で進行している問題を見つけ、それに自身の力で対処すると決める人もいます。

Emily Waggoner氏を例に挙げてみましょう。Waggoner氏はMIT Technology ReviewのUI/UXデザイナーであり、SpringboardのUXデザインメンターです。彼女のプロジェクトであるトランスジェンダーの人々にとって快適な公共トイレのマップは、いくつかのニュースサイトで非常に大きく取り上げられました。マップは日ごとに成長を続けており、危ないかもしれない状況を人々が回避できるよう、価値のある情報を提供しています。

Waggoner氏のマップのスクリーンショット

個人プロジェクトなどでは、UXデザイナーはプロジェクトを進めつつ、自分たちが気にかけているそもそもの動機や原因などに集中することができます。プロジェクトのすべての要素に対処することは困難かもしれませんが、ユーザーに対し直接的な結果を生み出したときに大きく報われます。

アプローチを広げ、大きく考え始める

大きな社会的影響をもたらしたいなら、アプローチの幅を広げ、共にプロジェクトに取り組んでくれるような誰かと接触する必要があるでしょう。

幸いなことに、社会に変化をもたらすためにUXを利用しているグループはかなり多く存在しているので、志を同じくする人々が多く見つかるでしょう。最もよく知られたグループはUX for Goodです。こちらは非営利団体で、世界をより良い場所にするUXのプロジェクトについて議論したり、企画したりするイベントを行っています。

彼らのこれまでで最大のプロジェクトはキガリ虐殺記念館です。訪問者に対し、悲しみや怒りではなく希望を与えることに重点を置いた記念館を作るため、UXデザイナーを呼び集めたのです。

Gardens of Reflection(画像出典:キガリ虐殺記念館

他には、Project for Public Spacesが異なったアプローチを取っています。こちらも非営利団体ですが、彼らはより結びつきの強いコミュニティを構築したり、公共スペースの維持をサポートするべく、デザインやプランニングや教育に力を入れています。

UXデザイナーはこのグループの一部を担いますが、彼らが唯一の貢献者ということではありません。グループのスタッフやボランティアたちは、心理学、環境デザイン、都市地理学やインフォメーションアーキテクチャなど幅広いバックグラウンドをもっています。

次のステップ

UXデザイナーとして、皆さんにはソーシャルグッドを行うチャンスがあります。そのために以下のようなことを検討しましょう。

  • Waggoner氏の先例に従い、自分自身のプロジェクトに取り組みましょう。環境保護から都市計画まで、関心を寄せられる領域を見つけ、あなたが貢献しようとしているもの自体やコミュニティをしっかり理解するようにしましょう。
  • 社会に変化をもたらそうとしている、志を同じくするUXデザイナーのグループに参加しましょう。上述したものはこれらのうちのほんの一部で、他にもたくさんあります。多くの非営利団体は、従業員としてであれボランティアであれ、UXデザイナーにサイトやソーシャルメディアの手助けをしてもらいたいのです。
  • 企業のアプリやサイトにおいて、人の助けになる仕組みを増やすことを検討しましょう。プロダクトがソーシャルグッドに焦点を当てていないとしても、それは手助けをしなくてもいいという意味ではありません。募金キャンペーンを始めたり、アプリを通じた慈善団体への寄付をユーザーに促したりすることができるでしょう。

これは、皆さんが行動を起こす刺激となるかもしれないいくつかのアイデアにすぎません。これらについて読めば読むほど、UXデザインのスキルを通して世界をより良い場所にできる無数の方法が見つかるでしょう。

最も重要なことは、現実的で達成可能な成果を​​設け、小規模に始めることです。どんなプロジェクトに乗り出すにしても、すべての制約を考慮してその中でできることを目指し、最終的に実行するならば、それは何もしないよりも良いことなのです。