UXデザインプロセスがプロジェクトに応じて柔軟であるべき理由

Jenna Erickson

Codal社のクリエイティブ・ストラテジスト。 マーケティングおよび戦略の企画・実行、ニュースレターの企画と構成などを手掛ける。

この記事はUsabilityGeekからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

UX Design Process: Is There Really One? (2017-01-11)

UX業界に身を置く人なら誰もがそれぞれの「UXデザインプロセス」を持っており、その手法はさまざまです。似たようなフローやプロセスであることが多いものの、考え方は大きく異なります。

UXデザインプロセスでは、1つの手法がすべてに当てはまることはありません。デザイナーやUXを担当する人であれば、「UXデザインプロセスとは何ですか?」と何度も問いかけられたことでしょう。より抽象的なレベルでの概論を展開することも可能ですが、プロジェクトの詳細を理解するまでは、プロセスを定義するべきではないでしょう。

UXデザインプロセスの重要性

最終的な製品の品質が、わかりやすく簡潔なUXプロセスによって決まることもあります。つまり、プロセスによって製品の良し悪しが決まってしまうということです。確かなUXデザインプロセスがないと、プロジェクトの初期段階において、デザイナーは手探り状態で物事を進める羽目になります。プロセスがなければ、デザイナーではなく単なる理想主義者でしかない、と言う人さえもいます。

このようにUXデザインプロセスは重要ではあるのですが、すべてのプロジェクトに適用できるたった1つのプロセスというものは存在しません。もし、すべてのWebサイトやアプリケーションで同じプロセスに依存すれば、クライアントの混乱や上司の怒りを招くことになりかねないでしょう。

動的プロセスの重要性

下の図は、私が働いているCodal社で実際に使用している、UXデザインプロセスの概要を示すものです。

Codal社UXデザインプロセス(日本語訳)

私たちのクライアントには、このプロセス全体を適用していますが、発見&計画フェーズになると各フェーズのタスクは大抵変更されることになります。

動的に変更されるプロセスでは、プロジェクト間で一貫性を保つために、プロジェクトをいくつかの大きな段階に分解することが重要です。各フェーズ内でどのように実行するかは、プロジェクトに合わせて決めなければなりません。

プロセスを分解する

我々のUXデザインプロセスにおけるステージは、「発見&計画 → 調査&戦略 → 概念的デザイン → 詳細なデザイン」と分解されます。ほかのエージェントやデザイナーは、これとは異なる分解をしているかもしれません。

以下はほかのUXデザイン・ワークフローの一例です。

要件定義 → スケッチ → ワイヤーフレーム → モックアップ → 開発
戦略 → 調査 → 分析 → デザイン → 製作
調査 → プロトタイプ → テスト → ビジュアルデザイン

たとえば、Codalでは、エスノグラフィ調査、フォーカスグループ、ユーザビリティテスト、Do-Goマップ、忠実度(fidelity)の高いワイヤーフレームなどが含まれます。しかし、クライアントのすべてが、これらに時間と予算を割けるわけではありません。これらのサービスは、すべてのWebサイトやアプリが必要としているわけではないのです。

なぜUXデザインプロセスは1つではないのか?

プロセスによっては再利用可能なものもありますが、大抵は再利用することはできません。同じプロセスを再利用しても、成功は保証されません。UXプロセスは、プロジェクトにおけるビジネス要件と機能要件の両方のニーズに合わせて設計する必要があります。ワイヤーフレーム前の調査など常に従うべき手法はありますが、プロセスの各部分はそれぞのプロジェクトに特化した設計である必要があります。

デザイナーには理解しておいてもらいたいのですが、クライアントはお金と時間を湯水のごとく使えるわけではありません。予算や時間、リソース、技術などの理由により、UXデザインが制限される可能性すらあるのです。

データやユーザー数の違いによる制約

たとえば、8年間稼働してきたWebサイトでは、分析や意思決定に使える十分なデータと分析手法が蓄積されています。また、インタビューやアンケート、フォーカスグループを通じて、信頼できるフィードバックをくれる多数のユーザーも存在しています。

次のプロジェクトで調査フェーズにおいて、再度インタービュー、アンケート、フォーカスグループをしようとしたものの、ユーザーデータもない状態であったら、どこから手を付ければよいのでしょうか?

もちろん、製品のターゲットとなる市場において、「潜在的ユーザー」にアンケートを行うことは可能です。しかし、コンテキストは異なるので、調査のディテールには注意が必要です。つまり、同じような調査でも、分析手法は若干変更しなければなりません。

制約がある場合

戦略を立てる上で、デザイナーはインタビューやアンケートの実施を好みますが、プロジェクトの制約や要件により叶わないこともあるでしょう。このような場合、デザイナーは、実際のユーザーと話すことができるツールを代わりに用意する必要があります。

たとえば、いくつものインタビューの代わりに、デザイナーはセカンダリーリサーチを利用することができます。この調査は効果的ではないかもしれませんが、プロジェクトに制約がある場合は選択肢の1つとなります。予算に制限があるのであれば、セカンダリーリサーチはきわめて費用対効果の高いソリューションとなり得ます。

編注:セカンダリーリサーチとは、官公庁や企業などによる統計調査やアンケートなどの既存資料を調べること。2次情報の調査。

収益性を常に考慮する

UXデザイナーであれば、最適なUX手法、原理・原則、そしてタスクを活用したいと思うのは当然のことです。ベストなユーザー体験をデザインすることが目標であり、ポジティブな体験のためであれば、できることすべてを実行したいと思うことは理解できます。

UXデザインやヒューマンコンピューターインタラクションの授業では、優れた最終製品を確実に得るためのプロセスを教えられます。

収益性を考慮したプロセスが必要

しかし現実の世界では、プロジェクトには障害、予算制限などが課せられ、UXの価値がわからないクライアントと共同作業を行うことが多々あります。

また、目標を達成するための時間が十分にないときは、残業しなければならなくなるかもしれません。しかし、就業時間を守ることはデザイナーの義務です。もしできなければ、会社がプロジェクトで十分な利益を上げることができなくなるでしょう。雇用主とあなた自身のためにも、収益性は常に念頭に置かなければならないのです。

まとめ:UXデザイナーは柔軟性が必要である

もっとも良いUXデザインプロセスは、汎用性と適応性の両方を有していることです。

どのような制限があろうとも、デザイナーには状況に応じて調整できる能力が必要です。UXプロジェクトを開始する前に、すべてのUXチームは目標を達成するために実行すべきことを分析し、エージェントとクライアントの双方に最大限の利益が得られるように配慮することが重要となります。

ナイトライフのためのWebサイトの立ち上げ、大手金融機関のエンタープライズアプリケーション、教育向けの子供用iPadアプリなど、これらのデザインには、異なるプロセス、異なるタスク、異なる姿勢が必要とされます。

成功を確実なものとするために、デザイナーは各タスクがプロジェクトに対してどのような価値があるかを常に考える必要があります。