Amazonのサイトはデータに裏付けされたデザインに定評がありますが、他のECサイトでもAmazonのデザインが同じように適用できるとは限りません。
Amazonの商品レビューを模倣した事例
たとえば商品レビューを見てみましょう。Target.comは、Amazonと同じ商品レビューのソフトウェアを取り入れました。ユーザビリティの専門家であるJared Spool氏が証明したのですが、まったく同じソフトウェアとインターフェースを使用しているにもかかわらず、Target.comの方にはまったくレビューが集まらなかったのです。
レビューが集まらないという結果に
「ハリーポッターと死の秘宝」が販売されてから1ヶ月経つと、Amazonには1,805のレビューが寄せられましたが、Target.comにはわずか3つのレビューしかありませんでした。ちなみに、どちらのサイトも売り上げはほぼ同じで約200万部です。
他のWebサイトのデザインを真似てはいけないということではありません。むしろ、ぜひ真似てください。ただし、真似たいと思ったWebサイトが企業やユーザーに対してうまく機能している理由やプロセスをよく理解した上でコツを盗むようにしましょう。
デザインをただ真似ることがなぜ危険なのか?
Jared Spool氏はAmazonのデザインを明らかにするというプレゼンテーションで、スライド26枚目から先ほどのTarget.comのカスタマーレビューの大失敗を取り上げています。また、Christian Holst氏は、AmazonのWebデザインを真似ることが危険であるさまざまな理由をまとめています。
さらに、有名サイトのデザインをコピーするべきか?という記事の中で、Jakob Nielsen氏はこう書いています。
成功をおさめたサイトを真似ても、必ずしも自分のサイトのビジネス的価値が上がるわけではありません。(中略)真似ることにはさまざまな落とし穴もあるのです
他の記事では、Nielsen氏はAmazonのWebデザインの弱点を挙げ、ほとんどのサイトがそれを真似るべきではない理由を論じています。
Amazonとは規模、ユーザー数ともに異なる
Linda Bustos氏は、ほかのWebサイトとAmazonを比較しても意味がない理由をこのように説明しています。
Amazonは、売買量とユーザー数という観点からみて最大のWebサイトの1つです。それゆえ、通常より安い値段で商品を売ったり、自分の製品を掲載したページに(自身の売り上げの競合となるような)他社の広告や商品を載せたりすることもできるのです。また、AmazonにはレビューやAmazonのサービスの1つであるリストマニアを機能させるのに十分なユーザーを有しています。
―10 Reasons Not to Copy Amazon
ある調査によれば、ユーザビリティテストにおいて、Amazonのサイトは調査対象の20のWebサイトの中でもっともホームページの読み込みが遅く、一番複雑なホームページの1つだと評価されています。しかし、被験者となったユーザーはテスト前、そしてテスト後にも、Amazonを使い続けるしおすすめもする、と答えたのです。
「すでにユーザビリティテストの被験者の71%がAmazonを使用した経験がありました」とFrank氏は言います。「多くの人がすでにAmazonに慣れていたことと、強くブランドが認知がされていたことによって、サイトの知名度を落とすような命取りになる欠点を克服できたのです」
Joshua Porter氏は、考えもなしに(AmazonやFacebookなどの)デザインを真似ることは最悪なことだと述べています。なぜなら、ただ真似をしてもそのデザインが使われている理由は理解できませんし、顧客のニーズに直接応えることができず、データの価値を落とすことになるからです。
まとめ
とはいえ、巧みにデザインを真似たり盗んだりすることはデザイナーにとって必要なことです。
ピカソはこのように言っています。
良い芸術家は真似る。偉大な芸術家は盗む。
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