UX MILK編集長の三瓶です。
突然ですが、今ご覧になっているUX MILKのサイト上の課題って何だと思いますか?
日々UXデザインやWebサイトの改善などの記事を出していながら、見事にブーメランのように自分たちにも返ってきて、そのままブーメランが頭に刺さったまま過ごすような毎日なのですが、さまざまな事情がありなかなか改善できていないというのが現実です。
サイトのKPIに対して、どの施策が効果あるのか、どの順番でやったらいいのか非常に迷いますよね。そんなときこそ、ユーザーテストなどを実施して、優先順位をつけてやっていくべきです。
とはいえ、ユーザーテストって実際はどう行われるのでしょう? 今回はUX MILKを実験台にユーザーテストを実施してみた様子をかいつまんでご紹介したいと思います。
ON Searchでユーザーテストしてみた
今回はアイトラッキングを用いたユーザーテストを提供しているON Searchというサービスを使って、UX MILKを見ていただきます。
これが実際にテストをしているときの動画です。
アイトラッキングで視線が可視化されているのはもちろん、実際テストいただいている方が動画に合成されていて、細かい表情まで見て取れます。
上記の動画はぜひ音付きで見てほしいのですが、動画を今すぐ見れない方のために、いくつかの部分をハイライトでお届けします。
ユーザーテストの様子(一部抜粋)
登場人物は以下の3名。モニターの2名の方とモデレーターの方です。
小野さんがディレクター、伊勢さんがデザイナーの方だそうです(上記の動画は小野さんの動画です)。それでは行ってみましょう。
サイドバーが見られていない
小野さん、あまり右(サイドバー)の方を見ていないですけど、目に入らないです?
あ、僕見ないですね。記事を見るときは記事だけを見ていて。
右はどういう認識です?
なんか探そうと思ったときに見るかもしれないんですけど…。
基本的には必要ない情報があるだろうと。
目が行ってなかった、というのが正直なところで、画像と見出しが大きかったので左から見ていって、右はサブコンテンツという認識を無意識にしちゃったのかも。
*基本的にはテスターの方が自発的に喋っていきますが、特定の行動を促したり、詰まってしまったときなどにモデレーターの方が入ってきます
以前UX MILKの記事でも、サイドバーは役に立たないというものがあったので、編集部でも話題になったところです。
実はうちはサイトオープン当初はワンカラムのサイトだったのですが、色々なお知らせやナビゲーションを入れる目的で導入しました。記事を読みに来ているユーザーを邪魔しない、というUX観点でいうと、このサイドバー追加というのは微妙な判断かと思ったのですが、上記のテストを見ている感じ、特に邪魔しているということでもなさそうですね。
お知らせや記事リンクが見られていないというのはビジネス的にはあまりよくない知らせですが…。サイドバーのサムネイルなどはもう少し大きくしてもいいのかな、と思いました。
トップページで興味をひけていない
更新頻度がかなり頻繁で、ほぼ毎日更新されているようなので1回ファンになったら毎日チェックしたいと思うんですけど。
このサイトに初めてたどり着いたときには一番最初の上3つなどの記事に興味ありそうなものがなかったら離れちゃいそうな気がします。
トップページにどう記事を陳列するのかというのも大きな課題の1つなんですよね。うちはまだオープン当初のミニマルな構成から大きくは変わっていなくて、「まずは読んで欲しい記事」や「人気記事」がうまく訴求できていない問題があるので、おっしゃる通りかと思います。
タグ・カテゴリがわかりにくい
このサイトはデザインの話題をいくつか扱っているのかな…という印象ですね…。
カテゴリは…(マウスカーソルが彷徨う)あ、一応タグがあるんですけど、カテゴリなども色分けされているわけではないし、全部ちっちゃくて一緒な感じなので、パッと見どういう情報があるというのがわかりにくいかな…。
明らかにナビゲーションで迷ってしまっていますね。カテゴリ分けやタグの問題も大いにあって、まだ整理しきれていないというのが本音なのですが、そろそろちゃんと整理したほうが良さそうです…。
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もっと見たい方はフル動画もどうぞ:
ユーザーテストを終えて
今回、2名の方に10分強見てもらっただけでも、いくつも発見がありました。 双方のテストで共通して見てとれたのは以下のような点です。
・戻る際にブラウザバックを使用している
・記事下の関連記事などは表示もされないレベルで見られていない
・写真と見出しと同じくらい囲い枠に目が行く
・グローバルナビがパッと見で認識されていない
2名の方の間だけでも結構な違いが出たので、やはり最低でも3名の方には見てもらいたいですね(※本来は3名の方にしてもらうそうです)。
ON Searchで面白いのはやはりアイトラッキングもあるというところです。発話でフィードバックをもらうのもいいですが、視線を観測するだけでも隠れたインサイトを得ることができます。
今回も職業が違う2名の方ではサイトの見方も視線の動きもだいぶ異なるようでした。
UX MILKのようなメディアサイトだと記事を読むくらいなので、ユーザーテストで見えてくるものは少なめですが、機能が豊富なサイトではもっとたくさん見えてくるものがあると思います。
ちなみにUX MILKはこれを経て、徐々に改善していきます…!
ON Searchについて詳しく聞いてみた
今回ユーザーテストで利用したON Searchは、株式会社NOKIOO(ノキオ)さんが提供しているサービスです。
ON Searchについて、もう少し詳しく話を聞いてみました。
改めてON Searchの簡単なご説明をいただいてもよろしいでしょうか?
ON Searchはジャンルで言えばWebユーザーテストのサービスです。
ユーザーテストというと、今までは大がかりな設備を使って何百万円もするようなものか、もしくはスマホを利用した簡易的なリモートユーザーテストのどちらかしかなかったんです。
確かに、そのようなイメージですね。
NOKIOOは静岡を本拠地とするWeb制作の会社でして、中小企業さんやそこそこの規模のWebサイトを担当することが多いのですが、ユーザー視点でサービスを改善しようとするとき、規模と費用感にギャップがありました。
たまたま社内にこういったことをやれるリソースがあったので、まずは自社の制作物のクオリティをあげようというところで自主的にやっていたのがことの始まりです。
アイトラッキングは最初からあったのですか?
サービスをより洗練させる過程で、アイトラッキングはあとからつけました。視線データと被験者の表情、発話内容とセットにすることで、より心理的な部分を拾い上げができるようにしています。
シナリオ設計はしっかりと
今回UX MILKでやっていただいたのは簡易版だったと思うのですが、実際はもっとみっちりやるんですよね?
はい、今回は「自由に見てみてください」というオーダーで10分程度だったかと思いますが、実際は3名の方に2時間やっていただきます。
2時間! となるとテストの設計も大変そうですね。
はい、はじめにシナリオ設計をするのですが、これは弊社のUXコンサルタントとクライアントさんで一緒に作っていきます。
事前にそのサイトのゴール、主要なコンテンツ、想定されるターゲットとストーリーなどを考慮して、実際のユーザーテストでモニターの方にどんな質問を投げかけるかを決めていきます。
このあたりは聞き方を間違えると誘導してしまったりしそうで、難しそうです。
実際「このサイトわかりづらいんで…」とクライアントが自ら悲観的に決めつけてシナリオを作ってしまう場合などもあります。実際やってみたらそうでもないのに(笑)。
心理的バイアスをフラットにするのもコンサルタントの大きな役目ですね。
そうです。何にせよ、シナリオがしっかりしてないと結局出てくるファクトがつまらないものとなってしまうので、ここは丁寧にやります。
ユーザーテストの用途
ON Searchはどんなときに使えばよいのでしょうか?
やはりリニューアル前の企画設計のためや、リリース直前のプロトタイプ検証というのが一般的ですね。あとは競合のサイトをテストしてほしいというのもありますね。
なるほど! ユーザーテストというとつい自社サイトにフォーカスしがちですが、たしかに競合のテストも見るべきですよね。
そうですね。たとえば自社サイトの新機能があまり使われていない場合、それがそもそも使われないものなのか、単純に自社のものが使いづらいだけなのかというのは、競合も見ないとわからなかったりします。
競合でもテストしてみて、「うちの強みだから残して改善していこう」などという判断もできるようになります。
そういう使い方もあるんですね。うちも似たサイトがどう見られているかは気になります…。
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今回ご紹介した「ON Search」は手ごろな価格で本格的なアイトラッキング+ユーザーテストができるサービスです。
Webサイトの改善、新規サービスの検証、競合調査などでお困りの方はぜひチェックしてみてください。
WEBユーザーテスト・アイトラッキング
「ON Search」
提供:株式会社NOKIOO
企画制作:UX MILK編集部