見た目が悪くても人気なサービスから学ぶユーザビリティ設計

Graeme Fulton

GraemeはIBMのデザイナーで、prototypr.ioの編集者です。

この記事はUXPinからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

It’s Ugly, But It Works: On Designing for Usability

まるで90年代かのような、見た目は良くないけれども人気のあるWebサイトは、今現在でも多く存在しています。

Wikipedia、Reddit、Hacker News、Craigslist

上記のWebサイトは、お世辞にも良いデザインとはいえないですが、それにもかかわらず人気があります。なぜ人気があるのか、それはユーザーがもっとも必要としているものを確実に提供しているWebサイトであるからです。

たとえば、各Webサイトにはこのような特徴があります。

・Redditは、ユニークユーザーが2億3,400万人、月間ページビュー数が81.9億、日間投票数が2,500万(2016年時点の統計)にもかかわらず、表示速度が非常に速いサイトです。

・Hacker Newsは最新のスタートアップ関連のニュースを掲載するだけのサイトです。しかし、この「コンテンツを目立たせる」ことこそが、ユーザーからもっとも評価されている点です。

・Wikipediaは情報がとてもよく整理されていて、ユーザーは欲しい情報を簡単に見つけることができます。

良いアプリは、その見た目よりも、ある問題を解決するのに役立っているかどうかが鍵となります。その例として、私が最近見つけた、「My Tabata」というあまり知られていないアプリがあります。

ビジュアルよりも使いやすさが重要であるとうこと。そのケーススタディとして、このアプリを詳しくみていきましょう。

My Tabata:見た目の良くないUIと、使いやすいUX

My Tabataはデザインだけを見ると、かなり微妙なアプリと思われるかもしれません。しかし、アプリを設計されたコンテキストに沿って使用すると、ある問題を非常に上手く解決していることがわかり、良い印象に変わるでしょう。その結果、My Tabataは4200人以上のユーザーから平均レビュー4.4 / 5を獲得しました。

My Tabataの概要

My Tabataが解決している課題

Tabataは、シンプルで強度の高いエクササイズの手法で、Tabataでは20秒ごとのエクササイズに10秒の休憩を挟み、これを繰り返します。

Women’s Health MagのTabataトレーニングの例

そのため、時計やタイマーを使用してインターバルや休憩時間を管理するのは容易ではありません。ここで活躍するのが「My Tabata」なのです。確かに、ユーザーインターフェイスのデザインは良くありませんが、アプリを使えば、Tabataトレーニングの時間管理の問題を解決することができます。その結果、「ユーザビリティの原則」に従って、ユーザーのエクササイズ体験はより良いものになるのです。この「ユーザビリティの原則」については下記で紹介します。

My Tabataにみる4つのユーザビリティの原則

1. コンテキストに沿ったインタラクションを使う

空中でジャンプする「スーパースクワット」をした際、ユーザーは水分補給のため、Tabataを一時中断する必要があるでしょう。ただし、My Tabataには「開始」や「停止」ボタンはなく、画面上の任意の場所をタップするという簡単な操作方法をとっています。

タップして一時停止

これにより、ユーザーは画面上の操作に手間をとられずに、エクササイズに集中することができるのです。

2. 適度な説明をする

アプリを起動すると、ユーザーは「タップして開始」と書かれた画面を目にします。事実上、ここまでの説明量はゼロです。

画面をタップした直後、フィットネスが始まります。この直接的なユーザー体験こそがTabataの最大の特徴です。この最小限のナビゲーションの結果、ユーザーは最小限の操作で目的を達成できるのです。

ユーザーが目的を達成するのを助けることがあなたの役割です。ユーザーの目的はインターフェースを使うことではありません。あなたが正しく仕事をしていれば、アプリは1つの目的を効率よく果たし、かつそのすべてを1つの画面で行えているはずです。-Antoine Valot氏

ユーザーは画面の右上にあるメニューをタップして設定にアクセスすることができますが、その動作もTabataでの体験を中断しません。設定は各セッションの前後に変更され、次回以降のセッションに設定内容が保存されます。

3. 必要なときのみオーディオを使用する

エクササイズのラスト数秒を頑張っているとき、ユーザーは運動に集中するため目を閉じることがあります。

My Tabataは音を使用して各エクササイズの最後の3秒をカウントダウンするので、エクササイズ中に携帯の画面の時間を気にすることなく、集中して続けることができます。

4. ユーザーが進捗を追跡できるようにする

アプリ上のさまざまなエクササイズを実施することで、ユーザーはエクササイズ全体のどの辺りまで進んだのかが、わからなくなることがあります。そのような場合、My Tabataユーザーは、画面下部にあるステータスバーを使用して、最小限のUIで進捗状況をすぐに確認することができます。

タイマーと組み合わせる手法により、ユーザーのエクササイズ経験を向上させます。

実際、「My Tabata」から学べることの多くは、Jakob Nielsen氏のアプリの見た目と使いやすさに関する「UIデザインに関する10のガイドライン」と重複していることに気付くでしょう。

詳細:UX Design Process Best Practices

次のステップ

ビジュアルの精巧さを追及しすぎて、全体の流れを犠牲にしてしまうという罠に陥らないようにしましょう。

最後に、UXにおける欲求階層を常に頭に入れておきましょう。

素晴らしいデザインは確かに良い製品をさらに良いものにすることができます。ただし、そもそもその製品が使いやすく、有用で、信頼できるものでなければ意味がありません。不安定な基盤の上に物事を構築してしまえば、倒壊する可能性が高くなってしまうからです。


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