モバイルデザインのためのユーザーペルソナ

Interaction Design Foundation

Interaction Design Foundationはグローバルにデザインレベルの向上を目指す、デンマーク発の非営利団体です。

この記事はInteraction Design Foundationからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

User Personas for Mobile Design and Development

ユーザーペルソナは、UXの仕事においてもっとも価値のあるツールの1つです。

ユーザーペルソナを作ることで、デザインチームと開発チームは常にユーザーストーリーを意識しながら仕事を進めることができます。これは、ユーザー視点で製品を作ることにも繋がり、結果として製品が成功する可能性も高くなるでしょう。

モバイル向け製品の開発でもユーザーペルソナは利益をもたらしてくれるものですが、より効果的に活用するためにはもう少し情報を加えることが重要です。

UXデザインにおけるペルソナの種類

一般ユーザー向けビジネスでは、いくつかの種類のペルソナが使われています。その中でも、特にUXデザイナーにとって役に立つものに、プロトペルソナとユーザーペルソナがあります。

  • プロトペルソナ:ユーザーリサーチをするリソースがないときに作られるペルソナ。収集可能なリサーチデータを元にしたもので、もっとも確からしいと考えられる推測です。プロトペルソナはユーザーペルソナほど役には立ちませんが、何もしないよりかはいいのでしょう。
  • ユーザーペルソナ:UXデザイナーが仕事でもっともよく使うペルソナ。ユーザーのゴール、行動、抱えている問題についてのシンプルなストーリーです。ユーザーペルソナはユーザーリサーチを通して作り出されます。

どちらのタイプのペルソナも、人が何をするか、なぜするか、商品に何を求めているかを教えてくれます。つまり、実際のユーザー体験がどうあるべきかを示すガイドラインのようなものです。

ユーザーペルソナのポイント

ユーザーペルソナは、以下のこような項目に注意するべきです。

  • リサーチを元にした明確なものであるべき。
  • 未来の時点で何が起こるかではなく、今にフォーカスするべき。
  • 理想化しすぎず現実的であるべき。
  • ユーザー体験を考えるための土台を作るべき。

また、ユーザーペルソナは、ユーザーのことを理解する役に立ちます。具体的には、以下のような項目です。

  • 商品が使われるコンテキスト
  • 現在のユーザーの行動
  • 一般的なユーザーの態度
  • 自分がデザインしている商品へのウォンツとニーズ
  • ユーザーが解決したい課題
  • ユーザーの目的

Author/Copyright holder: Florence Herrou. Copyright terms and licence: CC BY 4.0

ユーザーペルソナを作る方法

ユーザーペルソナを作る方法には、さまざまなものがありますが、シンプルなものは以下のようなプロセスです。

  • ユーザーになり得るグループを集め、インタビューまたは観察をする。
  • ユーザーの行動、返答、振る舞いなどのパターンを探し、同じパターンの人をまとめてグループにする。
  • グループを元に、典型的なモデル(ステレオタイプ)の人を作り出す。
  • ステレオタイプに基づいてユーザーペルソナを作り出す。これには、コンテキスト、行動、ニーズなどの詳細を含みます。
  • ユーザーペルソナをチーム内で広める。必要であれば、フィードバックを求め修正する。

ユーザーペルソナをUXデザインで使う利点

ユーザーペルソナは、ユーザーの製品に対する認識に、チームを集中させるという利点があります。また、ユーザーペルソナは、プロジェクト範囲が肥大化してしまうスコープクリープや自己言及的デザインを防ぐことができます。

編注:自己言及的デザイン(Self-referential design)は、製品の本来のユーザーではないデザイナーが、自分自身を基準として製品をデザインしてしまい、ユーザーの課題を解決できなくなってしまうこと。

ペルソナをどのようにUXデザインに使うか

ペルソナは、ユーザーの声を元にチームが改善を行うためのツールです。これを行わないと、デザインプロセスの途中で失敗してしまう可能性があります。

たとえば製品が使われる場面のシナリオを作るとき、シナリオにコンテキストを与えるためにペルソナは使われるべきです。これは、製品がどのように使われるかを自分たちで想像するよりも良いでしょう。実際、より良い製品を作るには、ユーザーペルソナはシナリオと組み合わせて使うべきです。

デザインにおけるペルソナには、4つの使い方があります。

  • ペルソナはデザインチームの意思決定を検証するために使われるべきです。
  • リソースや時間の都合上、すべてのアイデアを実現できないとき、ペルソナは優先順位を決めるために使われます。
  • アイデア出しの場において、ユーザーにフォーカスし、インスピレーションを得るためにペルソナは必要とされます。
  • ペルソナはアイデアを批評するときの参考になるべきです。

モバイルにおけるユーザーペルソナの違い

モバイルにおけるユーザーペルソナを作る過程は、ほかのユーザーペルソナを作る過程と同じです。しかし、モバイルUXでは、ユーザーがアプリやWebサイトを訪問するコンテキストは非常に重要です。

可能であれば、ユーザーが実際にどのように行動しているかを「無作為に」観察をし、それを元にリサーチをすると良いでしょう。ユーザーインタビューは、ユーザーの振る舞いを知ることには適していないかもしれません(実際にインタビューで人が言うことと、実際にすることでは大きな違いがあると表しています)。

もしユーザーが動きながら「急いで」アクセスしているとしたら、彼らのニーズはオフィスでPCからアクセスする場合とは違うでしょう。

Author/Copyright holder: Petar Milošević. Copyright terms and licence: CC BY-SA 3.0

ポイント

ユーザーペルソナはユーザーシナリオと合わせ、UXデザイナーにとってとても効果的なツールです。プロジェクトチームをユーザーの求めるものやニーズにフォーカスさせ、またデザインプロジェクトの成果物をチーム全員が理解できるようになります。

ユーザーペルソナはユーザーリサーチに基づいていますが、もしリサーチの予算や時間がない場合はプロトタイプペルソナを使うことができます。

ユーザーペルソナは、ユーザーニーズを思い出させてくれるストーリーを伝えるものです。モバイルUXに関して言えば、製品が使用されるコンテキストがペルソナの重要な部分になります。 


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