UXリサーチ初心者の疑問に答える15のルール

Interaction Design Foundation

Interaction Design Foundationはグローバルにデザインレベルの向上を目指す、デンマーク発の非営利団体です。

この記事はInteraction Design Foundationからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

15 Guiding Principles for UX Researchers (2017-02-18)

私たちは、UXリサーチ初心者の多くが、UXデザインを始めるにあたり、皆似たような疑問と不安を抱いていると気付きました。そこで今回は、UXリサーチャーにとって役立つ原則を作るために、UXリサーチにおける一般的な疑問をまとめ、解決しようと思います。

もちろん、今回の記事はUXリサーチの完全ガイドではありませんが(完全ガイドとなるような中身の詰まった専門書はそこらにあります)、UXに関して常に絶えない疑問を解決するための手立てとして役立ててください。

1.複数のツールを組み合わせる

優秀なUXリサーチャーは、ひとつのツールだけを使うのではなく、複数の技法やツールを習得しており、それらを組み合わせることができます。こうすることで、UXリサーチにおける課題を見つけやすくなり、すぐに改善を行えるようになります。

2.「間違っている」とわかりやすくなる

リサーチを行うと間違いに対して速やかに対処ができます。たとえば新しい機能を導入したとき、最初のユーザー5人が使い勝手が悪いと感じた場合、新しい機能には問題があるでしょう。しかし100人のユーザーが何もコメントを残さずに利用している場合は、そもそもまだ新しい機能が十分にユーザーに浸透できていないということが予想できます。

3.すべてのリサーチに同一のサンプルサイズを使用することはできない

残念なことに、それぞれリサーチごとにリスクを計算して、リサーチのタイプに応じたサンプルサイズを決定しなければいけません。

つまり、すべてのリサーチに対して、同一のサンプルサイズを使用することは、間違ったアプローチなのです。

4.1人だけのユーザーでテストを行う場合もある

たとえば、新しいタイプの文書作成ソフトを開発する際、あるユーザーにドキュメントを保存するテストを行ってもらったところ、タスクを完了できなかったとします。では、さらに何人のユーザーにテストをする必要があるでしょうか? さらにテストを行うこと自体正しいでしょうか?

このように、問題点には共通して発生するものがあります。その場合には、たった1人のユーザーでテストを行うだけで問題を見つけ出すには十分なのです。

製作者/著作権保有者:Luca Mascaro氏。著作権条項およびライセンス:CC BY-SA 2.0

5.精度向上のために、サンプルサイズを拡大する

サンプルサイズが大きくなるほど、データの精度もより向上する傾向があります。一般的な経験則では、精度を2倍にするためには、サンプルサイズを4倍に拡大する必要があるとされています。

6.ランダム化によりリサーチデザインの欠陥を克服する

質問や回答、プロセスの流れなどの順序を入れ替えられるならば、入れ替えるようにしましょう。プロセスがランダムであるほど、一貫性が生まれ、リサーチデザインの欠陥を最小限に抑えやすくなります。

7.リサーチ結果は誰のものでもない

収集しているすべてのデータは、個人の所有物でも、チームのものでもなく、会社のものなのです。ユーザー体験に関するリサーチを会社全体に共有することで、会社はユーザーニーズを最優先事項として注目するようになります。

自己中心的にUXの仕事をしてはいけません。データをきちんと会社に渡して、その対価を受け取りましょう。

8.質問の評価尺度はあまり重要ではない

UXリサーチにおいて、より正確な評価尺度を選ぶべきであるとか、中立性の高い評価をすべきであるなど、評価尺度に関して多くの議論があると思います。しかしこれらの議論には、5分も時間をかければ十分です。つまり、重要なのは尺度の内容ではなく、リサーチを実行することなのです。

どれか測定法を選んだら、すぐにリサーチを始めるようにしましょう。

9.被験者はペルソナを考慮して選出する

どんな人でも、製品のユーザーやユーザー候補となるわけではありません。

まず、ターゲットとする市場を考慮してペルソナを設定します。そしてそのペルソナに合うユーザーを被験者として募集しましょう。こうすることで、実際のターゲットとなるユーザーに近い、より役立つリサーチ結果を得られます。

あらゆるユーザーニーズのすべてを常に満足させることは不可能であり、UXのプロでも挑戦しないでしょう。

製作者/著作権保有者:Nicolas Nova氏。著作権条項およびライセンス:CC BY 2.0

10.ユーザーの意見vs.ユーザーの行動

ユーザーの意見よりも実際の行動を重視すべきだとよく言われますが、これにはあまり賛同はできません。どちらもリサーチして、2つの相違点を究明する必要があるのです。

ユーザーが本当にしたいことを言っている場合もあれば、そうでない場合もあります。どのような場合に、ユーザー体験を向上できているかを知ることは、UXにおいて非常に重要です。

11.ツールキットを常に改良する

時間が経てば経つほど、新しいアイデアやメソッドが誕生します。新しいアイデアやメソッドを試さず逃してはいけません。たとえ取るに足らないものだったとしても、実際に使ってみてわかるほうが、手も付けずにつまらないものだ判断してしまうよりも学びがあります。多くの場合、たとえ最悪なツールでも、適切に用いることでインサイトを深めてくれるでしょう。

12.ユーサビリティはただの建前?

機能のユーザビリティを測定するのは不可能です。我々が検証できることは、機能が使えるかどうかです。また、検証は流動的で、製品やユーザーごと、そしてUXのリサーチャーごとに手法は異なります。機能の問題点を発見することは、リサーチという活動の一部なので、検証できるに越したことはありません。しかし、問題点を発見することよりも、問題点がまったくないことを示すことのほうがよっぽど困難です。

13.レポートは簡潔に

斬新なリサーチ方法で、驚くような結果が出たとしても、すべてを網羅するような本を書く必要はありません。組織全体において価値のあるリサーチにしたいのであれば、レポートは必要最低限に抑えましょう。

しかし、自分の学習材料にする場合は、リサーチの詳細を明らかにする必要があります。また、商業的に出版したいリサーチであるのならば、本を書くことも考慮して記録しましょう。

14.観察者はそれぞれ違う視点から観察することに注意する

警察が目撃者の証言を、ある程度懐疑的にとらえるのには理由があります。これは、人はそれぞれ独自の視点を持っており、全員が物事を同じようにとらえることは滅多にないからです。つまり、専門的な問題を除いて、観察者を増やすことでリサーチの精度が向上するだろうということを意味します。もし問題点をすべて明らかにできれば、ユーザーにとっても良いでしょう。(もちろん、すべての問題を解消するつもりがあればですが)。

また観察するときの振る舞いによって、得られる結果が変わる可能性があることも忘れてはいけません。

15.特定人物の崇拝は禁物

世の中にはUXの達人と呼ばれる人が山ほどいます。しかし、今は最先端の人物として崇められていても、明日には軽視される人もいるでしょうし、その逆もあるでしょう。UXリサーチャーとなる上で、「正しい」方法はひとつもありません。UXのアイデアを提案した人の名前は無視して、基盤となるアイデアのほうに着目しましょう。

優秀なUXリサーチャーであるためには、あらゆる物事を偏りなく公平に批判する目を養う必要があるのです。