タスク解析はどんなデザインプロジェクトを行う上で欠かせない部分です。しかし、より面白そうなほかの分野があるために、タスク解析は飛ばされがちでもあります。
実際に、タスク解析はデザインプロジェクトを成功させるために必要不可欠な上、プロセスは非常に簡単なのです。さらにタスク解析は、モバイルとPCのどちらのプロジェクトでも(またはその組み合わせでも)利用できます。これはUXの大事な武器であり、とても簡単に使いこなせます。
タスク解析はユーザーシナリオとも呼ばれ、ユーザー視点でタスクを明らかにするためのシンプルで効果的なプロセスです。
適切に実施できれば、タスク解析は現在の状況や使っているテクノロジーに関係なく使うことができます。また、タスク解析はユースケースではなくアジャイル開発で使われるユーザーストーリーに近いものです。通常、ユースケースはタスク解析が終わった段階で作られることが多いです。
また、タスク解析のアプローチでは、すでに存在する、あるいは過去にしてしまった失敗を繰り返してしまうミスを避けることができます。
つまり、タスク解析はユーザーが何をしたいかという根底に近づける、簡単でもっとも効果的な方法です。タスク解析を行う上でのポイントは、自分がすでに把握していると思っている問題から離れて、ユーザーのニーズにタスク解析のプロセスを導いてもらうことです。
タスク解析への簡単なアプローチ
タスク解析はとても簡単です。しかし、複雑なプロセスではないですが、少し考えなければならない部分もあります。
問題を明確にする
ユーザーの抱える問題を知らなければ、解決することはできません。仮にユーザーの問題を明確にせず解決しようとした場合、ユーザーが気にしていない問題を解決しようとしている可能性がとても高いです。
例として、Webサイトとアプリのどちらにもある「買い物かご機能」を見てみましょう。
買い物かごは、ものを買うために使われます。しかし、買い物かごが解決する問題を明確化したとき、買い物かごにはあくまでユーザーの欲しいものが入っているだけで、具体的な解決策になっていないということがわかりました。実際にユーザーがECサイトでの買い物に対して抱いている問題は、次のようなものかもしれません。
- ある商品を買いたい、見つけたい、支払いをして終わりにしたい。買い物かごなんて必要ないし、そのまま直接支払いに進められないのか?
- ある商品を買いたいけれど、それと一緒に使うほかのアイテムが必要かどうかわからない。付属品や補完するアイテムについて教えて欲しい。
- たくさんのものを買いたい。欲しいものに印を付けることができて、ほかにもサイト上で見て回りたい。見終わったら、印をつけた商品を購入したい。
- ただ見ているだけ。欲しいかもしれないものに印をつけて(欲しいものリスト)、いつか買うかもしれない。今後サイトにまたきて、欲しいものリストから買うかもしれない。
- ある製品(たとえばカメラ)を買いたいが、同じ製品でも機能などが違うため、どれにすればいいかわからない。興味があるもののいくつかに印をつけて、買うものを決める前に比較したい。
買い物かごは3つ目の問題の解決策になります。しかし、買い物かごはすべての問題を解決するようにはデザインされていないので、ほかの4つの問題を解決するにはまた別の解決策が必要になります。
以下に示す一般的な科学的手法は、問題を明確化する際に適応することができるでしょう。
ユーザーニーズをもとに優先化する(リサーチを通して理解する)
上に挙げた例の5つの問題のうち、1番多くのユーザーが抱いているであろうものはどれでしょうか? まずは、ユーザーが製品を使う際にどのような行動をするのか明らかにするため、ユーザーとともに検証する必要があります。しかし、カメラのように他の商品との比較が必要な買い物と比較が必要ない買い物があるように、ユーザーのニーズには違いがあります。そのため、ユーザーニーズによって優先順位をつける必要があります。
理想的な検証は、解決策を事前に推定しないで行うものです。もしかしたら、ユーザーとの検証を行う前に、実際の店舗を訪れてみてユーザーを観察するなどやるべきことがあるかもしれません。また、ユーザーのバイアスを取り除くために、製品をまだ使っていない潜在ユーザーに協力してもらうと良いでしょう。
リサーチで何を探しているか
タスクフローを発展させるため、タスク解析でユーザーを観察するとき、5つの段階を念頭に置いて行いましょう。
- イグニッションポイント。ユーザーがタスクを始める起点となるものは何か。
- フォーカスポイント。タスクが終了したとユーザーに伝えるものは何か。
- ユーザーがすでに知っていることは何か。平均なユーザーがタスクを始めるときに知っている知識は何か。
- ユーザーは何を知る必要があるか。フォーカスポイントにたどり着くまでに、どんな知識がさらにユーザーに必要か。
- ユーザーは何を使うか。どのようなツールやプロセス、情報をユーザーはタスク達成までの間に使うのか。
タスクの流れをドキュメント化する
タスクフローを作るのはとても簡単です。まずは付箋を使い、多くのプロセスをドキュメン化します。次に、ドキュメント化したプロセスから派生する、より複雑なタスクをドキュメント化していきます。
ドキュメント化の際に、色つきの付箋を使ってタスクを以下のようなグループに分けるとわかりやすくなります(付箋に番号などの印を付けるのも良いでしょう)。
- ユーザーグループ(ユーザーが取るアクション)
- システムグループ(システムがユーザーのために行うアクション)
- 目的/ツール/情報グループ(ユーザーがアクションを取るために必要なこと)
- 質問グループ(タスクに関連する解決しない質問や困難なこと)
タスクを最適化する
タスクフローを決めたらそこで終わりではありません。タスクフローのフォーカスポイントから遡って、タスクを解決していかなければいけません。目標はタスクフローのステップをできる限り減らすことです。ステップを減らせない場合は、 ユーザーグループのアクションをシステムグループのアクションに替えてみます(例:効率化のための自動化)。
プロセスから、複雑なステップはできる限り減らさなければいけません。とはいえ、簡略化しすぎる必要もなく、あくまで目標は、タスクフローを通してユーザーをフォーカスポイントに導いていくことです。もし簡略化したことによって、ユーザーがゴールに到達するプロセスの妨げとなってしまうようであれば、ステップの機能性を取り除かないようにしましょう。
ポイント
タスク解析は、ユーザーが抱いている問題に集中することができるため、もっとも効果的な解決策を導くことできます。解決策を見つけたら、デザインと組み合わせてさらに良いユーザー体験を生み出せるでしょう。タスク解析にはさまざまなプロセスがありますが、上に挙げたものはタスク解析の導入として非常に簡単な方法です。