UX専門家が使用するメソッドとその変遷

Jeff Sauro

Measuring Uの創設者。シックスシグマに熟練した統計学分析者であり、ユーザーエクスペリエンスを定量化したパイオニアでもあります。

この記事はMeasuring Uからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

The Methods UX Professionals Use (2016) (2017-04-18)

UXのリサーチャーが使うさまざまなメソッドは、UXリサーチをより興味深く、効果的なものにします。

最近行われたUXPA給与調査は、専門家が利用しているメソッドの包括的な図を示しています。

図には、2016年に集められた、37カ国1200人以上の回答データが含まれています。2014年と2011年にも同様のサンプルサイズで、似たようなデータが集められました。

この記事では、一般的なメソッドがどのように使用され、また時間とともにどのように変化したかをご紹介します。

注記:年間またはメソッド間の比較における約5%以上の差は、統計的に有意であると言えます。

ユーザビリティテスト

2011年以来、ユーザビリティテストはもっとも一般的なメソッドとなりました。回答者の80%がユーザビリティテストを使用しています。ユーザビリティテストは、従来のラボベースのテストに、モデレートされていないテストと遠隔モデレートされたテストを提供するというさらに多くのオプションを追加しました。このようにして、過去10年間にユーザビリティテストは進化したのです。

エキスパートレビュー

エキスパートレビューは、人気のユーザビリティテクニックであり、違いはあるものの、よくヒューリスティック評価と呼ばれます。アンケートへの回答者の使用率は64%で、2011年の75%から減少しました。エキスパートレビューは、ユーザビリティテストと組み合わせて行うのがもっとも良い方法です。その証拠に、エキスパートレビューを使用していると報告した回答者の89%が、ユーザビリティテストも実行しています。もちろん、必ずしも連携しているわけではありません。

ベンチマーク 

Webサイトのベンチマークでは、標準化された評価指標を使用し、競合企業との比較を行います。これは、デザインの変更によって、どのように体験が改善されるかを理解する上で不可欠なステップです。回答者の約半数が、ベンチマークや競合企業の調査をしたと答えています。ベンチマークがわずかに減少傾向にあるのは、ベンチマーク調査が幅広い場面で実施できるため、アウトソーシングと関連しているかもしれません。ベンチマークの助けになるように私たちMeasuring Uでは、モデレートされていない研究を行うためのソフトウェアとサービスの両方を提供しています。同様に、よくある問題を避けるためのチェックリスト提供しています。

アイトラッキング

アイトラッキングは、11%が仕事で使用したと回答した、少数派の方法です。過去10年間でアイトラッキングが大幅に安くなりました。しかし、グラフには表示されていませんが、調査を開始した2009年に報告された13%という使用状況は、それほど変わっていません。アイトラッキングの使用がよりわずかなものになってしまったのは、アイトラッキングに必要とされる時間とトレーニングへの懸念を反映しているからかもしれません。私たちがクライアントに対してアイトラッキング調査を行う際には、1分間の映像ごとに、10分の処理時間と分析時間を費やすことを推奨しています。 

ユーザーリサーチ

ユーザーリサーチは多くの定性的、また定量的なメソッドを網羅した、広義な言葉です。驚くことではありませんが、ほとんどの回答者は何らかの形でユーザーリサーチを行っていると報告しています。この割合は2011年以来、ほとんど変化がありません。

過去10年間にわたり、市場調査とユーザーリサーチを融合させて継続的に実施しているようです。4分の1という少数の回答者が「市場調査」を調査法としている一方で、アンケートやフォーカスグループを含む市場調査も採用している、という回答が増えています。実際、UXリサーチャーの中には嫌う人もいるでしょうが、回答者の約40%は、フォーカスグループを使用し続けています。

ユーザーと必要条件の定義

ユーザーエクスペリエンスを向上させるために、ユーザーが誰であるか、そしてユーザーがインターフェイスで何を達成したいかを理解することは不可欠です。要件を収集し、タスク分析を行う使用者の数はわずかに減少してしまったものの、ペルソナはいまだにその人気を維持しています。半数を少し下回る人数の回答者が、コンテキストインタビューを実施していると報告しています。これは、ユーザーがどのように問題に対応、解決するかを理解するための貴重なメソッドです。

情報アーキテクチャ

製品や情報を簡単に見つけられることが、優れたWebサイトや製品とそうでないものとの違いであることは、一貫して知られています。ファインダビリティの科学があり、それには数多くの方法とメソッドが関与しています。 UXPAのアンケートでは、人気なメソッドのひとつであるカードソートについて質問されています。2011年以降、カードソートの使用率は減少しています。

プロトタイプとデザイン

デザインは、ユーザー体験の基礎となる部分です。 回答者の70%以上が何らかの形でプロトタイプまたはワイヤフレームを使用しているとの報告は驚くことではありません。私たちはInVisionで作られた高忠実度のプロトタイプを使い、かなり頻繁にテストします。 回答者の多くがワイヤフレームや低忠実度のプロトタイプを使用していることは、最小限の実行可能なコンセプトを早い段階で、そして頻繁にテストするというLean UXの考え方の人気を裏付けています。

サンプルの特徴に関する注釈:2014年には回答者の43%が、ビジュアルデザイナーまたはインタラクションデザイナーのいずれかであると報告しましたが、2016年は37%でした。ビジュアルデザイナーやインタラクションデザイナーの減少が、メソッド間における使用率の低下と関係しているかもしれません。 すべてのサンプル特性の詳細は、フルレポートに記載されています。

アクセシビリティ

アクセシビリティは、この回答者グループにおいてさらにニッチな活動です。しかし、2011年以降アクセシビリティの評価が着実に高まっているようです。

戦略、トレーニングそしてデザイン思考

UXでの戦略、プロジェクト管理、そしてトレーニングは、つねに共通の活動です。 今回の調査では、新たにデザイン思考とサービスデザインという、2つのトレンディなトピックが追加されました。 それぞれ、回答者の65%と23%が選択していました。しかし私は、デザイン思考やサービスデザインは、ユーザビリティテストのような戦術的方法論というよりも、思考論だとみなしています。今後の調査で、どのように普及しているかを見ることは、きっと面白いでしょう。

まとめ

UX専門家が利用できるメソッドは数多くあります。 2016年のUXPA給与調査の結果では、ユーザビリティテスト、エキスパートレビュー、ペルソナやプロトタイプなどを含む主要なメソッドが、時間がたったにも関わらず依然として人気があることを示しています。近年では、デザイン思考を含むいくつかの新しいメソッドが人気です。また、アイトラッキング、アクセシビリティレビューやコンテキストインタビューなどのほかのメソッドの使用頻度は、2011年以降比較的安定しています。


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