「UXリサーチ気取り」にならないためのマインドセット

Craig Tomlin

Craigは認定されたユーザビリティアナリストであり、数々の受賞歴のあるマーケター。1996年以来、ベンチャー企業、中小企業、フォーチュン500の企業のオンラインマーケティング、ユーザビリティやコンバージョン最適化で収益を向上させてきました。

この記事はUseful Usabilityからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Dont Be A UX Research Snob (2017-02-16)

私たちは「UXリサーチ気取り」にならないようにしなければなりません。UXリサーチ気取りとは、UXリサーチには正しい調査方法が1つしかないと考えている人のことです。

この5分間の動画(Don’t Be a UX Research Snob)を見て、どうすればUXリサーチ気取りにならないかを学んでください。

UXリサーチ気取り

残念なことに、私は今まで、何人かのUXリサーチ気取りに遭遇しました。そこでこの記事では、なぜこの考え方が深刻な間違いなのかを説明します。また、間違ってUXリサーチ気取りになってしまわないようにするための知見もいくつか提供していきます。この5分間の短い動画からは、UXリサーチ気取りとはどんな人かを学び、その1人にならないようにするためのすべてがわかります。

世の中には多くのUXリサーチのツールがあります。それらの機能を知っていて、問題を解消するためにいつ使用すべきなのかがわかっていれば、UXリサーチ気取りになることはないでしょう。

私が出会ったUXリサーチ気取りの考え方をいくつか紹介しましょう。

「調査は研究室で直接行うものである」

UXリサーチやユーザビリティテストを実践する唯一の正しい方法は、研究室(またはなんらかのリサーチ専用の施設)で行うことだと思っているUXリサーチャーに、私は何人か出会ったことがあります。彼らは、研究室を使わ​​なければならない理由は、研究結果から可能な限りバイアスをなくすためだと主張しています。

この点に疑問があります。はたして、研究室でのユーザーリサーチは、人々が実際に使用しているデバイスを使って、普段通りの環境でWebサイトやアプリを操作することと一緒でしょうか。

現実的に考えてみましょう。研究室で調査するためには、人を募集しなければなりません。彼らは、自分がやっていたことを中断して、研究室に行き、慣れない環境で座って、自分たちが見られていると知っている中、使い慣れていない可能性があるデバイスを使って、Webサイトやアプリを操作しなければなりません。そして、彼らはその時間に対し報酬をもらいます。お金などのインセンティブの提供がなかったとしても、彼らは参加するのかはわかりませんが。

さて、このどこがバイアスのない調査なのでしょうか。

もちろん、研究室でUXリサーチを行うことが理にかなっているときもあるでしょう。しかし、現実世界に出て、ペルソナに該当する人を見つけて、Webサイトやアプリを、彼らの環境で彼らのデバイスを使って操作している様子を観察するほうが良いときもあるのです。些細なお礼に、AmazonやStarbucksのギフトカードを渡すだけで喜んで調査に応じてくれるでしょう。

このような理想的な参加者を見つけたければ、地元の本屋、スターバックスやその他のお洒落なカフェなどに出向いてみてください。

研究室で調査を行っているUXリサーチ気取りの方は、研究室から出て、現場に行ってUXリサーチをしましょう。そうすれば、研究室の不自然な環境で調査する際のあらゆるバイアスを取り除くことができます。

「遠隔のオンラインツールは使ってはいけない」

悲しいことに、UserTestingやTryMyUIなどの、オンラインのユーザビリティテストサービスを、どんな代償を払っても使用してはいけないと主張するUXリサーチャーに出会ったことがあります。彼らの言い分は、これらのサービスでは「プロの」試験者しかいないため、結果が偏っているというものです。

このようなUXリサーチ気取りは「適切なUX研究を行う唯一の方法は、自身でリモートテストまたは対面テストを行うことであり、遠隔のオンラインツールは決して使用しない」と主張しています。

私に言わせれば、ふざけた冗談でしかありません。

この点に疑問があります。

対面調査を実施するには、次のことをやることになります。

  • 参加者を集める
  • スケジュールを設定する
  • 参加者と連絡を取りテストを実施する
  • テストを行い、通常はセッションを記録する
  • 参加者に対し報酬を与える

一方で、遠隔のオンラインサービスがやるのは、次の作業です。

  • 参加者を集める
  • スケジュール設定する
  • 参加者と連絡を取りテストを実施する
  • テストを行い、通常はセッションを記録する
  • 参加者に対し報酬を与える

お分かりかもしれませんが、やることは全く同じなのです。唯一の違いは、対面調査は、テストを実施しているときに確かめたりフォローアップしたりできるということだけです。

しかし、優れたオンラインプロトコルでも、タスクベースのシナリオを達成し、最後にフォローアップの質問をすることで、多くの知見を得ることができます。加えて、ほとんどのサービスでは、テスト参加者に直接アクセスし、具体的なフォローアップの質問をすることができます。

また、UXリサーチ気取りが考慮しない、オンラインサービスの重要な側面のもう1つは、これらのサービスが提供してくれる充実したカスタマーサービスです。もしペルソナに適合していない参加者や、あまり関与せずにタスクをこなしている参加者がいる場合は、その結果を受け取る必要はありません。

このようなことは稀に起こりますが、私の経験では、カスタマーサービスに連絡したすべての場合において、追加料金なしでテストを新しいものに交換してくれました。

個人的な意見としては、問題なのはこれらのサービスの使い方を知らないリサーチャーであり、サービス自体ではありません。

たしかに、自身で制御する遠隔のテストや対面テストを利用するべきであるとは言われてきました。しかし、はるかに早く低コストで、はるかに大規模に実施できる遠隔のオンラインテストのサービスもまた、利用するべきであると、同じくらいたくさん言われてきたのです。

オンラインテストを嫌うUXリサーチ気取りの方は理解できましたか?

また別の種類のUXリサーチ気取りにも遭遇したことがありますが、この記事では留めておきましょう。

UXリサーチ気取りにならないために

UXリサーチ気取りにならないでください。代わりに、具体的な問題を解決し、有意義なデータを手に入れるのに役立つ、さまざまなUXリサーチのツールが用意されていることを忘れないでください。

私がSXSW 2017で話題にしたようなGuerrilla UXテストのような新しいリサーチテスト方法にも積極的に挑戦してみてください。最初に試すときには、少し奇妙に感じるかもしれませんが、恐れることはありません。経験と練習を積むことで、その感情はすぐに無くなります。

実際、UXリサーチは、重要なデータを収集するのに役立つ多くのツールがある流動的な環境です。その事実に対して心を閉ざしていることが、もっとも危険な考え方なのです。

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10月1日に開催されるUX戦略フォーラム2017にて、本記事の著者であるCraig Tomlin氏が来日されます。詳細は以下をご覧ください。

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