子どもにUXリサーチを行うとき配慮しなければいけないこと

Interaction Design Foundation

Interaction Design Foundationはグローバルにデザインレベルの向上を目指す、デンマーク発の非営利団体です。

この記事はInteraction Design Foundationからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Ideas for Conducting UX Research with Children

ユーザーリサーチを実行するのがもっとも難しい領域の1つに、子どもを対象としたリサーチがあります。言うまでもなく、子どもを相手に仕事する際には、複雑な法律や、倫理的な決まりごとを守らなければなりません。

しかし、難しい理由は、倫理的な側面だけではありません。子どもは大人のミニチュアではないのです。必要な情報が得られるかどうか、または「子どもはやっぱり子ども」で、製品よりも公園で遊びたがるかどうかは、リサーチの構築やデザインの方法次第です。

この記事では、子どもを対象に実施するUXリサーチから、チームにとってより良い結果を獲得するためのアイデアをいくつか紹介します。

成功へのプラン

計画が綿密であればあるほど、良い結果を得られる可能性は高くなります。子どもに合わせたUXリサーチの方法の優れた1つとして、リサーチの主導権を子どもに与えるものがあります。子どもは好奇心と想像力の塊なので、できるだけバラエティに富んだ内容にすることが重要です。そのため、これらを引き出すようなデバイスを利用してください。

また、リサーチの際に、観察者の数を増やすことを考慮する必要もあるかもしれません。子どもがしゃべるのを止めるのは、大人がしゃべるのを止めるより困難です。そのため、子どもたちの発言の中から重要なインサイトが出てくるのを見逃さないようにしましょう。

バランスを考慮して被験者を集める

子どもを募集するときは、管理可能な人数にするよう心掛けましょう。1回のセッションで12人が限度であり、それより少ないのが理想的です。

さらに重要なのは、さまざまな性格の子どもを同席させて、子どもたちにアイデアを組み合わさせることです。両親(または保護者)に、子どもがどんな性格なのかを聞いてみましょう。普段からおしゃべり好きなのでしょうか、それとも、ほかの子の話を聞くほうが好きなのでしょうか? また、ほかの子どものグループとすぐに仲良くなれるのでしょうか、それとも時間がかかるのでしょうか?

これらを聞くことは、セッションに来る子どものグループに、これから作るテストの最終的なデザインを知らせるのにも役立ちます。

コミュニケーションに気を付ける

製品をどう思っているのか伝えるのは、年長の子どものほうが簡単にできます。その一方で、幼い子どもほど手助けが必要になるでしょう。5歳児のグループに対して、感じていることをはっきりと言葉にできないからとイライラしても仕方がありません。

代わりに子どもが彼らの感情をロールプレイしたり、フリップチャート用紙などの紙に思っていることを描いてもらったりするような作業を取り入れましょう。これらは年齢に合った作業にすることも重要です。

ゲーミフィケーションでモチベーションを保つ

子どものほとんどは集中力が短く、長時間のリサーチは実行できないことを忘れてはいけません。そこで、ゲーミフィケーションを活用して、子どもの注意を戻してあげることを試してみましょう。作業に参加してくれた子どもに、星やお菓子を手渡せるように、用意しておいてください。

笑顔マークや泣き顔マークがついた札を用意して、子どもが自分のアイデアを伝えやすくすることも考慮しましょう。

常に物事が変化するようにするとともに、子どもが集中を維持したりコミュニケーションしたりする方法をできるだけ提供するように努めてください。また、リサーチが予想通りに進んでいないなら、その場の判断で対処することを恐れてはいけません。予想外のできごとは必ず起こるものです。

辛抱強く、俯瞰的に観察する

子どもを対象としたリサーチには、大人よりも長い時間がかかるでしょう。彼らはそれぞれ自分のやりたいように動きます。全員が集中し続けられるようにすることが望ましい一方で、子どもたちに自分自身のやり方で調査してもらうことにも、とても価値があります。

より多くの時間をとって、辛抱強く実施しましょう。ときには手順通りにやらせるよりも、子どもたち全員に自分のやりたいようにさせるほうが良いこともあるでしょう。本来の意図からあまりに外れたら、計画通りのやり方に戻るように優しく声をかけて誘導してください。不愛想な態度をとってはいけません。

「テストA」のようなリサーチにしない

確かに製品のテストではあるのですが、子どもたちがテストされていると思わないようにすることが大切です。彼らは学校で途方もない量の試験を受けさせられており、数多くの場面でたくさんのプレッシャーにさらされています。そのため、さらなるプレッシャーを与えないようにしなくてはなりません。

加えて、意識的にテストの印象を与えないようにしているのだと、子どもに気づかせないことも重要です。大人と子どもの間には、常に多少の権力差が生じています。そして子どもは、テストされているから差が生じているのだと解釈するかもしれません。そのため、子どもを主導するのではなく、子どもに主導権を持たせるように冷静でいることを心掛けてください。欲しい意見は、大人を喜ばせるための意見ではないのですから。

多くの事例では、リサーチャーが子どもとの作業に集中している間に、2人目の観察者がその様子を記述、記録する方法をとることで、これらのことが簡単に実行できています。

親しみやすく安全な環境でリサーチする

子どもが親しみやすい環境でリサーチをすることが重要です。子どもに馴染みのあるポスターをいくつか貼ったり、子どもに適したサイズの机と椅子を用意したり、子ども用のコップを使ったりするなどの工夫を徹底してください。「教室」の雰囲気がある環境が理想的です。それによって、参加者が適切な振舞いをしやすい場所を作ることができます。

子どもの興味を作業に向かせる

イントロダクションとして、常に楽しい作業から始めるようにしてください。たとえば、彼らが好きなテレビ番組を挙げたり、描いてもらったりしましょう。作業を始める前から、使おうとしている手段に子どもたちが親しみがあるかどうか確かめてください。

セッションは常に1時間以内にするようにします。おやつや飲みものを用意して、1回か2回休憩を挟むようにしましょう。また気をそらすような見た目のものは極力取り除きましょう。そうでないと、集中力がすぐに失われるかもしれません。

両親からのサポートを仰ぐ

子どもが正しいやり方で参加しないときに備えて、彼らの親が近くにいることが重要です。どんなに些細なことであっても、恐れずに親にサポートを頼むようにしましょう。親にサポートしてもらうことで、子どもたちに物事を教えるのがより簡単になることがあります。

まとめ

子どもを使ったUXリサーチは大変な一方で、収穫も大きいです。ここまでで紹介したヒントを使えば、より効率良く作業を進められるでしょう。もちろん上手くヒントを使いこなすには、多少の練習が必要です。


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