高齢者ユーザーのためのUXデザイン

Emily Grace Adiseshiah

Emily Grace Adiseshiahは、コードを一行も書く前にソフトウェアソリューションを視覚化してテストすることができウェブアプリやモバイルアプリのプロトタイプ作成を可能にするプロトタイプ作成ツールJustinmindのマーケティングコンテンツエディタです。

この記事はUsabilityGeekからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

UX Design Thinking From A Senior Citizen’s Perspective (2017-06-26)

高齢者をユーザー層の一部として引き込むことは、かつてはインターネットにおける最後の砦だと思われていました。しかし、頻繁にログインや、登録、購読をする高齢者ユーザーの数は常に増加しています。高齢者をユーザー層に加えるというシナリオが現実になってきているのです。Statistaによると、米国だけでも2016年には65歳以上の高齢者の内64%がインターネットを使っています。これは、2013年と比較すると4%程度高い数値です。

しかし、高齢者ユーザーが増加しているにも関わらず、未だに多くのユーザー体験の設計において、高齢者への対応はないがしろにされています。 UXデザイナーが高齢者ユーザーを考慮しないと、高齢者ユーザー全体をサービスから遠ざけて、高齢者をオンライン体験から突き放していることになります。これは、何の得にもならない状況です。

高齢者に特化したWebデザインは、より大きなUIデザイン要素を使った設計、重要なコンテンツを強調する色の使用、適切なユーザーテストの実施などのベストプラクティスに従うことで実現できます。

UIを読みやすくする

フォントは大きければ大きいほど良い

まず、フォントと画面自体のサイズを考慮して、ユーザーインターフェイスを解読可能にします。 UXデザイナーとは異なり、すべてのユーザーが目に優しい高品質のモニターを持っているわけではありません。また60歳以上のユーザーにとって、小さな文字は本当に厄介なものです。高齢者ユーザーをターゲットにする場合は、UIの本文に12ポイント以下のフォントを使用しないようにしましょう。

場合によっては、Webブラウザでフォントサイズを調整するという選択肢があります。しかし、たいていの場合ページを拡大するにすぎないため、機能や表示に問題が生じる可能性があります。ユーザー側に解決を任せるのは避けましょう。

さらに、情報を短いセクションに分割し、ホワイトスペースを使用しましょう。そうすると、小さなスペースに大量の文字を詰めこんで、ユーザーを圧倒するようなことはありません。

最適な視認性のための色とコントラスト

デザイナーがカラーガイドラインを無視すると、ユーザー体験が低下する可能性があります。 UIの色とコントラストは、どのUI要素を使ってどのタスクを実行するか、Webサイト内のどこを見てきたのか、どの単語が別のページにリンクしているかを判断するのに役立ちます。たとえば、リンクを持たないインタフェース要素に、青色を使わないようにする必要があります。濃い青はWebリンクの標準規格です。

さらに、ユーザーが訪問したリンクとまだ訪問していないリンクとの間に色の区別がないと、どこまで進んだのかわからなくなってしまう可能性があります。これは高齢者だけでなく、どのユーザーにも起こる可能性があるでしょう。しかし、高齢者のユーザーは、訪問したWebサイトのどの部分まで閲覧したかを覚えるのが難しいです。そのため、行動を繰り返したり、同じ場所へ戻ったりして時間を無駄にしている可能性があります。

あなたのユーザーに響く言葉

Nielsen Norman GroupのJakob Nielsen氏は、すべてのデザイナーが自分の設計したページの情報を読んでいるわけではないため、デザインにぴったり当てはまるように努力することについては考慮すべきでないと指摘しています。

高齢者、難聴(HoH)、または視覚障害のあるユーザー向けにWebサイトを作成するときは情報を提示する方法を検討しましょう。 WCAGでは、特定の障害を持つ人たちも情報を引き続き体験できるように、知覚可能なコンテンツのためのガイドラインを策定しています。ビデオやオーディオなどのコンテンツに字幕を表示するのは、難聴の人たちに対するユーザー体験の基礎です。またテキストの読み上げが必要な人には、音声機能を提供することが不可欠です。Ivona(編注:2017年6月30日にAmazon Pollyとしてリニューアル)のような、Text to Speech(TTS)ソフトウェアプログラムを試すこともできます。

さらに、特定言語の音声体系、スラングやしゃれが特定の年齢層の課題となっていることを認識しましょう。スラングはあなたが作り出そうとしている経験を台無しにする可能性があるので、あなたのコピーがあなたの聴衆にとって魅力的な文脈になるようにしましょう。ユーザーを混乱させるような専門用語は避けて、意図された意味が伝えられるような言葉に焦点を当てましょう。共感マッピングは、特定のターゲットユーザーグループに適したコンテンツを作成するのに役立ちます。

クリックしやすくする

55歳から65歳の間に、手と目の協調性と運動能力が低下する傾向にあるため、UIを操作するのが難しくなります。マウスは、インターフェイスのターゲットをクリックしたり、UI要素間を移動したり、画面上のターゲットに対応しづらい可能性があるため、運動能力が低下しているユーザーにとって特に問題になります。

この障害に取り組むためには、クリック可能なUI要素が十分に大きく(少なくとも対角線上で11mm)、十分に離れている(少なくとも2mm)ことを確認する必要があると、Smashing MagazineのOllie Campbellで報告されています。また、マウスのクリック回数を最小限に抑え、必要に応じてマウスのクリックを1回のみにするようにしましょう。

また、スクロールバーは、運動能力の障害を持つユーザーにアクセシビリティ上の問題を引き起こします。小さなスクロールアイテムを保持したり、スクロールアクションを実行するのが、彼らにとって難しい可能性があるからです。さらに、文字を読むことに問題があるユーザーにとって、スクロールは移動後にテキスト内の位置を常に再取得しなければならないため、体験に影響が出る可能性があります。

スクロールバーは、見た目、操作共にシンプルさを保ちましょう。そうすることで、スクロールバーの矢印をクリックする、ページ自体のドラッグ可能な部分をクリックする、スライダをドラッグする、マウスのスクロールホイールを使う、あるいはキーボードの矢印を使うなど、ユーザーに多くのオプションを与えます。しかし、まずはできる限りスクロールを使用しないでください。

幸いなことに、コンピューターのキーボードとモバイルデバイスのタッチスクリーンは、高齢者がデジタルの世界に居続けるのに役立っています。指のタッピングはほかの運動能力より衰えるのが遅いため、多くの高齢者ユーザーは、PCのキーボードやタッチスクリーンのほうがうまく使えます。

認知しやすくするためにUIパターンを覚えやすいものにする

ユーザーがUI内でタスクを完了するためには、できるだけ早く、かつ簡単にポイントA(開始点)からポイントB(タスクを完了する場所)に到達できるようにする必要があります。このため、わかりやすいUI操作が非常に重要です。

しかし、高齢者の場合はユーザージャーニーを楽にするために、UIの操作システムをさらに簡単にする必要があります。なぜなら年を取るにつれて、長期的な手順の記憶(物事の仕方を覚えていること)はほとんど変わりませんが、注意力は短くなる傾向があります。さらに、短期的なエピソードの記憶が難しくなる傾向もあります。これは、成熟した世代にとって、新しいインターフェースの操作のような、新しい概念を学ぶ能力に限界があることを意味します。

一度にすべてのオプションを見ることができる上部の水平バーや、数回のクリックでユーザーを特定の場所に誘導するパンくずナビゲーションなどの標準的なアイコンと操作パターンを使用してください。これは、なにがどこにあるのか、どうやればWebサイト内でそれを検索できるのか慣れやすくします。

重要な情報を隠さないようにしましょう。パンくずを残して、ユーザーをWebサイトの関連セクションに誘導しましょう。

さらに、100%必要ではないリンクは避けましょう。これは、ユーザーの信頼を得るのに役立ち、サイトやアプリ内の重要なリンクをユーザーにクリックさせるよう促します。

ユーザー層を知る

あなたの聴衆にもっと楽しい経験をさせるためには、ターゲットユーザーのニーズをつかめるような現場で作業することを目指すべきです。しかし、異なる技術の時代で育ってきたユーザーのために、デザイナーはさまざまな年齢層のユーザーを楽しませるような体験を提供する必要があります。

その解決策が、ユーザテストです。

デザイナーが高齢者向けのガイドラインに従っている場合でも、誰かがサイトを操作する方法を知る唯一の方法は、サイトを操作しているユーザーとテストすることです。高齢者ユーザーの場合は、定性的なユーザーテストの思考法を検討しましょう。テスト中に参加者の画面上で起こるすべてのことを観察します。これにより、ユーザーの認知プロセスと物理的な限界を把握し、UIシステムのどの部分が再検討を必要としているかを判断するのに役立ちます。

高齢者にとって、最大の弱点の1つは、画面上のものを見たり読んだりするのができないことです。視力や聴力に関して問題や低下があるということは、高齢者ユーザーの中には、Webサイトやモバイル端末を操作する際、コンテンツを理解するのが難しい可能性があるということです。実問題を抱える実際のユーザーにユーザーインターフェイス設計をテストすることで、解決策の有効性をより正確に把握できます。

Justinmindなどのプロトタイプ作成ツールでユーザーテストを実行して、デザインをリアルタイムで表示できるようにすることを検討してみましょう。これにより、設計上の問題を修正する理由や方法、つまり定性的なユーザーテストの裏にある原則に関して、より素早いフィードバックが得られます。

さらに、もう一歩踏み込んでみましょう。高齢のUX実践者を設計プロセスに加え、高齢者ユーザーにオンラインで彼らの体験をコントロールさせましょう。

まとめ

高齢者ユーザーが今後増加する可能性は非常に大きいです。しかし、ほかのユーザーグループと同様、高齢者Webユーザーには、彼らのニーズを反映した体験を設計する必要があります。年を取ったことで生じる制限は、従来のデジタル技術のいくつかは高齢者Webユーザーに適応できないということを意味しています。

高齢者ユーザーにとって良くないユーザー体験のきっかけを見つけ出すことは、デザイナーがデザインにそのようなきっかけを含めないようにするのに役立つでしょう。ユーザーテストは、視聴者のほしいものや必要なものを確かにするための、偽りない方法です。高齢者ユーザーをデザインプロセスに組み込んで、UIデザインとユーザー体験が損なわれないようにしましょう。


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2017/12/05(火)
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