なぜUIをデザインする前にUXを考えるべきなのか

Alan Smith

Alan Smithは、ITの領域において幅広い経験をもつ、テクノロジーに関する熱心なブロガーです。彼は現在、ロサンゼルスに拠点を置くSPINX Digital Agencyと連携して仕事をしています。

この記事はUsabilityGeekからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

How to Have Better UX Before UI Begins (2017-09-27)

「ユーザー体験(UX)」と聞くと、すぐにWebサイトのデザインを思い浮かべるかもしれません。2つの概念が関連していること自体は間違いではないのですが、一方で一部のWebデザイナーがおかしている重大なミスの原因でもあります。それはUXとUI(ユーザーインターフェイス)を混同することです

UXとは、サイトでのユーザー体験だけを表すものでなく、顧客体験全体を包括する言葉です。ブランドを耳にした時点から最初に購入するときまで、そして運が良ければその後の長い期間も、すべてを含みます。ユーザーがブランドにワクワクするよう、Webサイトの外側のことまで考慮しなければなりません。

最初にUXに注目することの重要性

優れたUXの目標は、人間とコンピュータとの効果的で価値のあるインタラクションを提供し、その結果ポジティブな体験(理想的には売上)をもたらすことです。

UXでは、顧客の感情を深く掘り下げます。異なるユーザーはWebサイトの異なるデザイン要素を好むでしょうから、UXとはある程度主観的なものです。しかしWebサイトのデザインには、大多数の顧客を満足させるような普遍的なベストプラクティスが存在します。この段階から、効果的なデザイン戦略を通して印象的なUXを作成するために、UIのことを考え始めます。

デザイナーは新しいWebサイトを構築することが好きです。詳細部分まですべて作り込み、あらゆる可能性を検証します。ただ、そのようにWebサイトのデザインを作り替えていく中で、UXの真意が失われてしまうことがあります。ユーザーを獲得するというUXの側面が忘れられてしまうのです。Webサイトの作成に着手するずっと前の段階にも、決定的に重要なUXの側面があります。これらの側面に着手することができれば、ユーザー体験をマスターできるでしょう。すべては顧客の注意をつかむことから始まります。

最初がUXで、次にUI。これが順番です。

UXとUIの関係を理解するわかりやすい考え方があります。それは、UIには形があり、UXは形がないというものです。UXとはプロセスであり、完成品の裏にあるブレインストーミングです。一方で、UIはアイデアを実際に形にしたものを指します。

UXとは戦略のすべてを意味します。UXはデータや分析、リサーチ、ビジュアルデザイン、情報アーキテクチャを扱うものです。実際に完成品を作り出すまで、UIの作業には取り掛からないでしょう。起こり得るひどいケースの1つに、UXとUIを同時に処理することがあります。さらに悪い場合、UXの作業を完全にスキップしてしまうかもしれません。

リサーチからUXデザインを始める

UXを担当するチームは、たくさんのリサーチやアンケート、観察調査を実施しなければなりません。それによって、UIデザインを始める前に、ターゲットを特定してサイトの目標を立てることが必要です。UXリサーチにユーザーがどう回答するのかによって、残りのWebサイトのデザインプロセスが左右されます。テストの間、チームは「オンラインでどのようなものを購入しますか?」や「支払いプロセスでは、最低限何が必要ですか?」というようにユーザーに尋ねる必要があります。

UXデザインで行われるリサーチによって、UIにおいてターゲット顧客の関心を集めるのに必要なデータが入手できるでしょう。たとえばアンケートを通じて、ターゲット顧客のほとんどがポップアップウィンドウを嫌うことがわかるかもしれません。この情報を使って、望ましい訪問者の興味を引けるスタイルのUIを構築しましょう。結果として、より良いユーザー体験を作成できます。

サイト訪問の前からユーザーの興味を引く

サイトを訪問する前の顧客体験を過小評価してはいけません。UXにとって重要な要素のいくつかは、Webサイトという入れ物の外側に存在します。デザイナーとしての仕事は、この入れ物の中で完結すると感じているかもしれません。しかし、それは間違いです。サイトやアプリ、製品の優れたUXは、ユーザーの体験すべてによって生まれます。Webサイトはこの体験における1つの要素にすぎません。

マーケティングはUXを計画し始める場所として適しています。マーケターは顧客が新しいWebサイトや機能をどのように知るのか議論する必要があります。マーケティングはUXの一部分であり、顧客が初めてブランドについて耳にしたりインタラクションしたりする段階かもしれません。マーケティングは、良い第一印象を作る機会と言えます。UIやその他のブランディングを補完するマーケティングをデザインしましょう。マーケティングは、人々がブランドについて考えたり話したりする方法を形成します。ユーザー体験全体に与える影響力を過小評価してはいけません。

ほかにも、顧客にWebサイトを見る前からブランドに対して興味を持たせるものとして、競合から自分のブランドへ乗り換えたいと思う顧客の心理的障壁を取り除くことが挙げられます。競合の顧客が自分のサイトでは買い物をしないのには、どんな理由があるのか考えましょう。とてもシンプルな要因、たとえばアプリのデータ移行ができないことかもしれません。この問題を解決する要素を構築することで、競合の顧客を自社に引き入れることができるでしょう。

プッシュ通知を活用する

プッシュ通知はUX要素の中でUIとほとんど関係ないものの一例です。プッシュ通知は、乱用しない限り、ユーザー体験のクオリティを保つための素晴らしい機会を提供します。顧客に通知を送信することは、ユーザーフレンドリーで便利なリマインダーとしても、イライラさせる障害としても作用します。どちらになるかはあなた次第です。プッシュ通知には、完璧なバランスを維持するための戦略が必要です。このUX戦略を実装したい人のために、以下にいくつかのベストプラクティスを紹介します。

  • 通知の量は抑えましょう。重要なニュースだけを通知しましょう。企業が行う些細なことまで通知を送ると、顧客はすぐにイライラしてしまいます。そのため、顧客が便利だと思うような情報以外では、通知を利用しないでください。たとえばUnited Airlinesでは、搭乗口に変更があったときに乗客にプッシュ通知を送っています。これは忙しい旅行者が待ち望んでいる情報でしょう。
  • メッセージをあつらえましょう。顧客データを活用して、それぞれのユーザーに関連する通知を送りましょう。Netflixはこの戦略を実践している素晴らしい事例です。一般的な情報を全員に送信する代わりに、それぞれのユーザーの閲覧履歴に基づいて、彼らが見ている番組の通知を送信しています。また、ユーザーにとって都合の良いタイミングで通知をするようにしましょう。
  • 通知内容を説明しましょう。プッシュ通知をオンにしたら何が提供されるかをユーザーに知らせましょう。むやみに更新が行われると思うと、ユーザーの多くは通知をオンにすることをためらいます。そのツールを何に使用するのかを簡単に説明することで、通知が無駄なものではなく有益なものだと顧客に実感させてください。

プッシュ通知はクリエイティブに活用しましょう。そうすることで、顧客がサイトにアクセスしていないときでも、印象的なユーザー体験を提供することができます。プッシュ通知は、顧客と関連のある、魅力的な方法で、ブランドが人々とインタラクションする方法です。また、餌を仕掛けて顧客がサイトに来るのを待たずとも、いつ顧客がブランドを目にするのかデザイナーが決めることができます。

UIを始める前にUXのあらゆる項目を考慮する

UIに取りかかる前から顧客に印象的な体験を提供するには、数えきれないほど方法があります。UXとUIには多くの繋がりがあるとはいえ、事業のオーナーは2つを混同してはいけません。UIがUXよりも楽しい作業だからといって、UXを脇に置くのは、ビジネスが長続きしない要因になります。UXは、単なるWebサイトやアプリだけではなく、顧客へのリサーチからマーケティング戦略までを意味するものです。

満足度の高いユーザー体験を達成するために、インターフェイスを構築するはるかに前の段階から作業を開始しなければなりません。Webサイトやアプリケーションがどのように機能するか、顧客がどのように使用するか、またブランドの宣伝文句をどのように作るのかを、開発初日から考えましょう。UXのプロセスをスキップすると、優秀な性能をもつ完成品のためのリソースが無駄になります。そのような製品はターゲットユーザーから共感を得られません。

UXは企業にとっての基礎であり、あらゆるWebサイトや製品、機能、アプリにとって収益の基盤となるものです。これまで見てきたように、UIは要素ですが、UXはオペレーションの裏にある頭脳なのです。UXによって、サイトのユーザーをより深いレベルで理解し、その情報に従ってデザイン技術を駆使することができるでしょう。ブランドによってユーザーを心からワクワクさせられるように、UIの開発作業のはるかに前からUX要素を考慮しなければなりません。


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