UIにとどまらない、UXの取り組み事例7選

Paul Boag

PaulはUXデザイナーであり、デジタルトランスフォーメーションの専門家です。非営利団体や企業のWeb、ソーシャルメディア、モバイルを使ったユーザーとの結びつきを支援しています。

この記事はboagworldからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

User experience design is not what you think (2015-03-31)

Webデザイナーの仕事は、洗練されたインターフェイスを構築することです。インターフェイスはユーザー体験における重要な構成要素です。インターフェイスによってユーザーの問いに対する答えを導いたり、重要なタスクを達成させたりします。私たちの仕事は、ユーザーが目的を達成する手助けをすることです。

しかし、こうしたインタラクションがユーザー体験のすべてだと誤解してはいけません。優れたユーザー体験は画面の外側やギャップで起こります。そのギャップとは、チャネルやデバイス、縦割り組織の間に存在します。優れたユーザー体験は、企業が顧客とのインタラクションにおける微妙なニュアンスに気を配るときに生まれます。

なぜなら、UXデザインは説明しづらい多くの領域と関係するからです。そのため、代わりにより良いユーザー体験を生み出す上で役立つ実際の事例を紹介します。

電話サポートでの手間を省く

Barclaysのモバイルアプリは、優れたUXデザインの良い例です。このアプリのUIは非常に素晴らしいです。しかし、その素晴らしさはユーザー体験だけに留まりません。

Barclaysには素晴らしいモバイルアプリがあります。しかし、その本当の魅力はBarclaysに電話したときに発揮されます。

Barclaysに電話をかける必要があるとき、アプリを経由して電話をかけることができます。アプリのログイン時に認証しているため、電話での認証作業の必要がありません。

これは大変優れたUXデザインの良い例です。電話システムとモバイルアプリの情報を連携させることは簡単ではなかったでしょう。しかし、これによりユーザーの日々の膨大な手間を省いたことは間違いありません。

返品を簡単にする

今までにオンラインで購入した商品を返品する機会があったなら、それが必ずしも簡単でないことはご存知でしょう。返送用ラベルを印刷して郵便局へ行き、口座にお金が振り込まれるのを数日間待たなければなりません。それに加えて、返金されないかもしれないという不安が絶えず付きまといます。

その一方で、最近私は返品を行う際に今までとは違う体験をしました。商品を返品したい旨を企業に知らせると、すぐに口座への払い戻しを行うと言われました。企業が返品する商品を受け取り、確認するのを待つ必要はありませんでした。

商品を返品する際、返金されない不安が常に存在します。そこにユーザー体験を改善するチャンスがあります。

次にその企業は、荷物をいつ回収してほしいか私に尋ねました。梱包してラベルを貼ったり、郵便局に持っていく必要がなかったのです。担当者が準備した箱とともに私の家に現れ、その箱に商品を入れて回収してくれました。

これは非常に素晴らしいユーザー体験です。

顧客を安心させる

以前、高齢者に冷凍食品を売るクライアントと仕事をしたことがあります。高齢者はオンラインで買い物をする勇気がありません。さらに、見知らぬ人が家に訪問する方法も好みません。

この問題に対処するために、顧客が注文をする際に、どのような人が配送に来るかをわかるようにしています。この方法により、顧客は家に訪れた人を見分けることができます。

良いユーザー体験には、売上増加と競合との差別化という潜在力があります。

しかし、この企業の取り組みはそれだけに留まりません。すべての運転手の警察証明を入手しているので、顧客は安全であると確信することができます。

これにはかなりの労力と費用がかかりますが、結果として売上は大幅に増加しました。また、これはTescosなどの競合他社が行っていない取り組みでした。

ユーザーの時間を節約する

配達といえば、今までにDPDという配送会社から荷物を配達されたことがありますか?

私は配達の受け取りが好きではありません。荷物がいつ届くのかまったくわからなかったり、わかったとしても午前か午後のどちらかわからないということが頻繁に起こります。

それはつまり、予定を空けて配達業者を待っていなければならないということです。タイミング悪く庭に出ていたために、玄関マットの上に不在票を見つけることほど迷惑なことはありません。

DPDでは荷物が届くタイミングを正確に把握することができます。

DPDはこの問題に対処しています。配達日に、メールで荷物が届く時間枠を1時間単位で知らせます。そしてもっと素晴らしいのは、配達をリアルタイムで追跡できることです。運転手の現在地がわかり、10分ほどの買い物に出かけていいか判断することができます。

このユーザー体験のおかげで、私はDPDで荷物が届くとわかったとき嬉しくなります。

プライバシーの安全を保証する

前に仕事をした別のクライントで、LoveHoneyというアダルトグッズを扱うイギリスの大規模小売業者がいました。私のクライアントは驚くほど多岐に渡ります。

顧客はLoveHoneyから商品を購入することに神経質になっています。LoveHoneyで購入したことを他人に知られたくありません。LoveHoneyがすべてのパッケージに内容物の表記をしていない理由はそこにあります。商品のクレジットカード明細にも、購入先に注意が向けられないようにしています。

ユーザーの気持ちに対するこうした配慮は、優れたユーザー体験を生み出します。

インスピレーションを与える

最後に、Etsyについてお話しします。Etsyは、ソーシャルメディアにはマーケティングチャネル以上の価値があると気づきました。

多くの顧客が贈り物を探していますが、何を買えば良いのかわからないでいます。EtsyがユーザーのFacebookアカウントと連携するアプリを作ったのはそのためです。

Etsyは、ユーザーに贈り物のサジェストを提示することで、Facebookでの体験とEtsy のWebサイトを繋げています。

ユーザーの友達が興味のあるものを分析することで、購入すべきもののサジェストを作成します。Etsyはデジタルを利用して購買体験の苦労をなくしています。

カスタマーサービス

こうした取り組みは、UXデザインというより、カスタマーサービスデザインのように聞こえるかもしれません。おそらくその通りです。

ユーザー体験は1つのチャネル、デバイスやビジネスの一部分だけに限定されません。

本当のところ、私たちは、頻繁に重複する職務記述書を区切っているようなものなのです。UXデザインはさまざまな分野の交差点に位置していると思います。それらの分野には、UIデザインとカスタマーサービスの両方が含まれます。

それを何と呼ぼうと、学ぶべき重要な教訓が存在します。ユーザー体験は1つのチャネル、デバイスやビジネスの一部分に限定されないということです。


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