UX競合分析を行うメリットと実施方法

Steven Douglas

スティーブンはプロトタイプ作成ツールJustinmindのマーケティングコンテンツエディターです。

この記事はUsabilityGeekからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

How To Do A UX Competitor Analysis: A Step By Step Guide

綿密なUX競合分析(UX Competitor Analysis)を行うことで、あなたの製品、目標、さらには市場についてより良く知ることができます。また、競争を理解し実用的なインサイトを得ることで、自社のブランドを強化することができるはずです。

無限に存在する競合相手と注目を集めるために競争する中で、私たちはいっそう、何が正しくできているのかを正確に理解し、使い勝手の良いユーザー体験と楽しんで使える製品を作りだしていかなければなりません。

UX競合分析の正体と実行方法

UX競合分析を通してやらなければいけないことはたくさんありますが、競合分析には2つの基本的な段階があります。

  • どのように研究するのが適切かを知り、自分の探している情報は何かを正確に理解する。
  • 発見した情報に基づいて行動する前に、その情報を組み合わせる。

競合分析とは、あなたの製品やサービスをよく把握し、競合相手と比較することです。競合分析を実行する際に用いられるUIデザインの標準原則(ヒューリスティックとも呼ばれます)は、一般的なガイドラインであって不変なものではないため、独自の基準を自由に作成することができます。原則には、特定のUIパターンからインタラクションモデルまで、何でも含めることができます。

また、ForbesのDaniel Newman氏はこう指摘します。

CXとUXにおいて、どのような間違いをしているかを示すデータを見ていないと、顧客はサイトやストア、アプリから離脱してしまいます。これはもはや疑いようがありません。あまりにも多くの選択肢があるため、ユーザーは良質でない体験を受け入れることができないのです。

つまり、どこで間違っているかを知る方法の1つが、競合分析なのです。

なぜUX競合分析を行うのか

UX競合分析を行う理由はいくつかあります。1つ単純な理由は、あなたが今まで行ったことがないからということです。リサーチ方法に精通して、よりデザイン実践の情報を提供することはどんなときでもUXデザイナーにとって有益です。ところがその一方で、UXの競合調査を実施したいと思う重要な理由がほかにもあります。

  • ユーザビリティの問題を解決するため
  • あなたの製品やサービスが市場のどこに位置するのか理解するため
  • デザインプロセスの情報提供をするため
  • 競合相手の強みと弱みを知るため
  • 製品の方向性を変更する際に信頼できる証拠を得るため
  • ターゲットである市場に集中するため

UX競合分析を実行する利点

UX競合分析を実行することで、ビジネス上の選択に自信が持てるようになるでしょう。しかしどのようにすれば良いのでしょう。

競合調査を通して、収集したデータを基に知見を集めていけば、UXデザインの決定をくだすことができます。

マーケットギャップ

競合分析により、UXデザイナーは市場に隙間があるかどうかを知ることができます。たとえば、調査を通じて、競合相手の製品にはない機能を発見することができるのです。

まだ不十分な市場を助けるであろう機能を特定するとしましょう、今回は学生をターゲットにした場合です。ギャップ(つまり、学生の好き嫌い、興味、価値感、予算など)を理解することで、特定しようとしている機能をより良く計画することができ、ターゲットユーザーの間で機能の人気を確かめることができます。

製品またはサービスの開発

UX担当者として、私たちは製品やサービスを数え切れないほど何度も繰り返し改善します。しかしこれらの改善は証拠と研究による裏付けがなされている必要があります。前の例のようにマーケットギャップを特定する際、それに応じて製品やサービスを開発して市場ギャップを埋めることができます。

あなたは何の変哲もない音楽サービスの月額および年間の定期契約を提供しているとしましょう。競合相手の調査を実施した結果、月ごとと年ごとの2つがもっとも一般的な支払い方法であることがわかりました。しかし調査を通して、あなたのユーザーの多くは、無料版に登録してそのまま辞めてしまう学生だということもわかりました。これらの知見を利用して、学生価格に割引された新しい購入方法を開発することができるでしょう。

これは競合分析から学んだことを使って製品を改善する方法の1つにすぎません。

競合分析には何らかの制限はあるのか

残念ながら、競合分析はすべてのUXの問題に対する解決策ではありません。UX競合分析を行うことは望ましく、ビジネスとして理にかなっているように聞こえますが、この方法にはいくつかの落とし穴があるのです。

James R Lucas氏は、彼の著書において、「ほかの誰かより優れているように見える限り、我々は自分がうまくやっていると実感し、変化する必要はないと感じるのです。」と述べています。

Lucas氏は、UX競合分析の限界の1つを、以下のようにとてもうまく強調しています。競合相手より弱い立場だとした場合でも、同じレベルまで持っていくことはできますが、真にイノベーションを起こし先頭を行くための情報は得られません。競合分析に捕らわれすぎると、真に革新的な解決策を打ち出したいときの兆しを見過ごしてしまう可能性があります。洞察力を駆使することで、競合相手にはない資産やスキルを生み出すような戦略を立てることができるでしょう。しかし、そのような戦略を立てるのは、競合分析ではなくあなたの能力にかかっているのです。

同様に、UX競合分析に対するもう1つの限界は、情報から集められた知見はその人が理解し解釈できて、初めて価値を持つということです。Jennifer Cardello氏の指摘によると、競合分析における最大の課題は、実用的な知見を持たない「興味深い」データの「気を散らすブラックホール」になってしまう可能性があるということです。どれだけ情報を適切に評価できるかによって、その情報の価値が決まります。

UX競合分析の実施方法

1. あなたの目標を理解する

なぜこの競合分析を行っていて、何を達成したいですか? この研究はUXの決定に影響を与えるでしょうか? 理想的には、目標はできるだけ具体的にして、できれば評価可能なものにしましょう。そのようにして、競合分析で取り組もうとしている課題を考慮します。

分析を実行する際には、目標を頭の中に維持し続けてください。そうすれば目標を見失うことなく、いつでも注意することができます。

2. 「本当に」あなたの競争について理解している

この時点で、Googleスプレッドシートまたはチャートを開き、情報の表を作成し始めることができるでしょう。 Jaime Levy氏は、競合分析のマトリクスを作成するための包括的なアウトラインを持っています。初期の段階における、直接的な競合相手と間接的な競合相手の適切な数は5~10社ほどで、そうすることで競合相手が何をしているのかを容易に維持し、追跡することができます。

  • 直接的な競合相手は、あなたの企業がすでにやっているのと同じことをしている企業や人々で構成されます。同じ顧客を共有していますし(また良ければ、競合の顧客を自分のものにしたいと思っているでしょう)、同じ製品やサービスを提供します。
  • 間接的な競合相手は、あなたが提供するものに似た何かを提供する人で構成されています。もしかすると競争相手の製品やサービスの最初の部分ではなく、2番目または3番目の部分かもしれません。

ビジネスの本質は、いつでもどこでも競争が起こるということを意味します。競合相手が出現したときは注意して頭に留めておくようにしましょう。

3. 競合相手との共通点を探す

共通点を探すときは、競合相手の製品やサービスのユーザージャーニーと同じように、ユーザーが実行できる操作を書き留めて、あなたの提供しているものと一致するかどうかを確認することをおすすめします。考慮すべき項目は以下の通りです。

  • 競合相手のトーンとコピー
  • 良い機能と悪い機能
  • ユーザーレビュー
  • 待ち時間と読み込み時間
  • 顧客サービス
  • デザイン

あなたが参照できる、先に述べた基準を忘れないでください。これらはすべて、参考のためにスプレッドシートに入れておくことができます。

4. 分析して要約する

あなたのUXリサーチを分析する際、発見したことのほかに、その情報にどんな影響があるか簡単な要約を作成しましょう。この段階は、競合相手や自分の欠陥を理解するので、デザイン機会を特定するのに最適です。

あなたの分析と要約を使用することにより、有益であったり革新的だと主張したいと考えているすべてのデザイン変更を、チームメンバーやステークホルダーに納得させることができます。

5. あなたのUX競合分析を提示する

研究を終えて、分析し、その情報を実用的な知見に統合したら、今度はクライアントやステークホルダーに対する調査結果のプレゼンテーションを準備するときです。これは、今までの発見に基づいて行うことのできる好機です。UX活動のROIを計算して、結果の信憑性を高めることさえできます。

証拠に基づいた、興味深い情報を含むパワーポイントのプレゼンテーションを作成しましょう。一般的な調査結果よりも、研究の影響について議論することが重要です。影響とは、ビジネスに変革をもたらすことのできる行動に変えることができるものです。

調査からわかった意外なことに焦点を当てれば、聴衆にとって魅力的なものになるでしょう。Dharmesh Mistry氏は、研究を効果的に提示するためのいくつかのヒントを持っています

よくあるUXリサーチの落とし穴

NNGでのSusan Farrell氏は、UXリサーチの落とし穴に陥るのを防ぐために、UXリサーチのカンニングシートを作成しました。

UX競合分析を実行する際によくあるエラーは、際限のないリストです。何の知見もなく情報に溺れてしまうのは、何が何でも避けたいことです。最初から自分の目標を知ることが、この防止に役立ち、競合分析に焦点をもたらします。

データは分析を行った人と同程度の価値しか持たないため、自分が編集した情報を読み違えないようにするために、できればデータを定期的に対処し解釈するような何人かと、発見を共有することをおすすめします。

データから不合理な結論に達することに興味をそそられるかもしれません。あなたが希望的な思考で寛大な場合は特にそうです。アドバイスを求めるということは、あなたが提示したデータと調査結果が正確であることを確認できるということです。 UXデザイナーは、分析を試みる前に分析スキルを磨く必要があります。

結論

私たちはデータに基づいた世界に住んでおり、分析の時代が頂点に君臨しています。指先だけで非常に多くのデータが手に入るので、数字とパーセンテージの中で迷子になってしまいがちです。

集中的かつ慎重なUX競合分析を実施することで、さまざまな方面で役立つ貴重な知見を得ることができます。たとえば、ビジネスの利益拡大、製品やサービスの重要なデザイン要素の変更、革新や新しい方向性に向かうために重要メンバーを説得することなどです。


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