UXデザインにおける効果的なトラフィックファネルは、Webデザインにとってもっとも重要でありながら、もっとも理解されていないことのひとつです。これには理由があります。
- 見た目は良いが不適切なデザインやわかりにくいCTA(コールトゥアクション)は、ひどいコンバーションにつながります(最終的にはクライアントの不満を招きます)。
- 対照的に、訪問者の本能に直接訴えるような分かりやすいCTAをもつミニマリズムのサイトでは、非常に良いコンバーションが証明されています。
つまり、高いコンバーション率を誇るトラフィックファネルでは、魅力的なコピーライティングやミニマルデザイン、直感的なUXやユーザビリティ、ニューロマーケティングなどの要素を組み合わせることで、素晴らしいユーザー体験を作り出されています。
これを念頭に置いて、この記事ではシンプルながら実績のある方法と戦略を紹介します。これらは導入しやすく、素晴らしい結果を生み出すものです(そして多くの場合、とても素早くできます)。
これらのヒントやテクニックは、ランディングページ(または、スクイーズページ)でも同様に使えます。また、アップセルやダウンセル、ストレートセルといったセールスファネルに加えて、「混合型」のファネルにも活用できます。
トラフィックファネルは何から構成されるのか?
マルチステージ型のトラフィックファネルはとても洗練されたものです。基本的には、以下の3つの要素から構成されます。
- ランディングページ
- 気を散らすことのない単一のCTA
- 訪問者に不安を与えることなく、定期購読や今すぐ購入といった行動を促す「感情の引き金」を組み合わせること。
本質的に高コンバーション率のファネルとは、誇大広告を除外しつつもサービスや製品への期待やワクワク感を維持するという微妙なバランスの上に成り立ちます。同時に、サイトが提供する魅力的な体験を訪問者に直感的に想像させます。
トラフィックファネルのデザインを成功させるポイントの1つに、訪問者の視点でファネルの最初から最後までを見ることが挙げられます。
トラフィックファネルの中心となる考え方
当然のことながら、才能あるWebデザイナーの中にも、素晴らしいコンバーションをもたらすトラフィックファネルの作り方を知らない人はいます。その代わり、さまざまな要素を組み合わせて「ごちゃ混ぜのシチュー」のようなデザインをつくり、クライアントが感動してくれるのを祈ります。
さらに、多くの優秀なWebデザイナーたちは、すべての人に通用するアプローチ法が存在するという幻想を今でも抱いています。
そんなことはあり得ません。
同じオファーが提供される場合、ミニマリズムで気を散らない単一のCTAを持ったランディングページの方が、「見た目の良い」(とは言ってもゴチャゴチャしている)ランディングページよりも優れているのです。これは100%間違いありません。
つまり、ゴールは、以下のようなランディングページを作ることです、
- 大げさ過ぎず、控え目すぎないこと
- ゴチャゴチャするものはゼロにすること
いつも忘れないでください。CTAから気をそらすものが少しでもあれば、訪問者は離れてしまいます。大げさなものや騒々しいものは、すべて取り除くことが賢明です。
ランディングページにおける4つの質問
どれが一番重要ということはありません。それぞれの簡単な概要を見ていきましょう。
質問1:何を売ろうとしているのか?
製品にしろサービスのオファーにしろ(またはリード獲得のためのフリーオファーであっても)、正確に価値を記述することで(「価値を提言すること」とも言えます)、初期段階での定期購読や顧客の獲得を見込むことができます。
本の帯や映画のトレイラーのように、提供する価値について考えましょう。自分のオファー以上のものを期待して、見込み客を穏やかに呼び込むことが目的です。
価値の記述には、以下のような項目を数行だけの短い文面で書き表すことが求められます。
- 買い物客やクライアント、登録者らが達成したいと期待できる1~2つのメインの結果/利点。
- それら結果が買い物客のために行うこと(たとえば彼らの生活をどのようにより良くするか)。
- それらの結果を獲得することを彼らが考慮すべき理由。
質問2:いくらで?
ここは多くのクリエイターらが避けたがる部分です。値段をはっきりと表示する代わりに、その値段を見つけられないように見込み客らがいくつかのステップを飛ばさなければならないようにします。
見込み客の視点から見れば、これは完全にあり得ないことです。しかし、クライアント毎にカスタマイズするようなサービスの場合は、どうすれば良いでしょうか。
少なくとも、基準となるメインパッケージのメニューには、簡単にアクセスできるようにすべきです。また、追加オプションも同様に必要です。そうすることで、いくら位の金額を払うかを見込み客が大まかに考えられるようにしましょう。
ヒント:CTAを用意して、「あなたのプロジェクト用の詳細な見積りについてお問合せ頂ければ、この表示価格よりも10%の割引を適用します」という(または同様の)文章を加えましょう。これによりコンバーション率が増えることが証明されています。
質問3:なぜあなたを信頼すべきなのか?
「自己紹介」のページは、自分の得意分野や専門性を強調するための良い場所です。それと同じくらい重要なのが、社会的な証明です(たとえばお客様の声や、あなたの特定分野や信頼証などの中に「~でおなじみの」というアイコンやロゴを付けて利用しましょう)。
質問4:自分のためになるようなものは何か?
魅力的なコピーライティングのスキルに加えて、個々ではニューロマーケティングがものを言う部分です。
見込み客の「本能」の部分へ効果的にあなたのストーリーを伝えられる方法を使って、あなたのオファーのベストな機能と利点を上手に組み合わせましょう。そうすることで顧客の感情的な反応を引き出すことができ、すぐに行動に移して貰えるでしょう。
ランディングページの注意
何年か前、伝説のインターネットマーケッターMike Filsaime氏は、バタフライマーケティングの方法論を公開しました。バタフライマーケティングの原則は、トラフィックファネルにおける小さな変更が重大な結果を生み出すことがあるという真実を伝えています。
これを念頭に置き、できる限り真摯な気持ちになって以下の質問を問いかけてみましょう。あなたやあなたのクライアントのサイトに関わることだからです。まず、自分のサイトをはじめて訪れる見知らぬ人になったつもりになることから始めます。
できる限り批判的になって、自分やクライアントのトラフィックファネルの改善点についてたくさんのメモを取りましょう。
- 自分のサイトには、不要なコンテンツやWeb要素が表示されていないでしょうか? これには気を散らせるカラースキーム/テーマやバナー、関連性のない動画、その他の「クリックしてください」というくだらないものが含まれます。
- トラフィックファネルのデザインが、訪問者を不要に混乱させるものではありませんか? (顧客視点から見たら分かりにくいCTAなど)。
- ユーザーのニーズや関心にしっかりと応えて、特定のニッチなユーザーに向けた分かりやすいサイト作りをしていますか?
- 訪問者が抱える問題を解消しようとしているという印象を与えられていますか?
こういった細かい問題を解消するだけでも、従来のコンバーション率を向上できるでしょう。そして、小さな変化で劇的な結果を作り出すことができるということを常に忘れないでください。
スクイーズページの短い言葉
スクイーズページとは、特定のニーズに応じたリード獲得を目的として最適化されたページです。高コンバーション率のトラフィックファネルにおける頂点に位置するものです(訪問者にとっては「入り口」とも言えます)。
コンバーション率がもっとも高いスクイーズページは、「すべての人に通用する」ように作られていません。特定の人々にとっての懸念や固有の問題を解決することのに適したページとなっています。スクイーズページを、信頼構築のためのソリューションを提供するものだと考えてください。これらは24時間365日休むことなく、見込み客に働きかけるものです。
正しく行えば、ユーザーは実際に行動を起こしたいと思ってくれます。
もしこれを実行する良い理由が見当たらなければ、スクイーズページで名前やメールアドレスなどの個人情報を尋ねることは決してしてはなりません。
マーケティングに関する何年にもわたる多くの調査によって、オプトイン率は収集する情報量と相関することが示されています。スプリットテストでは、メールアドレスだけ入力する場合がもっとも高い反応を示しました。ほかのスプリットテストでは、メールアドレスと名前以上の情報を要求した場合、フォームのコンバージョン率が激減することがわかりました。
ユーザーが情報を送信すると、すぐに自動返信システム(AweberやGetResponse、MailChimpなど)がユーザーへオプトインの認証リンクがついたメールを送信します(「ダブルオプトイン」とも言います)。
認証リンクをクリックすると、すぐにコンテンツへアクセス/ダウンロードするためのリンクが自動的にメールで送信されます(コンテンツはトラフィックファネルをどのように設定しているかに依存します)。
スクイーズページの戦略にはじつにさまざまなものがありますが、以上のものが基本的なスクイーズページの大まかな要旨です。
効果的なスクイーズページのためのヒント
コンバーションの最大化にむけて、以下のことをすべてのスクイーズページで徹底しましょう。
- ユーザーが特定の1つの行動(読者登録など)をするように目的をひとつに絞ります。
- 先ほど紹介した「ランディングページが答えるべき4つの重要な質問」を考えます。
- 誇大広告や不要なビジュアル要素、「気を散らすクリック要素」(関連性のないコンテンツや広告など)を取り除き、利点となるものを詰め込みます。
- すべてのステップにおける信頼性を確立します。
スクイーズページのオファーやプレミアムオファーに加えて、サイト見た目のアピールを良くすることでトラフィックファネル全体におけるコンバーション率を飛躍的に増加させられます。
私が見てきた中でもっとも効果的な見た目の要素は以下のようなものです(並び順に重要度は関係ありません)。
- 親しみのあるアイコンやロゴ、品質シール(「PayPal認証」のシールなど)
- 本物のエンドユーザーからの声。
- 魅力的なグラフィック。
- 整理され直感的なレイアウト(サブの見出しや箇条書きの部分が、ストーリーの中でもっとも重要な要素を伝えているようなレイアウトなど)
- ページの最後にあなたの写真を付けること。
- オファーの最上部に、コンパクトなジョンソンボックス(またはそれと同等に注意を引きつけるもの)と価値の記述を付けること。
まとめ
WordPressを使う場合、パスワードで保護されたダウンロードページやメンバーサイトを作成するためには、無料版のs2Memberが必要不可欠でしょう。これにはプレミアムのアップグレード版もありますが、無料版だけでも十分です。
数多くの大変望ましい機能の中でも、s2Memberは個別のページや投稿、ダウンロード可能なファイルを保護するように設定できます。また合計ダウンロード数を1日や週ごとでいくつまでと制限することも可能です。
また単一のオプトインリード獲得用デバイスとして、MailChimpの自動レスポンダーをバックグラウンドでシームレスに統合する設定も行えます。
言い換えると2番目のメールでユーザーが、「登録を確認する」というクリックをわざわざしなくても読者登録ができるように設定できるということです。彼らは典型的なWPサイトと同じように、自分の資格情報だけで簡単にログインできます。
ユーザーが情報を入力して、素敵な無料特典をダウンロードしようとログインをしたら、直ちに彼らは「メンバーダウンロードページ」へと自動的に転送されます(これはs2Memberにより自動的に保護されています)。
最初からすべてを正しく設定するには少し大変なのは確かなことです。しかし私と同じくらいそれを行えば、時計が動きのように流れ作業になるでしょう。すなわちとてもスムーズなエンドユーザー体験を提供することができます。