お気に入りのお店やレストランなどに入ったとき、お店のスタッフがすぐさま自分の入店に気が付き、声をかけられた経験はありませんか? スタッフの人が「やあSofia、ちょうどが先月買ったコートにぴったりの帽子が入荷したところですよ!」と話しかけてくれるところを想像してみてください。
もしこんな風に言われたら少しびっくりしますよね。
私たちは、匿名で外部と関わることに慣れています。しかし、自分の情報を明かすことで、自分の好みにマッチした情報を提供されるとしたら、それはとても便利だと思いませんか?
1人1人の顧客に合わせて内容をカスタマイズすることを、「パーソナライズ」といいます。このような体験を提供するには、メールマーケティングが効果的です。あらかじめ計画を立て、必要な情報を最初に収集する必要がありますが、メールマーケティングはそれ単体でこれを可能にします。
しかし、ユーザーの情報を少しメールに取り入れるだけでは、実践するには不十分です。 Experianによって最近行われた研究によると、パーソナライズされたメールはそうでないメールに比べて開封率が29%高く、またクリック率は41%高くなっていることがわかりました。
ターゲットが十分に絞られ、個人個人にカスタマイズして作られたメールは、開封率とクリック率を向上させ、コンバージョン率を改善し、そしてユーザーにとても有益な価値を提供することができるのです。
ユーザーがこれを嫌がる理由があるでしょうか?
メールをパーソナライズするためには?
パーソナライズの素晴らしさを理解していただけましたでしょうか? ユーザーの要求やニーズに基づいて、メールをパーソナライズしたくてウズウズしてきませんか? さっそく、どのように始めたら良いかお教えしましょう。
ユーザーのデータを収集する
まず初めにするべきことは、ユーザー属性、またはユーザー行動に関するデータを正確に集めることです。これはユーザーがメール登録する時 (またはプロフィール画面にいる時) に、「氏名」を入力する、などのシンプルなものです。その他にもユーザーに対して質問できる項目はいくつかあります:
・氏名
・住所
・生年月日
・好きな色 (または好きな動物やその他の好きなもの)
・興味があるもの (製品やメールの内容のジャンルに関連するものなど)
または、もう少し詳細な質問をすることで、有用なデータを蓄積することもできます。例えば、ユーザーが最後に購入したものや、最後に検索したものなどが当てはまります。
私の所属するメール配信サービスCustomer.ioでのデータの収集方法を知りたい方は、私たちの統合情報をチェックしてください。
本当にユーザーの役に立つ、パーソナライズされた情報を載せる
パーソナライズの作業に入る前に、メールに何を載せるかを考えると思います。パーソナライズされたメールは、普通はユーザーにとって便利なものですが、やり過ぎると気味が悪い場合もあり、そのラインは紙一重です。そのラインを超えて気味悪がられたい人はいないでしょう。
ユーザーの名前をメールに入れることは、一般的にはパーソナライズの初歩的なところ (後にもっと多くの意味を持つことになりますが) だと思います。しかしながら、ユーザーがたった今検索したものに基づいて全てをカスタマイズするのはやり過ぎだと言えるでしょう。
Amazonを例に挙げてみましょう。Amazonはメールのパーソナライズがうまいことで有名ですが、そのAmazonでさえ、便利というレベルを超えてユーザーに気味悪がられてしまうことがあり、失敗することがあります。Amazonのような最大手企業であっても行き過ぎたパーソナライズをしてしまう可能性があるのであれば、私たちもユーザーのプライバシーを慎重に考慮しなければならないでしょう。
メールをパーソナライズすることで、あなたの顧客にどのようなメリットをもたらしますか? ただ実行可能であるという理由でパーソナライズに着手するだけでは十分ではありません。ユーザーの過去の購入履歴や好みをもとに、価値あるものを提供するべきです。
あなたの製品に関連している、特定のコンテンツを想像してみてください。もし、ユーザーが新しさを重視したり、こだわりを示しそうなものを販売している場合は、過去の購入履歴や検索履歴に基づいた情報をメールに載せることは不適切だと思われ、不快感を生む可能性があります。例えば服などを販売している場合であれば、そういった情報を載せてもセーフかもしれません。
冒頭で挙げたSofiaさんの例を考えてみましょう。お店のスタッフはSofiaさんの名前や過去の購入履歴を覚えており、以前買った物とコーディネートできる製品に興味を持ってもらうためにこれらの情報を活用していました。この場合の感動体験は、パーソナライズされていた事自体ではなく、Sofiaさんにとってより有益な情報が提供された点にあります。
最終的に、メールをどのようにパーソナライズするかは、何の情報を収集し、そしてユーザーに利益を提供するためにそれをどう活用するかにかかっています。
ユーザーの名前を正しく活用するためにデータをチェックする
多くの企業が取る最初のステップはユーザー名をメールに入れることですが、これも慎重に行う必要があります。メールにおける名前の使用に関する研究は結果が2つに分かれています。Experianの研究によると、件名がそれぞれのユーザーの名前にカスタマイズされている場合、開封率は26%向上したと言われていますが、テンプル大学が行った研究は逆の結果を発表しており、ユーザーは自分の名前がメールに使用されていると反応しなくなる傾向があるとしています。
なぜこのような矛盾が生じるのでしょうか? 名前は、正しく利用すれば非常に強力な要素になりますが、旧姓を使ってしまったり、スペルミスなど不完全な名前を使ってしまうなど、間違ったやり方で利用されていることがしばしばあるからです 。
ユーザーの名前を利用してメールをカスタマイズする場合、収集したデータをとても慎重に取り扱う必要があります。見落としがないことを確かめるために、最近追加されたユーザーの情報を手作業でざっとチェックする必要があるかもしれません。もし誰かが「NO!zzzzhha」を名前として追加したとすると、「こんにちは、NO!zzzzhhaさん」とメールを送るリスクを取るよりも、情報を削除したいと考えると思います。データから不要なものがすべて取り除かれていることを確認する作業に時間を費やすことは、長い目で見て大きな利益をもたらす可能性があります。
論理的な方法を取り入れることで、メールに載っている情報がユーザーにとって有益で、本当にそのユーザーに向けて書いたように見せることができます。例えば、大文字と小文字が混ざった登録名があった場合、その頭文字を大文字で統一するといった方法です。
メール配信サービスCustomer.ioでは「大文字化」フィルターを ( {{ customer.first_name}} は、{{ customer.first_name | capitalize }} となります) 追加することで、名前を自動的に大文字で表記できるようにしています。「こんにちは、Ruxinさん」で始まるメールの方が「こんにちは、ruxinさん」と書いてあるメールよりも、ずっと洗練された印象を与えることができます。
もし自分のデータの有用性に疑問を感じている場合は、これを無視してください。明らかに間違ったパーソナライズをするよりは、されていないほうがずっと良いからです。
エンゲージメントを高めるために関連したコンテンツを活用する
パーソナライズの分野に足を踏み入れると、メールやサービスをより良くするための方法がたくさん見つかります。ユーザーが最近検索したりウィッシュリストに追加した商品に関する情報を取り入れることを検討してみましょう。
もしたった今、新作のTシャツが売れたとします。そのお客様に、そのTシャツに合うアクセサリーやその他のファッションアイテムを紹介するメールを送ることを考えましょう。
関連商品を個人個人にカスタマイズして紹介することは、大きな利益を生み出す可能性があります。テンプル大学の研究によると、過去の購入履歴に基づいて顧客の好きそうな商品を紹介すると、98パーセントの顧客がポジティブな感情を抱いたという結果が出ています。顧客がポジティブな感情を持つということは、売上が伸びることを意味しています。
もしここまで大規模にはできないのであれば、もう少し小さい規模のものから始めてみましょう。
あなたは、子どものスポーツリーグの連絡係を担当しているとします。あなたが送るメールは、試合の日程や、子どもが試合をする前にご両親がしなければならない手続きの流れなどを子どもたちとそのご両親に知らせるものです。
上の画像のように、同じ内容のメールを全員に送ることもできますが、その代わりに、それぞれの子どもやご両親が必要とする情報のみを載せたらどうでしょうか? 彼らが参加する試合の日程や手続きの詳細を知らせることができます。
パーソナライズされたデザインは、メールに楽しさと個性を出してくれる
コンテンツのみパーソナライズするのではなく、デザインのパーソナライズも検討しましょう。「好きな色」をユーザーに質問するという案を覚えていますか? この質問を使って非常に面白いことができ、またユーザーの好きな色をメールに取り入れることができます。色をユーザーの好みで変えることは、ユーザーにとって直接的な利益にはならないかもしれませんが、メールを楽しく見せることができます。
さきほどのスポーツリーグの例を見てみましょう。標準的な青色のヘッダーをチームのカラーに変えることで、メールに個性を持たせることができます。
Customer.ioを使用している場合は、メールのレイアウトに条件判定のif/elseタグを追加することができます。
途中のテストも忘れずに
パーソナライズの作業の邪魔になるようなことは避けるべきですが、最終段階に入る前に小さな段階を踏んでテストすることをおすすめします。様々な種類のパーソナライズの方法を取り入れることは、A/Bテストにおいてとても良いことです。
シンプルなものを選び、ユーザーがどのような反応を示すのかを確認しましょう。あなたのユーザーは、メールに自分の名前が入っていることを不快に感じるタイプではなく、それを見つけて喜んでメールを開くタイプの人かもしれません。しかし実際に試してみるまでは、どちらのタイプか判別することはできません。
パーソナライズは、ユーザーにポジティブな感情を生みます。ポジティブな感情を持つことで、ユーザーはより一層メールに関心を持つようになり、あなたの会社に好感を覚えるようになるでしょう。また、パーソナライズによって、関連するコンテンツを最適な時間に最適な人に送信できるため、売上やコンバージョン率を上げることもできます。始めるまでには少し準備が必要ですが、その見返りは価値があります。
実際に試してみて、あなたの顧客がどんな反応を示すのか見てみましょう。
メールで素敵なコミュニケーションを目指しましょう!