UXの実践者としては、過去に起きた出来事から学び、最新のテクノロジーや情報を把握し、そして未来を形作ることに魅力を感じることが大切です。今回私たちは、Webの現状と将来について分析した最良の記事と、お勧めの文献について見ていきたいと思います。
振り返り:Web 2.0
はじめに、私たちがこれまでに辿ってきた軌跡を解説し、現在のインターネットの状況について考察した記事をいくつか紹介します。これらの記事は1990及び2000年代のWeb 2.0について書かれたもので、Web 2.0はブログや動画、WordPressの台頭で普及しました。これから紹介する記事の執筆者たちは、過去のWebが私たちの生活にもたらした好・悪影響について解説しています。
Web 2.0を背景としたワクチンに関するリスクコミュニケーション:ストーリーの力を尊重する By Brian Zikmund-Fisher
9月2日、ミシガン大学のリスクサイエンス研究センターは、Web 2.0の時代における予防接種のリスクに関する議論についての考察をまとめた、同大学の准教授であるZikmund-Fisher氏の論文を出版しました。その論文の中でZikmund-Fisher氏は、Web 2.0が台頭する前の、人々のワクチンに対する知識は、公衆衛生機関による報告や、安全のためにワクチン接種を勧めてくるかかりつけの医師から得たものであり、それによってワクチン接種を受けていたと主張しています。Web 2.0時代以降には、ソーシャルメディアによる情報や事例が、人々にとって予防接種のメリットとリスクに関する知識を得る主要な方法となり、これらの情報のほとんどが否定的な内容のため、予防接種実施者数が減ってしまったのです。
記事は、この議論について(Web2.0を否定も肯定もしない)中立の立場を取っていますが、公衆衛生専門家や医師たちに対して、予防接種に関する意見を患者に提示する際には、事実のみを話すのではなく、世の中に溢れている予防接種に否定的な情報に対抗するために、説得力のある話をするように提言しています。というのも、人々はなにかを決定する際、分析的な思考と感情の間を揺れ動くものであり、(実際のところ)ソーシャルメディア上のワクチンに対する否定的な意見によって芽生えた感情が、事実に基づく論理的根拠に勝っているという現実を、Web 2.0が反映しているからなのです。
分析:権限を得たソーシャルメディア #ファーガソン By Jeffrey Layne Blevins
2014年9月26日、シンシナティ大学のジャーナリズム学部長を務めるJeffrey Layne Blevins氏は、Cincinnati.comに掲載した記事の中で、ミズーリ州ファーガソンの出来事に対するソーシャルメディアが与えた影響についての議論を展開しています。Blevins氏は、2014年8月9日に発生したMichael Brown氏の死に対する世間の反応と、2001年に発生し、前者と同じく警察官によるTimothy Thomas氏の死を対比しています。どちらの事件においても、白人の警察官によって武装していないアフリカ系アメリカ人の10代の若者が射殺された後、市民による暴動が起きています。異なる点は、2001年に暴動が行われた期間は4日間だったのに対し、最近発生した事件では何週間にも及ぶ抗議活動やデモが行われたことです。
Blevins氏は、この相違はソーシャルメディアによるものだと主張しています。2001年の時点では、ソーシャルメディアは瞬時に画像やコメントをやり取りするといったサービスをまだ提供しておらず、このようなユーザー主体で作り出されるコンテンツは、明らかに論争の原動力や流れを変えたとしていますが、この変化の善悪については、Blevins氏は明確な立場を明らかにしていません。Blevins氏が確信していることは、ソーシャルメディアが、警察組織だけでなく、ニュースに対する人々の関わり方を変えたということであり、そしてソーシャルメディアが人々に対して権限を持ち始め、良い結果と悪い結果どちらももたらすことができるということです。