運転中の「ながらスマホ」からドライバーたちを守るデザインとは?

Joe Concannon

Joeは、UXPinのデザインライターです。インターネットで充実した時間を過ごす傍ら、ビールを飲んだりハイキングをするために米国の西側を旅をしています。Google+で彼の情報を入手しましょう。

この記事はUXPinからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

3 Ways to Design for Those Distracted Drivers

どんなに技術が発展しようと、メッセージングと運転は相容れることはありません

今では、 運転している時に次にどの道で曲がるべきかということは、ナビゲーションを見ればほぼ正確に分かりますよね。自動駐車自動運転ができる自動車も開発されています。しかし、運転中にメッセージを打つのは交通事故を起こすリスクがあり、特にスマホをよく使う10代の若者たちにとって深刻な問題で、事故の発生率は急増し続けています

スマホなどのテクノロジーはとても便利で、時には人の命を救うこともありますが、その一方でドライバーの注意を非常に散漫にする可能性も持っています。それでも、ドライバーたちは道を調べたり、人と連絡を取るためにこういったテクノロジーを使わない訳にはいかないのです。スマホでメッセージを打つことは間違いなく大きな問題であり、両手が空いていて視界もほとんど遮られないとしても、安全なコミュニケーション方法であるとは言えないでしょう。

しかし、これは良いデザインを生み出す大きなチャンスでもあります。デザインは、人々が運転中にスマホを使ってしまう問題をどう解決するのでしょうか?

スマホにおける本当の問題点とは?

デバイスを操作したり、暗証番号を入力して画面のロックを解除したり、アプリを選んだり、またはメッセージを入力したり読んだり…従来の携帯電話よりもはるかに高い性能を持っているスマホには、これまでとはまた違った障害や危険がたくさんあります。スマホが現れた事によって、人々は今まで以上に路上に注意を向けなくなっています。

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写真クレジット:Intel Free PressCreative Commons 2.0

スマホ、特にアプリのデザインやUIは、安全運転できるようにデザインされているわけではありません。公共の場所やオフィス、自宅で使うのにはぴったりですが、運転中に画面をチラチラ見たり、手で持ちながら指先で操作するのはとても危険です。 

つまり、スマホを使って誰かと連絡を取ったり、カーナビとして使うことが問題なのではなく、画面を操作するという行為自体が問題なのです。カリフォルニア州などの法律は、完全にハンズフリーで使えるテクノロジーを許可しようという方向に向きつつあります。この流れの背景にあるのは、運転中に聞いたり話したりするのは問題なくても、必ず両手はハンドルを握るようにしなければいけないという事です。 

ドライバーを道路に意識させ続ける方法についてはデジタルエージェンシーのHugeが一般的な自動車のUIに関する調査を行っており、それをスマホにも応用できると言っています。Hugeの実施した調査の要点は以下の通りです。

・運転の動作を理解する。人は運転中にできることが限られているということを知るべきです。100km/h以上で高速道路を走っている間にスマホを探し、メッセージを打ったりInstagramをチェックしたりすることはできません。

・ドライバーの注意を引くものが何かを理解する。ドライバーが運転中のふとした時に行っていることは何ですか? 彼らの注意を引いているものは何でしょう? 

最もユーザーの興味を引き、なおかつ記憶に残るものによって、ドライバーが事故に遭わないようにするためにデザイナーができることを考えてみましょう。

ドライバーの限界を知る

Hugeによる上記の2つのヒントはつまり、「ドライバーの限界を知ろう」ということを言っています。そして、ドライバーが使う必要があるアプリとは何かを知ることにもつながります。彼らがスマホで行う可能性があるのは以下のような行動です:

・電話をかける

・メッセージを送る(ドライバーがこれを実際にやっているのは明らかです)

・ナビゲーションを使う (おそらく警察がどこで待ち伏せているかを調べることもあるでしょう)

・流す曲を変える

ナビゲーションはドライバーにとって大事な機能の1つです。しかし結局アプリがあるにもかかわらず、なぜオプションとして自動車についてくる高価なナビゲーションシステムにお金を使うのでしょうか? 通話やメッセージを打つのはおそらく、同じくらいの重要度でしょう。しかし、いつ、どこで、そしてなぜドライバーはこういったことをするのでしょうか。

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写真クレジット:Jason TesterCreative Commons 2.0

ドライバー、つまりこの場合はユーザーのことを私たちはまず最初に理解しなければいけません。つまり、他の誰よりも、このユーザーのことを知る必要があるのです。

無料の電子書籍「UXデザイン工程とドキュメンテーションガイド」の中でまとめているように、ユーザーを知るにはいくつかの方法があります:

・ユーザーのペルソナを考える。彼らはどのようなアプリを使っていますか? どのようなタイプのドライバーですか? 頻繁に自動車で通勤しますか? 車内でどのくらいの時間過ごしていますか? 彼らがどんな人間か考えてみましょう。

・ユーザーのストーリーを考える。出発から到着までのドライバーの行動や思考を想像してみましょう。彼らが運転中に行っていることは何ですか? いつ電話をかけますか? どんな時にメッセージを打ちますか? ナビゲーションを使うのはいつですか?

また、ドライバーと直接話をしてユーザーテストを行うこともできます。運転中、彼らがスマホをどんな風に使っているか直接調査してみましょう。

ドライバーが何をしているかを常に把握することは、彼らのニーズに応じたデザインをするための手がかりになります。

ドライバーの手を自由にする

少なくとも、90年代に私の父が自分の車に自動車用の電話を設置し、スピーカーシステムやマイクをつなげて家族で大がかりなドライブ旅行を行っていた時から、人々はすでに、より安全に通話するために自動車に電子機器を付けていたのです。実際、もっと昔から皆そうしていました。

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それによって、デザイナーは興味深いジレンマを抱えることになり、いくつかの問題が出てきました:

・ドライバーに常に両手でハンドルを握らせるにはどうすればいいのだろう?

・ハンドルを握りながらナビゲーションデバイスのようなアプリを使えるようにできないのだろうか?

これらの問題を解決する鍵は、90年代に自動車用の電話を吊り上げたように、自動車の中にすでにある部品にスマホを繋げるということです。テクノロジーは、独自のッチパネルとBluetoothが組み込まれている自動車とともに、既に存在しています。デザイナーがすべきことは以下の2つです:

・自動車とスマホの連携

今日の自動車は、従来よりさらにスムーズにiPhoneやAndroid端末と連携できるようになっています。スマホを自動車の操作システムに繋げることで、次のようなことをより簡単にできるようになります。

・音声操作システム

Bluetooth対応であったり、最初から搭載されている自動車用のGPSはどちらも音声で操作することができ、ユーザーの安全を守ります。まだ不完全ですが、音声による指示は運転中に最もドライバーの注意力を低下させないコミュニケーション方法であると考えられています。

このようなテクノロジーはデザイナーの活躍の場を広げ、なおかつドライバーが手をつかわなくてもスマホを操作できるようにしてくれます。

シンプルなデザインを心がける

「人々は未だに運転中にスマホを使う必要がある」という現実を受け入れましょう。これは仕方の無いことです。ユーザーは音楽サービスの中で再生する曲を変えたり、ナビゲーションアプリで目的地を更新したりするでしょう。しかし私たちは、スマホを見ている時は絶対に運転しないよう強く説得しなければいけません。

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写真クレジット: Michael VerhofCreative Commons 2.0

2014年度の研究報告書は、運転中に使われるアプリに簡単に応用できる、自動車インターフェースに関する複数のガイドラインをまとめました。このガイドラインでは次のことが勧められています:

・メニュー項目は最小限にする。選択肢をたくさん与えた結果、ドライバーの注意を逸らしてしまうようなことは避けたいですよね。メニューに載せるのは本当に必要なものだけにしてください。例えばナビゲーションアプリは、ルートを図で表示するための選択肢を提示して、その後はナビゲーションをすぐに開始するようにデザインしましょう。

・タッチで操作するものは使わない。これは、上に書いたドライバーの両手を自由にすることに関連しています。音声による操作が、運転中に使われるスマホのアプリの未来像かもしれません。

1つ検討していただきたいのは、アプリに「運転モード」を追加することです。これは、ウェアラブルデバイスの台頭とともに可能になり、より安全で効果的なものになる可能性があります。運転の領域においてこういった技術はまだほとんど応用されていませんが、大きなチャンスを秘めており、ウェアラブルデバイスのミニマルかつ直感的なインタラクションを実現することができます。手を裏返したり振ったりという動作はUI全体の一部であり、ユーザーが日常生活の中でよく利用している動作なので、スマホやその他のタッチスクリーンで使われるような人工的な動作よりも好まれるでしょう。

ジェスチャーと音声による操作は、物事をシンプルにすることでドライバーの注意を逸らさせないベストな方法になるかもしれません。

追記

運転中のスマホの使用は、依然として比較的新しい分野です。飲酒運転よりも深刻だとも言われている、「ながらスマホ」で気が散っているドライバーを助けるデザインをすることは、UXのレベルを上げる独自の課題とチャンスを示しています。

現在、数え切れないほど多くの自動車やウェアラブル、アクセサリーインターフェースの組み合わせがあり、これはつまり一般的にユーザーにとってベストなことに挑戦するのはとても難しいということを意味しています。

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