ビジネスシーンでは、上司や取引先に何かしら依頼をすることが頻繁にあります。しかし、依頼の返信期日を決めていたはずが、相手からの連絡が来ず、困ることもしばしば。そんなときは催促のメールを送ることになりますが、どのように書けばいいか頭を悩ますことも多いでしょう。
特に大事な取引先が相手だったり自分が新人の立場だと、催促メールが原因で関係を損ねてしまわないか不安になってしまいます。
そこで今回は、相手に失礼のないよう気を配りながら、さりげなく対応を要求をするメールの書き方について詳しくご紹介します。
催促メールを書く前に気をつけたい心構え
メールは表情や声のトーンが存在しない、テキストのみのコミュニケーションです。自分が思っている以上に冷たく感じ取られてしまう恐れがあります。なので、まず、催促メールを送るときに大切な心構えについてポイントを挙げていきます。
1. フラットな心理状態で
「返信日時を約束したけれど守られていない」。ビジネス上の約束を守ることは社会人として常識です。なので、依頼が守られておらずイラっとしてしまうのは自然なこと。しかし、その状態のまま催促メールを作成すると、怒っている雰囲気が文面から伝わってしまいます。
その文面を相手が見たら、同様に不快な気持ちを抱いてしまうでしょう。その後の取引関係にまで影響する可能性もあります。まずは一旦心を落ち着かせてから、催促メールの作成に取り掛かることが大切です。
2. お互いのミスの可能性を考慮する
何かしらの手違いでお互いにミスをしている可能性も頭に入れておきましょう。特に自分がミスをしていたのにも関わらず催促をしてしまうと、信頼が失われてしまう恐れがあります。
お互いのミスとしては、以下のことが考えられます。
・相手から返信が届いていても見落としてしまっている
・期日の日時の認識がズレている
・どちらかのPCやシステム環境に不備があり、送受信がなされていない
このような可能性がないか一通り確認しておくことは、余分なやり取りを生まないためにもおすすめです。特に自分側のミスの可能性を提示しておくことで、相手へ負担をかけない催促になります。
3. 基本的に低姿勢を貫く
たとえ相手が約束を守ってなかったり、相手側にミスがあったとしても、責任を糾弾するような高圧的な態度をとってはなりません。
怒っているこちらの様子を伺い、あえて返信を遅らせるような対応をとられる可能性があります。そうなっては元も子もありません。また、こちらの態度をきっかけにビジネス上の関係が損なわれてしまう可能性もあります。
ですので、どんなケースでも、催促することを申し訳なく思っている姿勢をしっかり伝えることが大切です。そうすれば、相手も丁寧に対応してくれるでしょう。
【送り先別】催促メールの例文、ポイント
それでは、送り先の相手別に催促メールの具体例をご紹介していきます。
1. 送り先:上司
催促する相手が部下や同僚なら気を遣わず連絡出来ますが、上司となると話は別。催促の仕方が原因で、自分の評価が下がらないようにしましょう。
「部長、この間の件、まだ返事を受け取っていませんが、どうなりましたでしょうか?」
と唐突に催促してしまうのは親切ではなく、気を損ねてしまう可能性が高いです。
「○○部長、お疲れ様です。○○日に打ち合わせしました○○の件、いかがなりましたでしょうか? ○○日までに、本件を具体的に詰めて、より良いプロジェクトにしたく思っておりますので、そろそろお返事いただけますでしょうか」
「○○部長、お疲れ様です。昨晩は、おいしい食事をご馳走していただき、また貴重なお話もしていただきありがとうございました。そういえば、○○件については、いかがでしょうか。そろそろご返事を頂ければと思うのですが…」
といったように、丁寧な聞き方を心掛けたり他のことのついでに聞くことで、上司の気を悪くすることなくやり取りが出来ます。
また、誠意やモチベーションの高さを見せることで、上司からの信頼感や評価が高まるでしょう。
2. 送り先:社外の取引先
催促のメールでより気を遣わなければならないのが、取引先に送る場合です。ビジネスメールの基本的な形式やマナーを守りながら、自分側のミスの可能性や低姿勢を示すことが肝になります。
また、(挨拶)→(本文)→(結び)といった順序を意識して、それぞれ作成していくことも重要です。
「<挨拶>
□□株式会社 □□部 □□様
いつも大変お世話になっております。株式会社××の××です。先日は、貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。その際に依頼させていただいた資料の件でご連絡致しました。
<本文>
本日までにご返信をいただけるとのことでしたが、いかがでしょうか。
もしかしたら私のほうでメールを紛失してしまったかもしれませんが、本件に関するメールが確認できていない状況でございます。
<結び>
大変お手数をおかけしますが、明日、本件についての会議があるため、本日16時まで再送していただけないでしょうか。以上、取り急ぎメールにてご連絡失礼致しました。ご返信をお待ちしております」
このように、<挨拶>ではお礼を忘れずに添え、<本文>ではどの件の話か、自分のミスの可能性、現在の状況を書きます。そして、<結び>ではなぜ催促しているか、いつまでに対応してほしいか、催促の詫びで締めくくることで、丁寧かつ親切な催促メールになります。
【構成別】催促メールのフレーズまとめ
とりわけ、相手が取引先の場合、催促メールの構成ごとに様々なフレーズの選択肢を持っておくことで、臨機応変に使い分けが出来ます。
1. <挨拶>
「先日ご依頼した資料の件で、急ぎ確認したいことがあり、ご連絡致しました」
「先日は、○○についての見積書送付をご快諾くださいまして誠にありがとうございます」
といったように、「急いでいる」ことを暗に匂わせたり、何についてのメールかを<挨拶>の時点で示すことで、より早く対応してもらえる可能性が高くなります。
2. <本文>
「認識の相違があったかもしれませんが、本日11時までに完成した原稿をいただけることになっていたと存じ上げます。しかし、本日現在、まだ到着しておりません」
「私が至らない説明をしてしまった恐れがありますので、念のためご連絡致しましたが、 本日17時までにいただく予定だった資料はもう送信していただけましたでしょうか」
明らかに自分の側にミスが確認できていない場合は、「認識の相違」の可能性を提示しておくくらいでもよいでしょう。
また、自分のミスのパターンも複数考えてあると、その都度の状況に合わせたメールが作成出来ます。
3. <結び>
「いただいた見積もり書を参考に、さっそく明日の会議にて意思決定をする所存です。ご迷惑もかえりみずのお願いで大変恐縮ですが、本日中のご対応をしていただけると幸いです」
「当店といたしましては、年末の繁忙期に向けて、御社への大量の注文を考えております。いろいろとご事情をお察ししますが、資料の送付をしてくださいますようお願い致します」
「弊社の業務に支障をきたしてしまう恐れもあります。不躾なメールとなり恐縮ですが、ご回答をお願い致します」
相手に催促をすることは負担をかける行為でもあるため、必要以上にフォローやお詫びを入れることも一つの手です。
しかし、あまりにもこちらが困っている状況にあるならば、「支障をきたす」とストレートに伝えることも大事です。